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国立大学法人東北大学職員組合
2009年度定期大会議案

と き:2009年7月11日(土)13:15〜17:00
ところ:金 研  講堂( 2号館 1階 )

この大会議案には、課題別・職種別に経過と課題を記載しています。労働条件の改善、生活の充実をめざして、啓発・協力し合える組合をめざして、職場討議を進めましょう。定期大会に全ての組合員の意見が反映されることを望みます。

議案をPDFでダウンロードする


第1号議案(経過報告と運動方針)

はじめに

(1)権力集中と人間のさが

 一般に、権力が集中すると碌なことが起こらない。これは人間の相であろう。人類は、そのことを歴史から学び、権力が集中する場合には一定の足かせや牽制の仕組みを導入し、以て安全弁とした。翻って、法人化後の大学運営を見てみよう。そこでは、大学の総長に全ての権限が集中しています。総長と理事によって構成される役員会が大学運営の中核となっています。その理事の選び方は定かでなく、大学教授や文科省からの出向役員もおられるが、形式的には総長が任命することになっているのでしょう。さらに、総長室なるものがつくられ、大学のあらゆる重要事項の企画立案を行っています。総長室は、全て総長によって指名された構成員で成りたっており、総長室長に実際の権限が集中しています。ここで重要なことは、役員会に対しても総長室に対しても大学構成員が直接ものをいうチャンネルがないということです。法人化前は、教授会がその役割を果たしていましたが、いまや教授会は大学当局が意見を求めない限り、当局からの報告をただ聞くだけの場となってしまいました。つまり、役員会や総長室を牽制するものは何もないということです。いかに総長や理事、総長室長が立派な方であれ、組織論的には、このような組織では、弊害が生じることは火を見るよりも明らかなことです。

(2)大学は人材が命

 大学当局は、4年間で実に76億円(2007年度までの累計)もの剰余金を目的積立金と称して蓄積しました。ところが、第1期中期目標・中期計画終了に伴いその大部分を国に返還せざるをえないことが判明すると、俄にこれを「学内財源を活用した新たな整備手法による建物整備計画」等として第1期中期目標・中期計画終了前に使い果たそうとしており、計画は2008年度より執行されつつあります。さらに、この財源で建設される建物については、本部関連のものを除いて、その建設にかかった費用の全額又は一部を年次計画で本部に返済することになっているのです。つまり、これまでに積み上げられた剰余金の半分以上は、実質的には第2期中期目標・中期計画期間に繰り越されることになるのです。

 さて、剰余金76億円のうちの72%は人件費から捻出されたものです。2005年度以降毎年10億円を超える人件費がその本来の目的のために使われていないことになります。大学は人材が命であり、そのための経費を他に回すという経営は理にかなっているのでしょうか?この額が適切であるかどうかという重要なことが、単に当局の経営判断ということで決められているのです。一般の会社のように株主総会があれば、この経営方針に物申すことはできますが、国立大学法人にはそれに類するものはありません。まさに大学当局のやりたい放題ということになります。ちなみに、2007年度までに全国の国立大学法人の剰余金の総額は、何と3000億円に達しています。財務省は、これを「埋蔵金」と位置づけてその積極的な活用を促しています。また、これを理由の一つとして年々減らしている交付金に対する大学からの増額要求をはね除けようとしています。

(3)法人の暴走と知の結集の必要性

 部局教授会が決定した案件(名誉教授推薦)を総長・役員会が教育研究評議会にかけなかったことは、まだ記憶に新しい重大な問題です。このようなことは、法人化前には起こりえなかったことです。一方、当職員組合との交渉においても「これは経営判断の問題だ」の一点張りで、交渉の体をなさず、法人化によって労働3権を取り戻した職員組合に対して、今期法人当局はほぼ100%のゼロ回答を示しました。年金支給開始年齢の引き上げに伴う継続雇用問題では、法人当局の教員に対する再雇用原案は、各部局から総スカンをくらうような内容でした。第1に、原案は研究・教育の現場を全く知らない人が作成したとしか言いようのないものでした。第2に、再雇用に係る経費が定年延長の場合の約半分であることに執着し、再雇用の人材をどう活かすかという経営者としてのもう一つの観点が極めて希薄であることです。ところで、定年延長ではなく再雇用とする最大の理由は財源の問題であるとしていましたが、皮肉なことに、剰余金の原資となる剰余人件費と定年延長に必要な経費(当局のシミュレーション)は、ほぼ同額なのです。

 知の集合体である大学において、役員会や総長室で権限を持った個人のイニシアティブでトップダウン方式に物事が決まり、大学構成員がたとえ大声を張り上げても、結局は当初案を実行して行く様は大学にはなじまない。現体制下では、職員組合以外では、部局長連絡会議がかろうじて当局との接点を持ち、例えば「時間雇用職員の給与体系等の見直しについて」や「教員の63歳定年後の継続雇用」等の案に対して、各部局構成員の意見として苦言を呈してきました。これらを不服と思ったのか、当局は、今度は部局長を大学本部で決定するということを言い始めました。まさに、「人間の相」とは哀しいものです。私たちは、大学の自殺行為に等しいこのような措置を断じて許してはならないと考えています。

(4)「法人化=トップダウン」は間違った方程式

 大学運営において、何らかの計画をなすとき、体制がどうであれその原案は確かに少数の人達で創って行くのですが、そのとき大学の英知を結集しようとするか否かが重要なことです。形式的にではなく実質的に知を結集する方法を見いだす必要があります。大学人がそういう姿勢を持つことが大切です。「法人化後の大学では、物事はトップダウンで決定されるのでしかたがない」と大学人が思ってはいけません。「法人化=トップダウン」は間違った方程式です。確かに、大学運営がトップダウン方式でできるようになったことは事実ですが、すべてをトップダウンでやる必要はない筈です。法人化の体制下でもボトムアップはいくらでも可能ですし、教授会の機能を回復させることも可能です。私たち大学人は制度としての法人化された大学に席をおいていますが、大学をどのように運営するかは広く大学構成員に問われる問題なのです。

(5)大学の職員組合の役割

 このような大学の現状に即して、私たち職員組合は、知を結集し、法人体制下の大学運営が民主的な手続きと適切なリーダーシップを組み合わせたものになるよう活動しています。東北大学職員組合は、労働3権をもつ労働組合として、大学構成員全員の労働環境の改善、待遇改善を目指すものですが、同時に働き甲斐のある優れた大学を目指して活動しています。

 これらの活動をより効果的に行うためには、組合の組織率を上げることが必要であることは言うを俟ちません。今期は、いろいろな工夫をして組織拡大に取り組みましたが、この活動は今後も続ける必要があります。但し、大学における組合の活動は常に楽しいものでなければなりません。組合員同士の親睦を深め、協力して充実した組合をつくって行きましょう。

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1.2009年度の運動の基調と重点課題

[1]運動の基調

 組合の基本的な目的は、第1に、国立大学法人東北大学における研究・教育を充実・発展させることと、大学の自治を維持・発展させることです。組合は、学問の自由、学内民主主義、自律性原理を基本に真の大学改革を進めていきます。また、それを通じて、世界と地域の未来をつくる大学、いかなる権力からも自由で創造的な大学を目指します。

 第2に、労働3権を全面的に行使し、教職員の賃金・労働条件と職場環境の改善、各職種の地位の向上をはかることです。

 第3に、広範な市民、団体とともに地球環境、平和・民主主義、文化等の取り組みを進めることです。

 第4に、それらを保障する強く大きく賢い組合づくりを進めることです。組合は、全大教に結集して、政府や国大協との交渉・会見など、全国の大学に共通する課題に取り組みます。

[2]重点課題

 上記基調にもとづいて、2009年度は、以下の重点課題に取り組みます。

(1)要求と提案

 2009年度の政府および法人側に対する重点的な要求課題は、別紙「要求と提案(案)」とします。2009年版「要求と提案」にもとづき積極的に政策活動をおこない、団体交渉や迅速な情宣活動等を通じてそれらを実現する存在感のある組合をつくります。なお、「要求と提案」の実行に当たり、数字等細部の改訂が必要になった場合には、執行委員会が対応することとします。

(2)政策活動

 新たな人事評価制度の下で、待遇改善、評価と査定などの調査・分析・提案が組合活動にとってますます重要になっています。積極的な政策活動をおこなっている「賃金・人事制度検討委員会」を引き続き設置し、その提言にもとづき当面の課題に対応します。また、次年度に向けた政策の充実をはかります。

