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団体交渉報告継続 重点3項目

10/16の13項目要求に基づき10/2212/7に続く継続交渉(1〜3項目を重点3項目として)

2007年12月28日(金)11:00 - 12:35
本部別館2f第3会議室

項目1.2007年度一時金について、現行支給月数4.45ヶ月を0.05ヶ月引き上げて4.5ヶ月とし、2007年12月の期末・勤勉手当支給日に、引き上げた0.05ヶ月分を加算して支給すること。
項目2.時間雇用職員に対して、2007年12月の期末・勤勉手当支給日に、一時金として当該職員の時給の30時間分を支給すること。
項目3.2007年度人事院勧告を参考として、若手教職員を中心とした給与表改善を図ること。


■佐々木補佐 これから団体交渉を始める。まず折原理事から発言する。

■折原理事 年末押し詰まった交渉になったが、私自身、来年になると本学や国立大の状況が厳しくなるので年内に決着したいと考え、本日の日程にした。本日は、13項目の要求項目のうち、重点3項目について交渉を行う。12/26役員会で法人側の方針を決定した。その内容を回答し、考え方を説明する。

回答と説明

項目1(2007年度一時金)、3(本給表改善)について

(1)本給表改定については、国家公務員の改定通りに2008年4月1日から実施する。
http://www.jinji.go.jp/kyuuyo/f_kyuuyo.htm

 これらの給与改定を2008年度に全て実施すると、改善経費としては概算で約5億3000万円かかる。来年度以降もこの水準を維持しなければならないので、これまで以上に事務組織見直しや業務効率化などで人件費を削減しなければならない。人件費5%削減の前倒し、あるいはそれ以上の計画をたてることも含めて実施しなければいけない。そのためにメリハリのきいた関連施策の実施を策定する。その実施に教職員の協力を求める。

(2)期末・勤勉手当の改善について、今年度中に一時金として0.05月分支給する。但し、国と同様に指定職適用者は除く。

 この方針の考え方を説明する。

 12/7交渉で検討の前提として4点説明した。

  1. 国、仙台市、宮城県、他大学においてどのような対応がされるか
  2. 2005年に同様の給与交渉をして制度設計を含めて議論したが、その際の基本方針の考え方をふまえる
  3. 井上プランの実施にかかる経費をどうするか。
  4. 来年度以降の本学の財務状況がどうなるか。

 12/4経営協議会、役員会を踏まえて12/7交渉を行ったが、その時点では方針が決まらずその状況を回答した。その後、経営協議会欠席の委員を訪問して真摯に状況を説明し意見を聞いた。また12/26には2008年度の運営費交付金について内示があった。

 経営協議会委員からは、「人件費よりも物件費のあり方について検討すべきだ」「無駄をカットしてメリハリをつけた対応をすべきだ」「大学の維持発展のために評価をきちんとすべきだ」「本学の職員は頑張っており優秀な人も多いので他大学より給与が安くて良いということにはならない」「頑張っている人にはきちんと出して頑張ってもらった方が良い」等の意見が出た。

 運営費交付金は▲1%と予測していたが、2008年度運営費交付金の内示額は全国の国立大学法人全体で▲1.9%だった。閣議決定がこういう形で覆されてはいけないと国大協は12/26臨時学長等懇談会を行い、文科省の説明を受け要望書を出した。容認できない、考えてくれという内容だ。本学については、特別教育研究経費等も含め、2007年度予算が約518億9900万円のところ、内示額が約507億1700万円と、約11億8200万円の収入減(▲2.27%)だ。それも含めて12/26役員会に方針を決めるよう提案した。

 前回委員長からも激励されたが、恐れず臆せず担当理事として説明した。来年を待つのは心配だという考えがあったので、きちんと役員会として決めてもらった。

 財政的に、地域手当改善の影響が大きい。地域手当支給割合改定の詳細は人勧の中にも明示されず東京だけ前倒しで出ている。

 前回も話したが、いろんなシミュレーションをしている。

 教員人件費の運用は部局の裁量なので、私の責任で資料を出すことはできない。
 実態として、現時点ですでに赤字の部局があり、今後赤字になる見通しの部局もある。
 人勧による待遇改善分の予算を国がくれるわけではない。