(3)労働協約

 「団体交渉に関する協定」「組合活動に関する協定」にもとづいて、適切な時期に適切な課題を提起できるよう交渉能力を高めます。

(4)支部活動

 支部活動の活性化、計画的な組織拡大を進めます。

  1. 法人化後5年を経過して浮きぼりになった問題点と課題を整理し、支部活動をサポートします。
  2. 過半数組合をめざす目標と計画を作成し、本部と支部で協力して系統的に組合員拡大を進めます。

(5)情宣活動

 立て看板や掲示板などで、未加入の教職員に組合の方針、実績、重要性をわかりやすく宣伝します。 また、組合員へは、随時、ホームページや電子メールも利用して諸活動の広報に努めていきます。

(6)組織強化・拡大

  1. 組織・財政検討委員会を引続き設置し、組合員拡大と財政健全化をはかります。
  2. 次代の担い手を育てます。青年部の活動は自発性を尊重しながら応援します。若い世代の多い事務職員、看護師、技術職員、助教層への働きかけを工夫します。
  3. 他大学への出向、転籍に際しては、全大教全体として組合員減とならないように単組間での連絡を密にします。

(7)諸課題

  1. 准職員、時間雇用職員の労働条件改善を進め、正規職員との格差是正に努めます。
  2. 過半数代表者との効果的な連携をはかり、就業規則・労使協定等をより良いものにしていきます。団体交渉の重要性を過半数代表者と教職員に伝えていきます。過半数代表者の民主的な選出をサポートします。
  3. 教職員共済生協との団体事務委託契約に基づいて、教職員の利用を促進します。
  4. 憲法9条を守り、憲法を仕事とくらしに活かします。各種選挙にあたっては、組合員の思想・信条の自由を守り、政治的自覚の向上をはかります。

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2.質の高い研究・教育の場を獲得するために ─教文部の活動─

[1]法人化後の大学と組合運動

(1)情勢

国立大学では、大学の教職員数に応じて配分されている「運営費交付金」が毎年1%削減されてきたため、財政が逼迫して基盤的な研究費が削られ、大学間格差もいっそう拡大しているといわれます。2009年度予算では、3%削減が予定されていたのですが、大学関係者たちの反対運動が実り、ようやく1%減に抑えられた状況でした(ノーベル賞を受賞した日本の科学者たちが、基礎研究の重要性を力説したことが大きかったともいわれます)。

そうした背景をうけ、「法人化」した各大学の教員は、競争的経費獲得や経費削減などに追われています。もともと「法人化」は、数値化された業績把握と経営効率化という、およそ教育や研究に馴染まない方向性を持っていました。一方、「人事院勧告」への追随に見られるように、法人化したにもかかわらず、自立できない経営姿勢が目立っています。

(2)今年度の活動

 2008年度法人側との団体交渉の要求項目のうち、教員に関わる項目は主に3つありました。(1)助教の処遇改善、(2)教員への安易な任期制導入反対のうち、(1)については、以前から主張していた助教独自の本給表作成の要求に加え、本給の調整額について調整数2を適用するという要求を新たに加えました。1月21日の団体交渉において法人側は、「大学院博士課程の担当を命じられた者」という条件について、内実ではなく名目で判断するという立場を崩さず、要求は通っていませんが、今後粘り強く学内(特に助教)に訴え、学内世論を形成していくべき課題が見えてきました。(2)についても、目に見える成果を得られていませんので、次期執行部で改めて検討すべき課題となっています。

 2008年秋頃から表面化してきた課題が、(3)教員の63歳定年後の継続雇用問題でした。この問題は、法律で年金支給開始年齢が段階的に引き上げられたことにともない、それまでの雇用確保をこれも法律で定められたことに淵源します。しかし、日本の大学の中、65歳定年を定めている大半の大学では問題とならず、東大・九大を除く旧帝国大学などに限定された特殊な問題となっています。当初、法人側は事務職員にならい「再雇用制度」の導入を打ち出しましたが、各部局の説明会などで実際の運用について不安や不満が多く出された結果、次第に骨抜き(=各部局への丸投げ)状態になっていきました。

 組合は、比較的早くからこの問題を意識し、10月には団体交渉の項目に取り入れました。11月にはポスターを学内に貼り出し、この問題の存在を広めるとともに、文科系支部主催の懇談会への参加も呼びかけました。12月2日に行われた団体交渉において組合は、経営側としての自覚にもとづき指針を提示し、全学的な議論の場を作るよう要求しましたが、1月21日の団体交渉における回答は「プロジェクトチームの報告を待つ」であり、法人側から明確な方針も反論も示されることはありませんでした。

12月10日に行われた文科系支部主催の懇談会は、不透明な法人側の態度を背景に、未加入者も参加して各部局や学外の状況を互いに報告し、学内の声を集約する場となりました。法人側が示した「再雇用」案に対し、「定年延長」というもう一つの選択肢について検討する場を持てたことは、その後の組合の議論の基礎となりました。1月24-25日の全大教単組代表者会議(東北・北海道地区)で聞いた限りでは、同じ「再雇用」案でも北大などは実質的な定年延長を念頭においた対応がなされており、東北大学の迷走ぶりを感じさせられました。

こうした経緯を経て、2月26日に行われた拡大教文部会において、「定年延長」案と「再雇用」案の分析を行う中で、「定年延長」案を主張し、仮に「再雇用」案となった場合でも実質的に定年延長となる運用のポイントについて、議論がまとまりました。5月19日に行われた組合本部(教文部)主催の学習会では、「定年延長」の方向性が固まり、同26日付で組合の見解「教員の定年年齢を65歳に引き上げることを求めます」を表明しました。

同時期、法人側も「定年延長」案に舵を切ったという情報がありました。しかし法人側の案は、内部で議論を積み重ねてできた案というより、他大学の動向に対する横並び意識の産物と推測される経緯があり、実際の運用が組合の納得できるような形態になるか否か、引き続き注目していく必要があります。

[2]助教問題について

(1)2007年4月1日から教員組織の新制度が導入され、従来の助手が、研究・教育を主体的に行う「助教」と研究・教育の支援業務を行う「助手」に分離されました。この変化については、これまで曖昧だった旧助手の職務を明確に定義したことで一定の評価ができますが、待遇の面ではこれまでと一切変わりがなく、今後も改正の見通しはありません。

(2)助教に移行したことにより博士学位の取得がその条件となり、研究者として一般に認められるようになりましたが、給与面での改善はなく、むしろ任期制の一部導入や講義担当等の職務の増加により待遇は悪くなっています。職務が増えても待遇が同じということでは、助教授から移行した准教授についても同じ問題があります。しかし、任期制の導入や助教ポストの削減など助教の置かれる立場はより深刻であり、学内の矛盾の皺寄せが最も立場が弱い層である助教に集中してきています。

(3)組合では、「助教の待遇改善のためのアンケート」を2007年11月に東北大学の全助教(984人、回収率6.6%)に対して行いました。その後、教文部で回答内容について詳しく検討し、次の問題点を取り上げました。

  1. 任期制について

     回答者65名中38名(58%)が任期ありと答えています。しかし、回答者のほぼ全員が「任期付き」に不満を表明していました。将来の不安定さ、再任基準の透明性に強く不安を覚えています。大学の財政状況、文科省の方針等の事情により任期付き助教は増加傾向にあり、今後の組合活動・組合員拡大において任期付き助教問題は重要になると考えられます。任期のない教員数増加、再任基準の透明化を大学側に求めて行く必要があります。

     強制的な任期制への移行、パワーハラスメントなどの声も聞かれ、組合としても情報収集に努める必要があります。

  2. 給与について

     任期の有無に関わらず、ほぼ全員が「職務や職責の割に給料が安すぎる」と考えています。昨今の物価の上昇に対して教職員の給与が抑えられているという問題もありますが、助教の場合、30代後半で昇給カーブがフラットに近づくため、子育ての費用の増加に追いつけないといった重要な問題があります。最近の教員定数削減により、助教就任と上位職への昇進が高年齢化しています。また、経験年数の多い助教は講義も担当するようになりました。助教の捉え方は、若手のポジションとしての従来の捉え方とは違ってきています。これらのことを踏まえ、現在の助手と同じ給与表とは別の現在の職務に則した助教の給与表が是非必要です。同時に、人員・設備等を整備して、助教の職務を軽減することも重要です。

(4)2008年度は、助教の待遇改善の第一歩として、大学院手当(大学院博士課程担当の本給調整額)の調整数を1から2に引き上げることを法人側に要求しました。法人側は、支給の基準を満たす者には支給しているとの回答でした(ただし、現在東北大学の助教で調整数2は1人しかいません。2008年12月現在)。調整数1は新教員制度導入以前に助手に支給された調整数であり、新制度のもと大学院における職務が増えた助教には適切ではありません。

2009年度運動方針と課題

(1)教員の63歳定年後の継続雇用問題について、組合が納得できるような運用形態の「定年延長」となるよう、各部局と連携しつつ活動していきます。

(2)助教および助手の給与改善をめざし、そのための新たな給与表を要求します。

(3)助教の多くが実質的に大学院教育を担っている現状にもとづき、「調整数2」が適用されるよう要求します。

(4)助手・技術職員・事務職員の充実により、助教が研究に集中できる環境を要求します。

(5)任期制の導入、運用および再任審査について情報収集し、不当な扱いをやめさせます。

(6)学内の教員に積極的に情報提供を行い、連携して活動していくことを目指します。

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3.力強い結束力をもとに、切実な要求を実現しよう! ─団体交渉─

[1]2008年度の団体交渉(概要)

  1. 2008年11月13日 15項目要求の団体交渉申し入れ
  2. 2008年12月02日 15項目要求の趣旨説明
  3. 2009年01月21日 法人側回答
  4. 2009年06月01日 重点項目交渉
    1. 時間雇用職員に対して、職員の期末・勤勉手当支給日に、一時金として当該職員の時給の30時間分を支給することについて(組合側申入れ事項)
    2. 平成21年6月期(ボーナス)における特例措置について(法人側申入れ事項)
  5. 2009年06月04日 平成21年6月期(ボーナス)における特例措置について(継続交渉)
  6. 2009年06月17日 平成21年6月期(ボーナス)における特例措置について(継続交渉)

 6月期(ボーナス)における特例措置について、3回の交渉を行いましたが、法人側は「社会一般の情勢への適合」で総合的に判断したと言うだけで、労働契約法に基づく説明責任をはたさない全く不誠実な回答でした。本学が財政的に厳しいわけでもなく、労働者が受ける不利益の程度についても大きいか小さいか責任を持って答えませんでした。また、あくまで「凍結」ということであり、現時点での代償措置も考えていないということです。組合としては、労働契約法の要請を満たさない、不誠実で不透明なものであると考え、これに反対し、役員会に対して、自主性のない、不透明な経営姿勢をあらため、東北大学の将来のために必要な給与政策を率直に話し合うことを求める見解を表明しました。

 交渉は決裂し、就業規則の改正が行われましたが、8月の人事院勧告以降、12月期(ボーナス)の取扱いについて、組合としても、代償措置を含め早い段階から交渉の場を設けていきます。

[2]具体的な要求と成果

(1)時間雇用職員へのボーナス要求

 法人側がボーナスを支給する方向で検討したことは評価できますがが、時間雇用職員の「給与体系の見直し」としてセットで検討された内容には問題もあります。法人側がセット案を提示してきた理由は、ボーナス支給を対外的に説明しなければならないからということでした。簡単に言うと、職務に合わせて時給を定額化したいというものです。

 また、時間雇用職員の職務内容が補助的なものだと明記しようとしていることも問題です。現在の人員削減等の観点から言えば、補助的とは言えません。ほとんどの部局長がボーナスを支給したほうが良いと答えたアンケート結果や、パート法の努力義務、ボーナス支給をよしとする人事院・財務省の方針について検討したのか疑問です。

 組合は「給与体系の見直し」には賛同しませんでしたが、法人側から提示された内容を検討してきました。しかし、法人側は突然、現在の社会経済情勢を理由としてセット案の検討を凍結しました。いつまで凍結するのかも明らかにしないという無責任な姿勢には断固強く抗議します。

 組合の要求はあくまでもボーナス支給という一点のみであり、セット案は組合の要求ではありません。しかし、セット案の中には、通算雇用期間を5年に引き上げることや、それを超える更新可能性など時間雇用職員にとって改善となる内容もあります。ボーナスを含め上記の2点についても今後も粘り強く法人側と交渉していきます。

(2)勤務時間短縮

 人勧同様に所定勤務時間を15分短縮する方向については双方とも一致していました。争点は実労働時間の短縮でした。組合としては終業時刻を17:00に戻して実労働時間を短縮することを訴え、法人側はました。しかし、法人側は、「休息」を「休憩」に変えて「時短」を実現し、あとは始業・終業時刻をどうするかという方針でした。結局、実労働時間の短縮はなく、休息は廃止され、昼休みの1時間は休憩となりました(4月1日施行)。この改定にともない、正職員の超勤単価、准職員・時間雇用職員の日給・時給は改善されました。

(3)助教の処遇改善

  1. 処遇改善の緊急措置として、助教の本給調整額は調整数2を適用すること。
  2. 助手と講師の間に助教のための級を新設すること。

 本来助教の待遇改善のためには、級を新設することが一番です。それとあわせて、現時点でも、すぐにできるはずの給与改善策として、本給調整額の調整数2を適用することを要求しました。法人側は学校教育法の改正によって助教の職務内容が、助手とは異なり、教授・准教授・講師と同じになったことは認識しています。しかし、学生の研究指導を実際に担当している場合に調整数2をつける現在の方法が合理的だと主張しています。助教は、最先端で研究も教育もし、教授・准教授・講師とも区別なく働き、さらには学生の面倒もみています。助教の実態をきちんと把握すれば、おのずから調整数2になってしかるべきです。実態を重視するのならば、一番あっているのは全員に出すことです。財源について、大学独自の改善策を考えていく必要があります。引き続き改善をもとめ取り組み、交渉していきます。

(4)准職員等の正規登用改善

  1. 1980年7月以前採用の准職員を正職員に転換すること。
  2. 正職員登用制度は、勤務実績を強く考慮した制度に改め、登用枠を拡大すること。
  3. 長期勤続の時間雇用職員の勤務実績を尊重すること。

 昨年と同様な回答しか出ず、進展がない状態です。組合としては、正規職員と同様の仕事をしているのだから、年次的に計画を立て工夫して正規化すべきだと思います。今後も粘り強く要求していきます。

(5)看護師等の勤務条件改善

  1. 大学病院における「7対1」看護体制後の勤務実態を調査し、公表すること。
  2. 看護師・薬剤師などの任期付正職員は、任期なしの正職員にすること。
  3. 病院の稼働実態に見合った人員増および適切な人員配置をすること。
  4. 17時間の長時間労働となる二交代制については、人員の保障をせずに実施しないこと。
  5. 職員の産休・育休、長期研修等については、代替人員を補充すること。
  6. 業務に必要な研修のための時間と費用は大学が保障すること。
  7. 医療事故を起こさないための環境整備をはかること。

 交渉で看護師の年休取得率が20%しかないことが明らかになりました。根本問題は、必要な人数にまったく足りないということです。「7対1」の看護師配置基準を満たすことについて、法人側は、一般病棟全体に対して満たしていれば良いという姿勢です。しかし、病棟によって看護必要度は違うので、どの病棟についても満たされるべきです。法人側は、努力はしているといいますが、使用者として無責任です。

 また、必要な看護師数を算定する際に、4週間の中での勤務日数が20日とされていることが、明らかになりました。つまり、年次有給休暇、特別休暇等は全くとらないことが前提ということです。それでも、法人側は、年休が20日取れる人数を配置していると言っています。今後とも増員要求の根拠として重要です。

 「任期付き職員」の中で「正職員」に5年以内に移行できない人が出てくる可能性が高くなっています。その対策として、病院は、看護師長会議にさえ示さないままに年俸制の導入を決めたということです。非常に問題です。病院については、今後も様々な問題が起きてくると思いますが、粘り強く交渉していきます。

(6)不払い残業、超勤手当問題

 法人側はこれまでも、調査はしたが不払いはないと回答してきました。しかしまた病院の医師について残業代不払が労基署から指導されたことがわかりました。非常に不名誉なことです。調査方法も含めて検討するよう求めています。しかし、残業代は出さないのが慣例だと思っている人が監督する側にもいるのが実態です。理事は、様々な会議で監督者に徹底すること、やらない監督者に責任をとらせる。また、病院看護部の「超過勤務手当に関する申し合わせ事項」から、実際に超勤があっても退勤時刻を記録しないという意味の「退勤処理は、この期間が過ぎてから行うこととする」という部分を削除させることができました。引き続き、監督者の責任も含め交渉を続けていきます。