 先般の労働基準監督署の指導にもとづく対応のため超勤費の支出が今後とも必要になる。
 厳しい現実だ。給与改善方針について役員会で了承はされたが、これまで以上の事務組織見直し、業務効率化、人件費削減とセットだ。これについて教職員の協力をお願いする。

 一時金0.05月の改善については、他大学でも、東北大以上に厳しい状況だと思うが、払っている状況がある。他の旧帝大でも一時金改善をするということだ。私としても、経営協議会委員の意見も考え、井上プランスタートのために教職員一丸となって苦労して取り組んでいるという視点からも、東北大学百周年記念行事で職員がたいへん忙しい思いをしたことを見ても、きちんと満額で対応しなければ職員のモチベーションに関わると思った。

項目2(時間雇用職員への一時金支給)について

 12/7交渉では、時間雇用職員が頑張っていることを踏まえて検討すべきだという意見があり、前向きに考えたいと話した。12/26役員会でも、この項目についてはすんなりと認められた。

 2008年度に向けて、部局と話し合いながら、部局の予算計画の中で考慮されるように引き続き検討する。

 時間雇用職員の人件費は、財源としては部局予算から賄われるので、部局長の理解を得ないと実施されない。本部として部局長に実施をお願いする。

 委員長からもボーナスあるいは一時金として時間雇用職員の労に報いるようにと言われ、とくに今回は30時間分と明記して要求されている。12/7交渉でも金額よりまずは支給するということにこだわって要求したいという話もあった。週所定労働時間が30時間未満の人には30時間未満の一時金でもよいという言い方もあった。重点項目として精査された要求でもある。


□組合 回答内容を確認する。明確なのは、項目2の時間雇用職員への一時金について、2008年度に向けて前向きに検討し、部局長にも話すということだ。

 私たちとしては2007年度のボーナスとしての支払いを要求しているが、それについてはできないという回答か。

■折原理事 そうだ。

□組合 長年の懸案だ。部局長も問題点は認識している。これまでも検討されているはずであり、実行できていなかったことが問題だ。もう検討は必要ない。実施の段階だ。その意味では、2007年12月段階での一時金要求は不当ではない。これまで十分検討してこなかった部局長あるいは大学側の姿勢の問題だ。

■折原理事 厳しい意見だ。これまでも要求があったことはわかるが、今回、30時間分の一時金という形で検討事項として出してもらったことが大きい。部局によっては今でも赤字のところがあり、黒字の部局に対しても押し付けていいのかという話もあった。これまで怠けていたのではない。アンケート調査等で検討してきた。過半数代表者からは正職員や准職員と同じように支給すべきだという意見もあったし、事業場長の中からも時間雇用職員にも支給することは大事なことだという意見があった。他方、ボーナスの時期にではなく更新限度3年が満了する際に配慮すべきだという意見もある。教育研究費を圧迫するので、教員の意見を踏まえる必要もあった。検討に時間がかかったのは仕方がないのではないか。今回は30時間分の一時金ということで検討することができた。それで本部としても部局に働きかけることができると判断した。理解してほしい。

□組合 世の中の大きな流れとして、非正職員の待遇をできるだけ正職員の待遇に近づけていくという流れがあり、それは今後もより強くなっていくだろう。この大きな流れの中で東北大として、できるだけ早めにその流れに沿っていくべきだ。本来ならば2007年12月でも遅すぎであり、しかもこの段階で30時間分の一時金というのは相当抑えた要求だ。正職員と非正職員との格差は非常に大きいということを我々は意識しながら要求している。2007年12月分のボーナスとしての支給をさらにお願いする。正職員については、0.05月分のボーナスを別途支払うということなので、そのボーナス支給の際に時間雇用職員についても一時金を支払うことを検討してほしい。