(7)教員の63歳以降の雇用形態

 法人側回答は、意見集約も進み、その意見を反映して、部局長連絡会議の際に協議ないしは懇談をしている。また、平成23年4月1日から施行しなければならないので、その1年前に教員にきちんと理解してもらわなければいけないというものでした。組合としては、年金対応の取り組みというだけでなく、大学全体の人事に関わることなので、大学の魅力につながるような良い案を出してほしいと要望しました。今後も引き続き交渉していきます。

(8)休暇制度改善

  1. 産前休暇の期間について現行の6週間から8週間に改善すること。
  2. 年次有給休暇の取得率を抜本的に引上げること。
  3. 年次有給休暇を使わない形での夏季一斉休業を実施すること。
  4. 未消化の年次有給休暇の一部を積み立てる制度を設けること。

 産前休暇については国の基準が6週間なので改善する必要はないとの回答でした。また、年休取得率については調査中との回答でした。年次有給休暇を使わない形での夏季一斉休業については、夏季休業に特別休暇をつかわせてほしいという声があるので検討してほしいと要求しましたが、年休取得率アップのための方策として計画年休をしているので、特別休暇は別のところで使ってほしいとの回答でした。

 組合としては、CO2削減という観点からも、業務の効率化という観点からも、一定期間、大学が閉鎖するといった措置にはいろんな効果があるのではないかということで、今後も要求していきます。

(9)教員任期制

 法人側は、いつも「適切にやっている」と言いますが、問題なのは、恒常的な研究について、一律に任期制を付けるのは安易です。また、部局の戦略として適用しているという回答ですが、法の趣旨としては付帯事項で一般的には導入しないということになっているので、部局を指導するよう要請しました。

(10)ガソリン代高騰を考慮して通勤手当を見直し
(11)駐車場・駐輪場の運営

 組合は、駐車場を有料化すれば問題が解決できるのか疑問に思っています。法人側はキャンパス計画のマスタープランも平行し、建物、オープンスペース、歩行者との交差、平積みの駐車場か立体駐車場、今後のキャンパスの在り方について検討中であり、不適切な負担はないように、また排出削減に効果があるように検討していると回答しました。教職員への不適切な負担がないように、また排出削減に効果があるように、という点ではまったく我々と一致しています。運輸交通専門委員会の案が21年4月実施ということでしたが、現在行われていません。今後どのような方向に進むのか、引き続き交渉していきます。

(12)「東北大学一般事業主行動計画」の実現状況説明

 法人側は21年度で終了なのでそのあとに説明と言うことですが、組合としては、行動計画の実行を随時チェックすべきだと考えています。随時、現場でそれと逆行する自体が生まれている場合には、それを待たずに何らかの措置をとるべきだと主張しました。今後も引き続き交渉していきます。

(13)『「技術職員の在り方」検討WG報告書(案)』について

 部局の技術職員の意見をきちんと聞いてほしい。最終的にどういう組織になるにせよ、大学として魅力ある組織にしてほしい。この点は一致していると思うので、良い案を作ってほしいと要望しました。回答は「検討中」ということでしたが、組合の要望と総長の指示で全学5カ所での説明会が行われました。今後は、総合技術部が発足したので要求を変更して交渉を続けていきます。

(14)初任者研修の場においての職員組合説明

 いつも通り初任者研修の場ではダメだという回答でしたが、あきらめずに今後も要求していきます。

(15)組合費のチェックオフ

 「公的要素の強いものについては控除を行い、グループ保険、団体保険等個人的要素の強いものについては控除を行わない。組合費については、法人側としては後者のグループと考えている」との回答でした。組合としては、組合費は個人的なものではなく、労基法上の根拠があると考えていますし、他大学においてもチェックオフ協定がかなり結ばれていていますので、今後も引き続き要求していきます。

2009年度運動方針と課題

(1)法人側の問題点

 法人側の対応は、一つ一つの要求に対し、きちんとした説明や回答をしていません。イエス・ノーもはっきりとせず、終始あいまいな態度です。また、人事院勧告を有力な参考資料として全国の他大学と横並びになるような政策を取るという、東北大学独自の対応がなされていません。

(2)組合の課題

 団体交渉では各層から多数参加して生の声で法人側に訴えることは重要です。参加人数が増えることにより法人側には要求の真剣さを伝えることができると思います。今後も組合員からの切実な要求を交渉していくことが重要です。

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4.働き甲斐のある専門技術業務と技術組織をめざして ─技術職員部─

[1]技術職員の現状

(1)全国大学技術職員と技術組織の動向

 法人化以降、各大学の技術組織は自律した組織運用を目指しています。いくつかの大学では改組、改変あるいは全学統合が進められるなど、当該大学の実情に応じて方策が様々に異なっています。特に中規模大学では積極的に進められていますが、東北大学のような200名以上の大規模大学では部局の思惑もあり自律した組織運営の動きはあまり進んでいないのが実情です。

 一方、各大学では徐々にですが新職員採用によって世代交代が進みつつあります。しかし、ここ2〜3年は団塊の世代の大量定年退職時期となっており、公務員時代の長かった定員削減の影響から40代30代が極端に少ないアンバランスな年齢構成が問題となっています。このことは、大学独自の専門技術の向上や人材育成、技術継承や組織運営の面で、今後の組織確立と発展を困難にする状況を作り出しています。また、研究・教育現場における技術業務の在り方やキャリアパスが不明確な点からくる低い給与も依然改善されておらず、若年技術職員層の不安や就職希望者の減少を招いています。

 したがって、在り方と組織の見直しを進め、採用方式の柔軟化、OJT等を通じた専門技術の継承、組織マネジメント、リーダーの育成などの技術組織の確立と併せた専門技術職に相応しい待遇の改善を法人側に検討させる必要があります。これらの課題解決には大学間、部局間の経験交流や情報交換が大切となっています。

(2)東北大学の現状と各部局技術組織

 2009年1月現在、東北大学全体の技術職員数は、正規職員370名、再雇用職員53名の計423名となっています(東大486名に次いで2番目)。東北大学の今年度の特に大きな動きとして、総合技術部の設置と人事評価制度の本格実施が上げられます。

  1. 総合技術部設置の経過と課題

    総長室の「技術職員の在り方」検討タスク・フォースが、全学技術職員の人事、配置を一元管理したいとして11月17日「報告書」をまとめ、2月17日の部局長連絡会議に「総合技術部」の設置が報告されました。この報告書は部局の技術部でほとんど議論されていなかったため、組合では「全技術職員に対する説明と各技術部で十分に検討するよう」要求書を提出し、それによって12月1〜3日、5部局で説明会が開催されました。報告書では「人事の流動性を確保し、効率的な人事配置」のため「部局を超えた人事異動」が必要であり、異動することがキャリアパスの硬直化の解決策であるとしていますが、人事の一元管理による部局への定員削減の押し付けが懸念されます。5部局における説明会ではトップダウンの提案に、「人事・配置にかかわる重要な問題にもかかわらず部局技術部でまったく議論なしの設置は拙速である。」「位置付けがあいまいでキャリアパスが不明確なため応募者が少ない」「給与レベルが低すぎる」など技術職員から多くの疑問・不満の意見が出されました。

     第1回の総合技術部運営委員会は5月28日、19部局教授と5部局技術部専門員の出席で開催され、橋本総合技術部長と技術職員の副部長を決めています。7月1日には全員の総合技術部への配置換え発令がおこなわれました。当面は来年採用応募者への対応と新規採用職員の部局配置の検討を行うとしています。

     組合としては、「有効なキャリアパスを構築できていない現状」「技術職員の有している能力を発揮できず、能力に応じた処遇や昇任などのキャリアパスを提供することが困難」「再雇用者を有効に活用できていない」ことなど、現状認識の一部には同意できるものの、研究・教育における技術職員の位置づけの不明確さ、研究における教員と専門技術業務の関係、低い給与水準などは早急に取り組まなければならない課題であると考えています。また、無計画な長期の定員削減により高齢化が進んだこと、団塊の世代の大量退職により中堅層のいないアンバランスな組織になっていることの改善策は示されていません。したがって、役員会と総合技術部に対して、これらの問題の解決をせまり待遇改善を進めるよう取り組むことが重要です。

  2. 技術職員の人事評価

     2009年度より、全学の事務・医療・技術職員について、人事評価が本格実施に入りました。その評価結果は給与へ反映するとしています。しかし、技術職員の場合、5人いれば5つの専門技術があるといわれるほど業務、専門技術が異なっているため一律の評価は困難です。評価システムは、一面では専門技術や業務の目標設定を計画的に行うことによって技術職員の存在価値を高め、自律した技術職員組織の確立につながる可能性もありますが、運用をあやまれば職員のモチベーションを下げることになりかねません。評価は絶対評価とされていますが、勤勉手当や昇給昇格の対象者を決める場合には順番を付けることになります。しかし、評価を行う以上、絶対評価が高かった場合にはそれに相応しい処遇をすべきです。どのように自分は評価されているのか、評価結果はきちんと文書で本人に開示し、場合によっては異議申し立てが可能でなければなりません。今後、組合として注視していきます。