■折原理事 時間雇用職員への30時間分のボーナス支給については、来年度に向けて部局長に話していく。

 0.05月分の一時金の対象者は正職員に限られる。准職員には支給されない。准職員、時間雇用職員の労働条件は個別の雇用契約で決められ、労働条件通知書に明示されている。契約期間中は給与改定を行わない。一時金としても支給しない。誤解があったら申し訳ない。

□組合 当然、准職員にも正職員と同等に支払われるものと誤解していた。しかしこれは正職員と非正職員の格差を広げる方向ではないか。

■折原理事 給与改定は翌年4月に実施するのが本学の基本方針であり、今回の給与改定は2008年4月1日から実施する。ただし今年度については、状況もあり、年度内に正職員に0.05月分の一時金を支給する。

□組合 一時金の支給対象については後で議論する。

 時間雇用職員に一時金を支給する方針は評価する。時間雇用職員の声を聞くと、額の問題ではなく、正職員等がボーナスをもらっている時になぜ自分はもらえないのかということが切実な問題だ。極論かもしれないが、たとえば10時間分でもいいから今年度分として、正職員と同じ日に支給してほしい。それはできないか。

■折原理事 すでに部局では、2008年度に向けた計画がすべてできている。額の問題ではないという点は、深刻な要求として受け止める。

□組合 理事の立場はわかるが、これは労使交渉なので、互いにどこまで妥協するかという話し合いの場だ。いっさい変えられないという方針で交渉に臨まれると困る。我々は10時間でもいいと妥協する。理事はどこまで妥協できるかを示してほしい。決まった話だというスタンスでは交渉にならない。

■折原理事 交渉というものの性格についてはわかるが、私としては最初から最大限の回答をしている。正職員への一時金でさえ大変な状況だ。要求に対して、難しいと回答することもできたが。そういうスタンスはとりたくないので正直に話している。

□組合 一つ確認したい。時間雇用職員の人件費は部局負担であり、ボーナス支給については本部としては部局に働きかけるということだと理解した。すると、部局によって財政事情が異なるから、払える部局と払えない部局が出てくる。ということは、来年度以降、時間雇用職員の間で、雇用されている部局によって、ボーナスが払われたり払われなかったりする違いが生まれるということか。

■折原理事 仕組みとしては、部局人件費から支給される。余裕のある部局とない部局がある。本学の規程上は、部局の努力の中で物件費の予算の範囲内で支給するということで、予算がオーバーするような場合は引き下げて支払うこともできる。極端な場合はゼロということも規程上はあり得る。実際にはないだろうが。そういう規程になっている。

□組合 私が質問したような事態が生じる可能性はあるということか。

■折原理事 質問のあった問題は、規程上はあり得る。

□組合 同じところで再雇用職員も時間雇用職員も働いている例があり、再雇用職員にはボーナスが出るが時間雇用職員には出ない。12月支給としてお願いしたのはそうした状況をなくしてほしいということだ。時間雇用職員の人は、来年度はいないかもしれない。同じようにしてほしい。

□組合 一番のネックは、予算がないということなのか。

■折原理事 総合的な判断だ。今年度の予算状況だけを見ての判断ではない。今後、運営費交付金は、今回は▲1.9%だが、毎年少なくとも1%は減る。国家公務員や他の国立大学法人同様、人件費の5%削減方針もある。

□組合 我々は、たとえば10時間でもいいから2007年度分として支給してほしいと言っている。先ほどの回答では、正職員には0.05月分の一時金を支給するということだが、もし額がネックなのならば、たとえば0.05月を0.04月に減らして余った分を時間雇用職員へのボーナスとして支給するといったような検討は全くされなかったのか。

■折原理事 組合としては、それでいいのか。

□組合 正職員の給与を割いてもいいから非正職員の待遇改善へということは組合の方針ということではないが、一つの案ではある。それも検討する。しかしそれ以前に、法人側が今年度は絶対出さないということならば交渉の余地はない。

■折原理事 回答は最初に言った通りだ。それも含めて検討してほしいという要求ならば、検討の条件が異なる。いろんな観点から検討しなければいけない事項になる。すぐに了解できるようなことではないだろう。組合の正式な要求として出すのならば正式に受け止める。

□組合 こちらも検討する。あくまでこれは項目1、3との兼ね合いということになる。

 人勧に準じた本給表改定については、2008年4月以降、勧告通り実施するということだと理解する。

 期末勤勉手当の0.05月分引上げについては、2008年4月1日以降、今年度分として支給するということか。

■折原理事 この分については、今年度中に一時金として支給するために給与規程の改正をする。

□組合 これについては今年度中に支給する方針だと確認する。

 本給表改善については2007年4月1日に遡らないということか。

■折原理事 本学の基本方針通り、翌年4月実施とし、遡っては実施しない。

□組合 人勧が適用される国家公務員よりも、本給改善としては非常にマイナスの形での実施ということか。

■折原理事 国の改定通りではない。

□組合 困った回答だ。問題点をいくつか指摘する。

 たとえば、人事交流自体の善し悪しはともかく、事務職員については、県内の高専と人事交流をしている。高専職員については、2007年4月1日から人勧通り給与改善が実施されていると認識している。このことについて理事の認識はどうか。

■折原理事 確認する。

□組合 宮城高専に出向している。高専では2007年12月1日から人事院勧告通り実施されている。

■折原理事 各高専単独でということではなく高専機構として全国一律で決めている。国立大学法人も高専機構も、それぞれ自主的に決めているということだ。高専では遡って実施されていることがわかった。

□組合 人事交流の善し悪しについては、それぞれ単独の法人なので法人間の人事交流があっていいのかという懸念はあるが、それは別として、同じ東北大の職員だった人が、たまたま高専に行っていればその人の給与は人勧通りで、たまたま東北大に残っていれば2007年4月1日に遡及した形での給与改善はない。同じ東北大の職員の中に分断、差別を持ち込むことになる。これは東北大の職員の労働意欲をそぐのではないか。

■折原理事 それは一面的な見方ではないか。組織には皆それぞれの役割や使命があり、業務も給与体系もそれぞれ違う。国立大も高専も青年の家も少年の家も皆同じ給与体系で、取扱いだけがバラバラだということならおかしいが、それぞれ違う。ましてや国立大は法人になったので、それぞれ決めることだ。

□組合 本当に、高専に出向して労働条件が変わったのか。

■折原理事 私の例だが、文科省に入省して給与が決まり、組織としても自分としてもいろんなところに出て経験を積む。東北大から高専などに行くことと同じだ。それぞれに組織も仕事も違い、当然給与も違う。

□組合 本当にそうか。

□組合 今のところ、東北大と高専では給与は同じだ。

□組合 一般の事務職員は高専に行ったから労働条件が変わるということではないのではないか。

■折原理事 職員のモチベーションの問題はあるが、現在の仕組みのあり方からは、制度が全部一緒ということはない。法人化前、国立の時代が長いことによる影響はある。

□組合 東北大の職員として同じ釜の飯を食べていた人が、高専に出向すると2007年4月に遡及して給与が改善され、東北大にいると2008年4月からしか改善されない。同じ東北大の職員として働いてきた人たちの間にこの区別が生まれると私は思うが、理事はこの区別をないという。本当にそうか。人事関係の客観的な事実として確認してほしい。同じ東北大にいた職員の間に差別と分断を持ち込むことは許さない。

■折原理事 それは違うと思う。東北大の職員が高専に出向すれば、高専の職員になり高専のために高専の命令で働く。東北大の職員ではない。

□組合 それでは人事交流が成り立たないのではないか。一般には東北大の職員には人事交流があり、宮教大に行ったり青年の家に行ったりする。私は、法人化した下でこうした人事交流があることはおかしいし、役職員が文科省から手当てされることもおかしいと思う。しかし、それはさておき、人事交流があるもとで、給与の問題として、高専に行った人と東北大にいる人との間に違いがあるのはまずいのではないか。