  3. 昇給昇格改善

     東北大学の昇格現況は08年4月1日現在で、6級0、5級2,4級83,3級136,2級67,1級82となっています。昇格数は、6級1、5級3,4級18,3級11(08年11月実施)となっています(09年1月調査)。

     法人化後、全国的な統一基準はありません。2003年の文科省と全大教との交渉において示された級別定数配分基準が基本に各大学で使われています。以下がいくつかの大学の現状から現在の標準的基準と考えられます。

職名昇格の基準
技術専門員4級在級4年54歳以上、あるいは4級在級2年59歳以上
技術専門職員 技術専門員3級在級16年(専門職員)、3級在級9年(専門員)
技術職員 技術専門職員2級在級6年37歳以上、2級昇格後1年経過(専門職員)

今後専門員ポストを増やす取り組みが必要ですが、「組織運営」と「技術の専門性」を使って働きかけている大学では基準以上の昇格となっています。具体的には技術部運用にかかわる付加業務、個人業績の結果などが昇給昇格に反映されるようになっていますが、まず基準を最低限確保します。全体のレベルを上げるためには昇格基準の見直しを法人当局に働きかける必要があります。

[2]技術職員部の取り組み

(1)今年度は、技術職員部の会議を5回開催し、主に総合技術部設置と人事評価本格実施に向けた取り組みを行いました。

 総合技術部設置問題では、タスク・フォース報告の後、団体交渉で技術職員への説明会開催を要求し実現させました。各部局での説明会は計5回行われ、多くの意見・質問が出されました。組合は意見交換しつつ、問題点の指摘をおこなってきました。3月19日に、各部局の技術部統括、室長、センター長などの技術職員・世話人、総合技術部設置関係者に『東北大学「総合技術部」設置、および今後の検討に関する要請』を送りました。法人側は、説明会で出た意見・質問の状況についても、またそれらを総合技術部の設置にどのように反映したのかについてもまったく明らかにしないままに総合技術部を設置させました。組合は、この問題についての見解「大学の研究・教育に貢献できる技術職員と自律した組織確立のために」を作成し、組合加入を呼びかけるチラシを添えて、全学の技術職員全員に発送し、組合加入を呼びかけました。

(2)全国大学の技術組織の動きと状況把握のため、毎年開催されている技術職員シンポジウム(1/15-16、高エネルギー研究機構)への派遣、2/14全大教技術職員交流集会への派遣、3/14-15東北地区職種別懇談会(岩手大)への派遣を行いながら情報収集と意見交換をおこなっています。シンポジウムでは技術組織の改組・改革、運営、社会貢献、人材育成など、交流集会では昇給昇格問題、職種別懇談会では技術組織の在り方について議論されています。

2009年度運動方針と課題

 技術職員の待遇改善をすすめつつ、専門技術業務を正当に評価させ、研究・教育の発展と技術的要求に応える技術組織構築のための運動に取り組みます。また、新設の総合技術部に対しては、技術職員が働き甲斐が持て、技術組織が発展・自律できるよう働きかけます。そのためにも、各大学間、部局間の交流を深めます。

(1)技術職員の地位$B(I%職群確立、待遇改善$B(I%給与改善に取り組みます。また、そのため自律した技術部の構築に取り組みます。

(2)昇給昇格と上位級拡大に取り組みます。

(3)「研究技術専門職員給与表」(仮称)の新設を要求します。

(4)技術職員の増員を要求します。

(5)人事評価が公正なものとなるよう、本人への文書によるフィードバックを求めます。

(6)団塊の世代の待遇改善と再雇用問題に取り組みます。

(7)専門技術の向上と技術継承などの研修を充実させます。

(8)他大学、部局間の運動と取り組みの交流を深めます。

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5.未加入者の要望にも応え、息の長い活動で組合員拡大を ─事務職員部―

(1)「井上プラン」は仕事の効率化と事務組織のスリム化をうたっていますが、容赦のない定員削減により事務職員の多くは不満・不安をかかえながら多忙な毎日を過ごしています。ぎりぎりの人数で休暇も取りにくく、健康を害する職員が増えメンタルヘルス問題も深刻さを増しています。当局が何度も通知しているという次世代育成支援対策推進法に基づいた東北大学一般事業主行動計画は正に絵に描いた餅になっています。

(2)超過勤務の縮減と超過勤務手当の不払い是正は一定の前進をしていますが、相変わらず長時間労働を強いられている部署や、健康面の心配でなく予算面からの圧力がかけられている部署もまだ存在しています。また、評価制度も行われていますが、新たな評価の動きもあり注視していく必要があります。

(3)全大教発行の事務職員へ向けてのリーフレットの発送作業は、本部や各支部の協力を得ながら行いました。「厳しい職場の状況をなんとかしてほしいと願っていませんか?」「一緒に職場環境を改善していきましょう!」と書いたチラシを同封し、組合への加入を呼びかけました。

(4)事務職員部も職場の多忙に紛れて充分な活動ができていませんが、事務職員から匿名の投書などもあり、組合の必要性や存在はアピールできています。組合へ結集するために息の長い具体的な働きかけをしなければなりません。

2009年度運動方針と課題

(1)業務の見直しや適正な人員配置によって長時間労働を縮減する運動をすすめ、また、賃金の不払いを許さない運動を強めます。

(2)人事評価がフィードバックも含めて公正に行われるよう要求していきます。

(3)事務職員に組合加入を呼びかけます。また、事務職員部の会議を開催し、散在する部員の情報交換と交流を深め、周りの事務職員の悩みや問題を解決していく中で、拡大に繋げていきます。

(4)次世代育成支援対策推進法に基づいた東北大学一般事業主行動計画を絵に描いた餅にしないために、女性部と協力してすすめていきます。

(5)本部執行委員会や他の専門部の協力を得ながら、知的・質的向上をめざすための学習会を行います。

(6)東北大学から他大学や高専に出向している組合員の労働条件改善のために取り組みます。

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6.専門職制度を確立しよう! 非正規職員を正規職員に! ─図書館職員の運動─

 図書館では、早朝開館の実施、電子化への対応や市民サービスの増大など労働強化が進んでいます。また多くの准職員、時間雇用職員が本来正規職員がはたすべき業務を担っています。2008年、図書館勤務の准職員1名が超難関の登用試験で1次試験・2次試験を突破しみごと正職員となることができました。これは長年にわたり正規職員が果たすべき業務を担ってきた非正規職員にも十分な能力があることを物語っています。わたしたちは、団体交渉を通じて職務内容にふさわしい待遇を求め、准職員・時間雇用職員の正規化のために運動していかなければなりません。そのために図書館職員の議論と運動を組織する必要があります。また、大学図書館本来の役割を果たすため、専門職制度の確立、職員数の充実、准職員・時間雇用職員の待遇改善、図書館経費の増額をめざして運動していきます。

2009年度運動方針と課題

(1)図書館職員の要求を把握し交渉を行います。

(2)組合員拡大を進めます。

(3)准職員、時間雇用職員の勤務実態にふさわしい待遇改善を求めます。


7.患者にも看護師にもやさしい看護師配置を目指して ─医療部門の運動─

[1]「7対1看護体制」導入後の看護師配置の現状と今後の課題

(1)配置の実態

 2006年度診療報酬の改定で導入された「7対1入院基本料」(以下「7対1看護体制」)は、急性期等の手厚い看護を必要とする患者の看護必要度を測定する基準を導入すると同時に、急性期医療に必要な医師の診療体制に係る条件を満たした場合、1日286点のインセンティブを与えるというものです。東北大学病院では、2007年から「7対1看護体制」に移行しており、増収は年間およそ6億円とされています。

 施設基準としての看護師配置数は、大変複雑で分りにくいものです。従来の総配置数は50床病棟の平均入院患者数に対し、実勤務している看護職員が25人なら2対1看護ということです。一般には常時患者2人に対して看護師が1人いるような感じを受けますが、実際はその部署に総数として「配置されている」ということです。

 2006年改定では実質配置の表記となり、各勤務帯に働いている看護職員数が表示されることになりました。改定以前の2対1看護体制は、改定後の表記では、患者10人に対して看護師1名が働いているという実質配置に変更されたのです。 

看護職員の実質配置の新旧対照表記
改定以前2006年4月改定の表記
1.4対17対1
2対110対1

(2)必要看護師数の算定において、非勤務日に、週休しか反映していない問題

 改定後の10対1(旧2対1)は、50床であれば50÷10=5なので各勤務帯に5人は必要です。3交代制ならば、1日の看護師の必要数は15人ということになります。

 一般病床ベッド数一般病棟看護師配置数
2006年4月1060床450名
2007年4月1060床554名
2008年4月1060床553名
2009年4月1060床562名

 2006年度までは、ほとんどの大学病院が旧2対1(現10対1)看護体制でしたので、7対1(旧1.4対1)看護体制を取得するには、大幅な看護師の増員が必要になりました。それで、マスコミも賑わすような看護師争奪戦が展開され現在まで続いています。東北大学の看護師数の推移は、看護部から正確な数字が示されていないので、あくまでも概要ですがおよそ次のようです。

 7対1看護体制導入時の算定数式は、団体交渉、看護部長に対する質問への回答によれば、「厚生労働省、特定機能病院の7対1入院基本料の施設基準」の参考式が準用されているとのことでした。7対1看護体制は実質配置数をみるので、必要看護師数の算定には、週休以外にも、年次有給休暇の取得数や研修、祝祭日などの非勤務日を計算に組み入れないと、実際には、職員にとってはもちろん、病院にとっても、非常に危ういものとなります。

「厚生労働省、特定機能病院の7対1入院基本の施設基準」の参考式

平均入院患者数×勤務帯数(2交替or3交替)×勤務表の日数/看護配置数×看護師勤務日数(通常20日)

 しかし、当院では、年次有給休暇取得数を当然20日と考慮すべきところ、まったく考慮せず、非勤務日としては週休しか反映していないことが明らかになりました。

 看護部長は、組合への回答で、「夜勤時間72時間、年次休暇20日取得できる人員を要望している」「看護必要度の低い部署からの応援ができれば現数でも年次休暇は取れる」とする一方、「看護師の業務は専門性が高くて容易には応援体制は組めていない」とも回答しました。団体交渉の席で病院総務課長は、実際の年次休暇取得率が20%しかないと回答し、また、2交替制になって有給休暇は必要性が薄くなった旨の発言もしました。

(3)本来の必要数満たさず、診療報酬の増加のみ追求

 病院側が7対1看護体制導入後に行ったことは「病床稼働率を85%以上とするように号令をかけること」「病棟内にその日の患者数と看護師数とを毎日書き出すこと」「二交代制を推進させ準夜勤務の超過勤務手当をなくし夜勤者のタクシー代を削減した」などです(→出典が知りたい!)。これらは、7対1看護導入の目的が、診療報酬の増加のみにあったことを如実に明らかにしたものです。

 しかし、本来この制度は、専門分化した高度な医療ニーズをもった患者に対応する病院施設においては、一般病棟においても看護の必要度の高い患者が一定以上いることを認め、その看護に必要な人員をそろえることを条件に、入院基本料を高めることを認めた制度です。

 つまり、本来の目的から考えると、「7対1看護体制」の前提が未整備のままになっているのです。私たちは今後とも、7対1看護体制に見合うケアを推し進めるとともに、法人側に対して、看護師増員と労働条件改善を粘り強く要求し続けます。

(4)増員の反面、中堅の負担増

 現場の状況の変化を見てみますと、これまで年度途中の欠員補充もままならず、慢性的な看護師不足で逼迫していた病棟に一気に数名が増員されたわけで、病棟現場には一定のゆとりが生まれたことは確かです。

 しかし、増員された看護師のほとんどが新人であり、数年経たないと一人前の働きができないこともあり、増えた人数分がすぐにケアの向上に結びつくわけではありません。今はまだ、新人に対する卒後教育に時間と労力が割かれ、かえって中堅以上の看護師にかかる教育や責任といった部分での負担が増えているといった声が聞こえています。

(5)深刻な過重労働 ─とくに重症、高度救急救命分野─

 一方、重症病棟部門と高度救急救命部門では厳しい労働実態にあり、一般病棟をはるかに凌ぐ夜勤日数と極度の緊張を強いられていますが、この職場問題はまだ表面化していません。

 こうした医療現場においては、診療報酬上も常時2対1の重症病棟加算が認められているように、大変多くのスタッフが必要になります。病院でも、こうした重症部門の増床および稼働率アップを図る中で、一定の看護師増員を図ってきてはいますが、看護師のシフト表は非常に厳しいものとなっています。労働実態の把握と組合加入促進が重要です。

 日本看護協会が行なった看護師アンケート調査によれば、全国で2万人以上もの看護師は、過労死の危険があるとの結果でした。この結果はマスコミにも取り上げられ、医師不足とともに看護師不足の深刻さも注目を浴びています。過労死で24歳の看護師を亡くされたお父さんの「人の看護をする人間が過労死で先に死ぬなどということはあってはならないことです」という言葉を、私達も重く受け止めなければならなりません。

 また、医療・介護は社会全体の問題であり、国民一人ひとりにとって明日の問題でもあります。現在の医療政策の具体的な問題点を医療の現場から発信し続けることが重要です。

[2]期間を定めた雇用の問題について─任期付き正職員、特定有期雇用職員─

(1)軽視される多大な新人教育コスト

 高度先進医療、救急部門の開設、医療の専門分化などによるコメディカルスタッフの大幅な増員と職種の増に、雇用形態の整備が追いついていません。

 大学病院における非正規雇用は、法人化以前から多様な形態をとり、非正規職員に多大な経済的・心理的負担を強いてきた歴史があります。3年期限付き准職員の雇止め問題は記憶に新しいものです。2007年3月に病院運営会議が「東北大学病院任期付き職員に関する内規」を制定し、現在、コメディカルの多くが「任期付き正職員」として採用されています。これは待遇的には正職員と異なりません。しかし、雇用期間は1年として退職手当を毎年精算し、5年まで更新され、その間に期間の定めのない正職員になれる保証はありません。通常の正職員との違いは雇用期間と退職手当にあり、その理由は、退職手当が国から保障されないことによります。2009年4月、本学では「特定有期雇用職員就業規則」が制定され、病院の「任期付き正職員」は「特定有期雇用職員」となりました。労働条件はまったく変わらないと説明されています。以下、「任期付き職員」と呼び、通常の「正職員」と区別します。

 「任期付き職員」として採用されている看護師等は、専門職として経験知が非常に重要な職種です。新人教育に多大な労力と時間とお金を費やしたあげく、5年満了で雇止めとしても良いと本気で考えているのか、こうした雇用形態で良い人材を集めることができると考えているのか、今後どうしていく方針なのか、法人側は私たちの問題提起に全く答えていません。

(2)安定雇用になれず年俸制にされる不安

 「任期付き職員」がどれくらい存在するのか、病院側に回答を求めた結果、2008年9月1日現在で3年目は48名、2年目は192名、1年目は111名、であり、2009年4月に採用となった約100名は全て任期付職員です。(今年3月退職者の分が正職員になっているので再度確認する予定です。)

 本人にとって、数年にわたり「正職員」になれないということは、自分に対する病院からのマイナス評価のように感じ、モチベーションの低下に結びつきかねません。それを指摘し、2009年3月、看護部長に改めて今後の方針について確認しました。看護部長の回答は、「看護師退職率が9%代で推移しているので5年間で正職員になれる予定になっている。ただし、育児短時間勤務者、社会情勢による退職者の減少などにより5年間で正職員になれない看護職員が出てくる可能性があるので年俸制を今後の検討課題としたい」というものでした(他方、年俸制導入はすでに2008年9月に病院の人事戦略室会議で決定済みとされていたことが、後日判明しました)。

 しかし、看護師退職率9%代とは、「正職員」と「任期付き職員」を合わせた全退職者の数であり、きちんとシミュレーションした結果とは到底考えられません。また、「正職員」に繰り入れる際のルールについても、現状では「任期5年後の取扱いについて協議し評価した上で、年俸制雇用による継続雇用を検討している」(2009年1月21日、折原理事回答)というのみで、全く説明がなされておらず、公正さに欠けるのではないかとの疑念を持たれかねません。もちろん「正職員」として採用する際には一定の評価が伴うのは必要なことですが、しかし、その評価内容や正職員に繰り入れる際のルールを作り職員に納得がいくよう説明する責任が、使用者側にはあります。5年間普通にまじめに働いた看護師が雇止めにあったり、不当に年俸制に移行されたりすることがないよう厳しく監視する必要があります。

[3]時間雇用職員の雇用要項開示 ─病院だけ、密室で一方的に雇用と給与の改悪─

 2007年3月に「東北大学病院非常勤職員取り扱い要項」なるものを就業規則と一体のものとして、病院運営会議が制定したことになっています(就業規則制定・変更の法的手続きはされていません)。例えば、パート看護師は2007年度採用者から時間給の上限を医(二)2級49号俸にするというものです。これは給与水準の大幅な引き下げです。また、採用時に、雇用上限を3年にする内容の念書を取っているといいます。病院の時間雇用職員だけが、雇用や給与の改悪を一方的にすすめられ、大学全体の取り扱いと異なる運用がなされていることは重大です。

[4]2交代制問題

(1)7割強の診療科に、急速に2交代制導入

 2007年度の看護部長のアクションプランに勤務形態の1つの選択肢であるとの触れ込みで2交代制が示されました。目的は、休日の充実(※組合註-まとめて休むことができるという意味)、夜勤帯の出退勤がなく安全・安心であること、経営貢献が上げられました。勤務時間は、先に手術部で16時間勤務が導入されていたこと、準夜勤務$B(I#y$B?