■折原理事 組織が違うので質が違う。

□組合 それは東北大が人事交流を行わない場合の考え方ではないか。

□組合 予備的に事実確認をしたい。東北大の事務職員が高専に出向する時に、異動命令一つで行くという実態があるのではないか。理事は、東北大に尽くす職員が、出向して高専に尽くす職員になると言う。高専への出向は労働契約の変更にあたるほどの変更だと認識しているようだ。実態としては異動命令一つで出向しているのではないか。

■折原理事 出向や異動については、組織の必要性、組織同士の考えに基づいて行われている。その職員が高専等へ行き、帰ってくることが本学の発展のためになるということだ。

□組合 事実として、異動命令一つで行っているのではないか。

□組合 たとえば高専に出向するということは、東北大学との労働契約がなくなり、独立行政法人国立高等専門学校機構との労働契約を結ぶ問題だと、理事は言っている。

■寺中人事課長 本学の就業規則にもとづき出向した職員には、出向先の就業規則が適用されている。

□組合 理事が、法人化された以上、各法人が独自に個性を輝かせようと言っていることには賛成だ。しかし実際には出向という形で人事交流がある。ところが、出向した人は人勧通りに遡って給与改善され、東北大で働いている人は改善が遅れる。これでは本学の個性が輝かないのではないか。ここにいる幹部クラスはともかく、若い人たちのモチベーションは上がるだろうか。

■兵頭特任教授 出向については就業規則にある。本学は職員に出向を命ずることができ、職員は正当な理由がない限り断れない。判例法理としては、出向命令について職員の個別的な同意は必要ない。ただし従来に比べて著しく不利益になる場合には配慮が必要になる。今回のように利益になる場合には法には抵触しないのではないか。

□組合 問題にしているのは、現在本学から出向している高専の職員と本学に残っている東北大の職員との間に差が出るということだ。

■兵頭特任教授 差が出るのは当然だ。大学としては著しい不利益が出ないようにすればよい。

□組合 東北大にいる職員については著しい不利益になる。2007年度について、高専に行った人の方が良かったと東北大の職員が思うとすれば、それは本学にとって望ましいことか。私は望ましいことだとは思わない。

 次に、他大学と比べた場合にはどうか。法人側が把握している状況を教えてほしい。とくに旧帝大クラスの状況が知りたい。

■寺中人事課長 こちらで把握している内容を紹介する。認識の違いがあれば言ってほしい。

北大 国家公務員と同じ内容での給与・ボーナス改定 ・2007年4月に遡及した内容で改定。
東大・2008年1月改定。
・2007年4月〜2007年12月分は一時金として2月支給予定。
名大・2008年2月支給予定(2007年4月遡及)
京大・2008年1月支給(2007年4月遡及)
阪大・2007年12月支給(2007年4月遡及)
九大・2008年1月支給予定。
・2007年4月〜2007年12月分は一時金として支給。

□組合 かなり多くの大学で、人事院勧告に準じた形で2007年4月にさかのぼって改定すると理解した。それに対して東北大は2008年4月実施だ。百周年記念行事で本学職員は他大学にはない努力もしたがそれは報われない。

■折原理事 一時金という形で今年度については支給する。

□組合 それは他の大学でも同じではないか。

■折原理事 それだけを取り上げられても困る。こちらが説明した他大学の状況について認識が違うところはないか。

□組合 基本的には同じだ。

 間もなく交渉時間として約束した1時間になるが、我々の要求内容と法人側の回答との間に大きな齟齬がある。基本的には、項目1のボーナス0.05月引上げについては、今年度中に引上げるということだが、ただし正職員のみだ。これは納得できない。准職員にも実施すべきだ。項目3の本給表改善については、2008年4月実施には納得できない。2007年4月に遡及して実施すべきだ。したがって、組合としてはすべての項目について法人側に再検討をお願いする。本日の交渉時間を延長して良いか。