 3交代制の場合、準夜勤務終了後に事務的な記録が残ったり、状態の悪い患者がいると深夜勤務看護師だけでみていられる状態になるまで準夜勤務看護師が超過勤務したりする必要がありました。2交代制の場合、同じ時間帯の労働が、準夜勤務での超過勤務とはなりません。ただし、夜勤人数(17時間勤務)に準夜勤務1名をプラスしているところもあります。深夜勤務の超過勤務単価は高いので、給料は2交代の方が減ったという看護師の声もあります。

 導入後2年間を経た現在、30診療科中23診療科で2交代制が行われています。この超長時間拘束の2交代制が速いスピードで職場に浸透したのには、いくつかの理由が考えられます。第1に、連続した2回の深夜勤務帯の出勤がないことです。家族が寝静まる頃を見計らい寒い深夜に出勤するのは長年看護師を続けた看護師でも慣れるということはありません。第2に、7対1看護体制によって看護師が増員されたことです。それまで準夜勤務3人、勤務2人の組み合わせで行っていたところを、3人で準夜勤務・勤務を通して夜勤できる余裕が生まれたのです。第3に、重症病棟部、救急部の稼働によって、相対的に病棟の夜勤帯が落ち着いてきたことも理由の一つでしょう。このように速いスピードで多くの部署で2交代制がとられたのは、病院側の経費削減のため政策として積極的に進めたことと、多くの看護師達が、年休が20%しかとれない現状のもとで、「まとめて働くことで、まとめて休みたい」という選択をしたと考えられます。

(2)2交代制ではなく、増員による年休取得率改善を

 夜勤数が、「月5日〜6日」に減り、年次有給休暇がきちんと取れる職場になれば、17時間もの夜勤を集中力の低下を懸念しながらやりたいと考える看護師は少ないと考えられます。今後とも、職員組合は、基本的には長時間拘束の2交代には反対の立場です。

 最も恐れるのは、集中力が欠けるなどにより医療事故が発生してしまうことです。また、2交代制はあくまで勤務形態の1つの選択肢にすぎないのですから、看護師が3交代を希望する場合は、職場に居づらくなるような状況を決して作ってはなりません。星野前看護部長も「一律2交代に従わせる対応については指導していきたい」と明言しました(2月23日、病院支部質問への文書回答)。看護師長が時間管理員として適切にシフト表を作成するように、看護部がきちんと指導・教育しているかどうかを点検していく必要があります。

[5]育児短時間勤務制度の運用について

(1)条件整備なき導入で、現場に困難が

 全学的に2007年度から育児短時間勤務制度が導入されています。病院看護部では、前看護部長のアクションプランで、ワークライフバランスを考えた働き方の推進として、この制度が運用されることになりました。また同時に、大学院などでの勉学のために休学できる制度も実施されています。休学制度は代替要員の確保も可能なので、現場にとってほとんど問題はありません。

 一方、育児短時間勤務とは、1日当たり4時間(週20時間)、1日当たり5時間(週25時間)、週3日(週24時間)、週2日半(週20時間)等を選択して勤務することです。また、育児部分休業とは、1日あたり30分‾2時間、勤務を免除する制度です。保育所に通園している場合、生後1年までは延長保育(11時間を超える保育。保育所の通常の開所時間は7:00‾18:00頃までの11時間)が認められていない保育所もあり、児童の送迎の時間確保のために短時間の勤務を希望する看護師が大変多くなっています。

 看護師のライフステージに合わせて多様な働き方を病院が準備することは、社会生活者としての看護師を受け入れていくことにつながります。それによって、病院という組織も柔軟でかつ層の厚い、強いものになると考えられます。しかし、当院の場合、短時間勤務制度の導入にあたって、現実の看護業務の実態を考慮して運用を検討することを全くと言ってよいほど怠っています。とくに、看護管理室において検討されなかったことが現在の職場の混乱に繋がっていると考えられます。

(2)夜勤要員の確保策など、看護師全体の議論の場を

 今後、育児中の看護師のほとんどが短時間勤務、育児部分休業のいずれかを希望すると予想されます。そうすると、本来8時間ごとのチェーンで繋がる仕組みになっている看護師の業務が繋がらなくなって、職場に残る看護師にその負担がのしかかっていくのではないかと懸念されます。

 また、一番下の子どもの就学時までずっと短時間勤務を認めるとすると、今後どれくらいの看護師が重なりあってこの制度を申請することになるのでしょう。2時間の勤務時間短縮を数年〜10年にわたって続ける看護師が多くなることでパート看護師の雇用も奪われるのではないでしょうか。多くの中堅看護師が夜勤をしない状況で、はたして現場はまわるのでしょうか。懸念材料は数多くあります。

 このように、看護師の場合、現状では、短時間勤務制度の運用にはより慎重さが必要であり、今後とも看護部全体で率直に検討しあう機会を増やしていくことが重要です。夜勤手当の大幅な増額を図ることも重要な解決策として考えられなければなりません。

 そして、本来、労働者保護のコンプライアンスと現場の業務の両立は、現場の看護師長ではなく、使用者・経営者の責任なのです。「年休の完全消化」も「育児短時間勤務」も「育児部分休業」も労働者の権利です。本学役員会および病院経営者には、これらを保障した上で、現場に過大な負担がかからないようにする義務があります。そのための中心課題は、いかにして看護師の大幅増員や夜勤要員の確保を実現するかです。

[6]組織拡大

(1)オリエンテーションを中心に

 例年通り、新入職員オリエンテーションの終了後すぐ、その場所で、職員組合のオリエンテーションを実施しました。今年の看護師の新入職員は約100名でした。本部と各支部から多くの組合員に応援いただきました。清水委員長からのあたたかな挨拶、青年部からの熱いメッセージ、病院支部長挨拶と昨年加入した若い看護師からの爽やかな加入の訴えなどがあり、参加者はほとんど帰る人もなく訴えを聞いてくれました。今年の目玉はノーベル物理学賞受賞者の益川先生から東北大学職員組合への「応援メッセージ入りポストカード」と組合費納入が確認された時点で「図書カード」のプレゼントを準備したことです。こうした取り組みによりその場で8名の看護師が加入申込書を書いてくれました。

(2)人間関係を大切に、楽しくねばり強く

 後日執行委員で分担して歓迎会のお誘いをしながら組合費の自動払込の用紙を書いてもらいました。ただし、取り組みが甘い点もあり、未だ自動払込用紙の記入に至らない人もいます。引き続き、組合員が楽しめる企画を行いながら、新組合員との関係性を深めていく取り組みを粘り強く行う必要があります。とにかく自分たちが楽しめる活動、自分たちの役に立つ活動を推し進めていく中で、若い看護師たちにも興味を持ってもらうような流れを作っていきたいと考えています。

2009年度運動方針と課題

(1)各職場の要求を掘り起こし、対話と共同の輪をつくり、仲間つくりに取り組みます。

(2)「7対1看護」に見合った人員を正規職員として常時配置し、年間の休暇・休日を確保し、労働条件改善、安心安全な病院をめざします。

(3)特定機能病院にふさわしい医療供給体制の確立をめざします。

(4)全大教に結集し、憲法と医療・福祉を守る課題に取り組みます。

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8.改正パート法を活用して正規職員との待遇格差を縮小しよう─准職員部─