■折原理事 私はかまわない。都合の悪い人はここで退席して良い。

■石井課長 15分程度ならば良い。

□組合 交渉継続としたい。今回の本給表改定は若い人の給与改善だと思うが、他大学や高専ではそれを2007年4月にさかのぼって実施するのに、東北大の若手は2008年4月にならないと改善されない。若手から発言する。

□組合 東北大に来てから3年経つが、一度も上がったことがないのではないか。給与明細を見るたびに寂しい気持ちで毎日頑張っている。

■折原理事 みんな上がっていない。引き上げ勧告は初めてだ。

□組合 18歳で入って今年で6年目になるが、ベースダウンが2回あり、一度も上がっていない。今回、公務員は2007年4月にさかのぼって改善されて、こちらが改善されないのは残念でありきつい。

□組合 要するに公務員のままの方が良かったということだ。2005年人勧の際には、法人側は人勧が重要な判断材料だからという理由で大幅に給与を引き下げた。それが経営側として失敗だったと思う。それなのに今回は、人勧は一つの材料にすぎないので上げないというのは論理的に無理がある。

■折原理事 人勧は重要な判断材料であり軽視はしていない。2005年は引下げ勧告であり、本学では、年度内には給与改定せず翌年4月から改定した。これも総合的に判断してのことだ。また引下げだが在職者には現給保障があった。引下げ勧告に準拠する場合には財源上の問題はないが、引上げ勧告に準拠する場合には、国がお金をくれるわけではないので、大学の財政が苦しくなる。2005年度の状況と今回の状況とでは財政的に大きな違いがある。

□組合 現給保障をしたことは国家公務員と同じだ。本学は法人化したので、労働条件は交渉で決まる。しかし、下げる時には公務員と一緒で、上げる時には公務員とは違うということでは、何のための法人化か。国家公務員としての身分を失ったのは何だったのか。法人にならない方が良かったと職員が思って当然だ。理事は数年で文科省に戻れるので問題ではないだろうが、東北大の生え抜きからすると、法人化とは何だったのか。給与は良くならない、仕事だけは忙しくなる、成果成果とせき立てられる。これでは仕事に対する熱意が相当低下するだろう。私はそれを恐れている。2007年4月に遡った給与改定を再度検討してほしい。いかにして東北大の職員のモチベーションを高めるかを考えてほしい。

■折原理事 東北大が発展していくためにモチベーションは大事だ。井上プランに掲げたトップ30の実行もある。

□組合 井上プランの実施より前に、井上総長は、まず、身にかかった火の粉を払った方が良いのではないか。井上プランに金がかかるから人件費を抑えるというのでは筋違いだろう。

■折原理事 教職員総体としての大学だということをふまえて経営していかなければならないのが総長の役割だ。

□組合 井上プランを実施すれば職員のモチベーションが上がるということか。

■折原理事 上がると思う。

□組合 本当にそうだろうか。

■折原理事 国家公務員を羨んでも、国家公務員だってどうなるかわからない。

□組合 長期的な展望を語ることも重要だが、さしあたり2007年度の人事院勧告をどう実施するかを考えてほしい。

■折原理事 私としては頑張った結果だ。

□組合 私が聞いたのは、第一点は、東北大の職員の中での差別の問題、第二点は、他の旧帝大ではどうなっているかという問題だ。ほとんどの旧帝大で2007年4月に遡及して実施されるということなので他の旧帝大クラスとの格差も生まれる。東北大の職員は他大学と比べてモチベーションが下がるのではないか。

■折原理事 前提条件が理解されていない。それぞれの大学との経営判断の違いだ。本学の基本方針もある。

□組合 他大学の経営者は、2007年4月1日にさかのぼって実施した方が大学経営にとって良いことだと判断したのだろう。東北大学については2008年4月1日に実施すれば良いという経営判断ですね。

■折原理事 国や他大学の状況、本学の基本方針、本学の発展のためにはどうすればいいかの見通し、財務状況等々をふまえての総合判断だ。

□組合 総合判断の結果、本学の人件費については、給与改善については、2008年4月1日に実施すれば良いという判断ですね。他大学の経営陣は2007年4月1日で実施するということなので、それだけの財務的な体質が持てたということではないか。

■折原理事 それらの大学が3年後や5年後にどうなっているかわからない。

□組合 私が言っているのは、2007年度の人事院勧告にどう対処するかだ。それ以上のことは言っていない。理事は、東北大学の職員に対して、今は厳しいだろうが我慢していれば、2009年頃になれば一番良くなっていると言いたいのではないか。

■折原理事 状況が良くなっているかどうかはわからないが、良くなっていく可能性をつくるために今何をすべきかということだ。

□組合 今、モチベーションが下がるような論法をつかっていて、なぜこれ以上モチベーションが上がるのか。他の大学は2007年から給与改善されているのに東北大学はしない。これでモチベーションが上がるはずがない。

■折原理事 モチベーションにとって賃金は大きな要素だとは思うが、すべてではないだろう。

□組合 霞を食って生きていけば良いと。

■折原理事 そうは言っていない。

□組合 前回の交渉で、お金がないという話題になったので、金がないということならば、早急に大学の財政を示す資料を出すべきだという話をしている。また、人勧通りに実施できない場合、経営側の責任を明確にすべきだという話もしている。理事が役員や経営協議会委員と真摯な話をしたということなので、この辺を含めた回答がくることを当然私たちとしては期待しているのだが、まだその説明を受けていない。

■折原理事 回答の説明の中でそれについても説明したつもりだ。

□組合 それならば説明を受けていないのと同じだ。

■折原理事 本学の決算書、予算書はオープンにされている。部局の人件費に関わる資料などは、それぞれの部局長が責任をもって管理している事項なので、私の立場で出せるような資料はない。経営者の責任は、大学がどのように維持発展するか考えることだ。この重い経営責任の中で今回の回答も決めた。部局長も含め指定職適用者には今回の一時金もない。今年度から部局長についても評価をするようにした。一般の教職員には昇給もありボーナスもあり、上がることもあれば下がることもあるが、今回、指定職適用者については下げることもあるとした。実際に下がった人もいる。

□組合 だから、職員は我慢しろということか。

■折原理事 要求を受け止めてその通りにしてあげたいという気持ちはある。しかし、今の時点でそれをしたらどうなるか。来年しなければならないこともたくさんある。例えば時間雇用職員のボーナスのためのお金も必要だ。いろんな財源の手当も必要だ。私は真摯に対応しているつもりだ。全然教職員のためを考えず苦しめてばかりというような言い方をされると残念だ。

□組合 理事の優秀なことは大いに認めるが、旧帝大の人事担当理事はさらに優秀なのだろう。さかのぼって給与改善することの方がより職員のモチベーションを上げるということを押さえているのだから。

■折原理事 責任をもって回答できる問題ではない。

□組合 今回の回答によって、他の大学の教職員と比べて、東北大の職員のモチベーションは下がる。課長クラスの人はなぜ東北大学に来てしまったのだろうと思うのではないか。それでも課長クラスは本庁に戻ればその分カバーをしてもらえるかもしれない。東北大に生え抜きでいる職員にとっては他大学の方が良かったと思うだろう。

■折原理事 他大学よりも本学の職員の待遇を悪くすることは誰もしたくない。しかし、いろんな判断でそうせざるを得ない。その中で一番頑張った結果を回答している。それが理解されなくて残念だ。

□組合 残念なのはこっちだ。若い人にとっては本当に残念だ。若い人たちの働く意欲にいかに思いをいたすかという点で、他大学の経営者の方がより思いをいたしたということではないか。

■折原理事 総合的な判断だ。

□組合 総合的な判断をしたがために、給与の改善については2008年4月1日まで遅れる。私たちとしては、のめない回答だ。あらためて役員会で諮って、給与改定については2007年4月1日にさかのぼって実施してほしい。交渉を継続したい。

 第2点として、0.05月分の一時金の引き上げについては今年度中に行うということだが、その対象に准職員も含めてほしい。

 第3点として、時間雇用職員には、今年度中に原則として30時間分の一時金を支給してほしい。

 この3点についてあらためて検討をお願いしたい。

■折原理事 本日の交渉で、その要求があることはわかった。しかし、どんな対応をするかはわからない。

□組合 それが交渉というものだ。交渉は継続ということで良いか。それとも、もう役員会に諮ることはできないか。

■折原理事 この交渉について役員会に報告する。

□組合 組合に力があればストライキをするところだ。できれば争議はしたくない。法人側とのこれまでの良好な関係もある。大学側の良心に委ねるので、交渉を継続するという前提のもとに再度検討してほしい。たとえば組合員の教員がストライキをするということもありうるが、私としては争議はできるだけしたくない。他大学との兼ね合いで、本学職員のモチベーションをどうやってあげるか、また、東北大の事務職員の間に差別が出てくるような制度が良いのか。高専機構が行ったように、給与については2007年4月にさかのぼって改善する以外にはないと思う。もう一度検討を要請する。

□組合 総合的な判断を経営者がした結果、遡及はしない、教職員には我慢せよということだと理解する。しかし、総長、理事、副学長等の給与は変わらないのか。少なくとも、来年度以降下がりはしないのではないか。

■折原理事 変わらない。

□組合 さきほど部局長については下がった人もいるということだったが。

■折原理事 ボーナスについてだ。

□組合 わかった。

■兵頭特任教授 給与改定は労使の交渉事項であり、経営側は誠実に対応しているということを前提に考えてほしい。「本学職員の給与の取扱いに関する基本方針」を2005年12月16日の交渉で組合に伝えてある。この基本方針に変更はない。この基本方針で言っているのは、第一期中期計画の期間内では運営費交付金の減額や総人件費改革があるので予算をプールしておくことが必要であり、一方、誠実な労使交渉は重要なので経営者として基本的なスタンスを確立して交渉に対応する必要があるということだ。この基本方針に基づいて、今回については、内容は人勧準拠、実施時期は翌年度4月から給与改定するということだ。現状では基本方針を変更しなければならない特別な事情はない。一方、理事が新たに提案したように、期末勤勉手当については、他大学の状況等も考えて、とくに知恵をしぼって、年度内に一時金として支給するとしていることを、受け止めてほしい。正職員に限っていることが問題だという点では意見が一致していないが。

 人事院勧告を有力な基本資料として参考にするということは、あくまで給与を考えるための社会的な相場という意味に考えてほしい。春闘の時期に大手企業と同じように給与改定したらよいか、それが中小企業に波及してきた段階で対応したらよいか、あるいはそれらを全部踏まえた人勧が出た段階で対応したらよいか。本学の基本方針は、そうした波及効果をすべて踏まえて検討した方がよいという立場だ。単に国に準拠するとか、他大学の真似をするとかではない。もちろん外部労働市場については考慮する。理事が、全体の相場判断と言っているのは、基本的なスタンスの中でいろんな事情を踏まえて今回の方針を出したということだ。経営側の中期計画中のスタンスがけしからんということならば、それについて議論する。基本的なスタンスを前提として我々として知恵をしぼったものに対して不満を言われているように思う。その点は整理して議論してほしい。

□組合 今のは大変重要な発言なので、それに対してコメントする。はたして法人化とは何だったのか。我々にとっては、最終盤に非公務員型での法人化が押し付けられた。しかし法人化した以上、民間同様に賃金交渉をする。それならば3月頃までに翌年度の賃金について交渉するのが相場だ。それはそれでいいが、しかし、国立大学法人の場合、民間とは違って運営費交付金があり人勧がむしろ重要な意味をもっている。これについては知恵をしぼらなければならない。この2年間、人勧は上がらなかった。それを良いことに法人側は給与の改善に手をつけなかった。それが問題だ。この2年間、労働条件をいろいろ改善していたのなら話は違う。経営側はこの間の前提に失敗した。経営者が全然努力しない中で、職員には我慢しろと言う。これではだめだ。2007年の4月1日に遡った形での給与改善を、他の旧帝大と並んだ形で実施してほしい。

以上


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