(1)東北大学には、2009年5月1日現在、准職員867名、時間雇用職員1630名、計2497名が働いています。

(2)組合は、法人移行期から准職員、時間雇用職員の雇用確保と待遇改善を第一義的に重視して、交渉等でも取り上げてきています。法人化にあたって准職員の「任用中断日」を撤廃(夏のボーナス改善)し、法人移行に伴う雇止めを阻止し、その後も3年がかりの運動によって、2007年3月には准職員等に有給3日の夏季休暇を実現し、2007年4月には、政府管掌健康保険に加入する准職員、時間雇用職員について人間ドックの有給化を実現してきました。

(3)改正パート労働法は、正規職員同様の労働実態にあるパートタイム労働者への差別を禁じ、あるいは抜本的に是正し、正規職員化に努力することを求めています。また、厚労省は、フルタイムの非正規職員についてもパート労働法の趣旨で指導する姿勢を明らかにしています。法人側が、特定有期雇用職員就業規則の検討段階で、「週40時間勤務である准職員は、職員就業規則が適用される職員と比べて、その処遇に格差があり、同一労働同一賃金原則の根底に存在する均等待遇の理念に違反したり、給与の根本基準に違反するなどして、その格差が問題とされることがあり得るため、准職員の労働条件を見直す」と認識していたことは重要です。准職員、時間雇用職員自らがより大きな声をあげ、仲間を増やし、団体交渉を通じて法人側の努力をチェックする運動の構築が求められます。

(4)准職員の勤務実態は、週40時間という点でも業務内容という点でも正職員とほとんど変わりません。旧日々雇用職員時代の1980年5月、文科省通知(文人給109号)によって長期化防止が打ち出されて以降、雇用限度が3年とされています。とくに、1980年7月以前採用の准職員は、本学では「更新限度のない准職員」として整理され、改正パート労働法のもとで、正規職員にできない主な根拠は、正規職員のような配置転換がないことにあるにすぎません。しかし、正規職員との間に処遇の大きな格差があります。療養と職場復帰のためのメンタルヘルスプログラムも適用されていません。

(5)時間雇用職員への30時間分のボーナス支給は、前向きに検討され、部局長も29人中26人が賛成を表明しました。しかし、総長・役員会は、たいへんな不況なので世間の理解を得られないからという理由で検討を「凍結」しています。まったく理由になりません。時間雇用職員の労働意欲を高めるために、一定の一時金(ボーナス)を出し、また勤続期間に見合った退職金を支給することは、一般企業でもしばしばみられることであり、むしろ必要なことです。

(6)東北大学が2007年度から実施している正規職員登用試験制度は、大卒新規採用者に課される公務員試験教養試験を受験するものであり、こうした長期勤続の准職員に正規職員への道をひらくよう求めた組合の要求に対して、職務に熟練した年配者の正規職員化への道を険しくしています。しかし2008年度の登用試験において、50代の組合員がみごと合格し、2009年4月より正規職員として仕事に就いています。後進への励みとなります。

 登用数という点では、毎年1名〜4名程度の登用にすぎず、積極的に正規登用を拡大しているとはいえません。登用枠を拡大して、多くの准職員・時間雇用職員に正職員への道を拓くべきです。

(7)「労働条件通知書」交付の際、一部の職場において、長期勤続の准職員の更新の有無について不利益な記載をされ、説明・撤回を求めてもらちが明かず、組合の対応で漸く解決にいたりました。

2009年度運動方針と課題

(1)改正パート労働法の趣旨を活かして、准職員、時間雇用職員の待遇改善に取り組みます。

(2)役員会に対して、時間雇用職員のボーナス検討の「凍結」をやめ、時間雇用職員に対して、正規職員のボーナス支給日に少なくとも30時間分のボーナスを支給することを求めます。

(3)1980年7月以前採用の准職員の正規職員への転換、そのための中期的な計画をたてることを求めます。また、長期勤続の時間雇用職員の勤続実績を尊重した待遇の抜本改善を求めます。

(4)組合員の時間雇用職員が希望する場合、3年を超える更新の実現のために努力します。

(5)准職員を特定有期雇用職員として位置づけるよう求めます。准職員の日給月給制を月給制に転換すること、病気休暇の有給化、諸手当・昇給速度・退職手当等、処遇の決定基準を正職員とそろえるよう求めます。

(6)時間雇用職員への退職手当の新設を求めます。

(7)「定年」を迎える准職員が希望する場合、円滑に特定准職員に移行できるよう援助します。

(8)准職員、時間雇用職員へもメンタルヘルスプログラムを適用するよう求めます。

(9)准職員、時間雇用職員の組合員拡大を進めます。

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9.組合の魅力を側面からあとおし─厚生部─

〔1〕教職員共済

 定年退職者や早期退職者を対象にした教職員共済の説明会を2月5日に書記局で開催し9名が参加されました。(教職員共済本部から役員・担当者が各1名)

(1)各共済の加入状況

●総合共済;205名、火災共済;57名(59件)、自動車共済;105名(155台)、トリプルガード;105名、交通災害共済;26名、新・終身共済;8名、終身共済;2名、年金共済;16名、子ども養育共済;2名です。

(2)各共済の給付状況

●総合共済の火災;1件(250,000円)、入院休業;4件(100,000円)●交通災害共済;11件(541,450円)●自動車共済の対物;24(5,812,016円)、対人;28(2,720,858円)●終身共済の医療$B(I%疾病入院/医療$B(I%手術;8件(515,000円)●医療共済の入院;30件(7,507,000円)、手術;6件(720,000円)退院;3件(230,000円)、ガン;1件(1,000,000円)でした。(延べ給付件数(金額)。2009年6月19日現在)

〔2〕労金

 労金一斉積立特融会員は、2009年6月現在92名(93口)です(前年度104名。但し、金研・図書館・農学部は支部直接扱い)。

 現在、エース預金(特融積立)は、本部が一括して労金へ当月納入していますが、支部から本部への当月納入を引き続き推進します。

〔3〕定年退職者等への取り組み

(1)定年退職された方々に感謝状と記念品を贈呈しました。(定年退職者21名)

(2)退職者の会には現在118名加入し、幹事会を中心に活動しています。会員には「退職者の会ニュース」とし会報(通算41号)を年約4回郵送し、組合との絆を保つ「コア」を一緒に届けて来ました。また、米寿(1名)・喜寿(5名)のお祝いに記念品を贈呈しました。

 総会では学習会や懇親会を行い、退職者の会女性部として3月8日「国際(国連)女性デー宮城集会」に参加しました。また、県議会傍聴も行い、会員間の懇親・交流等も深めています。退職者は組合の良き先輩、良き理解者として、また、互いの要求実現を目指しこれまで通りの連携を深めていきます。

2009年度運動方針と課題

(1)生協法、保険業法の改正をうけて、教職員共済との関係は業務委託契約から「団体事務取扱」に変わり、大幅な減額が続いていた手数料はさらに減額されています。教職員共済活用を組合活動の一環と位置づけて取り組み、新入組合員に宣伝するとともに、未利用者には活用を訴えていきます。

(2)「労金」は、「労働者の銀行」という原点の立場から、我々の要望を取り入れた運営を堅持していくように働きかけていきます。

また、組合員の生活支援活動の一環と位置づけて取り組み、新入組合員に宣伝するとともに、未利用組合者には利用を勧めていきます。


10.支部間の組合員交流の機会をつくろう ─文化部─

 文化部では、職場の垣根にとらわれずに組合員相互のコミュニケーションを図るべく活動を行っています。

(1)新春交流会(旗びらき)

 1月16日(金)に金研講堂で開催しました(50名)。各支部の紹介、女性部ではとても解きがいのある頭の体操クイズ、青年部からは豪華景品付きのビンゴなど出し物もあり、非常に盛り上がった会となりました。今年度加入した組合員も参加し、また普段接することがない他の支部の人との交流の場にもなったと思います。

(2)新春囲碁大会

 1月17日(土)に金研本多記念館の職員集会室で開催しました。まだまだ身が凍えるような冬の一日でしたが9名の方が参加し、白熱した対局が繰り広げられました。囲碁の他にも将棋を行うなどとても楽しい日となりました。

(3)メーデー宮城県集会への参加

 5月1日(金)に錦町公園で行われました。当日は五月晴れの絶好の行進日和となり、デモ行進の前には各労働組合の寸劇や、抽選会、合唱などがありました。組合からは30名が参加し、メーデーの歌を歌いながら行進しました。今年は見事に「非正規の待遇改善をしま賞」を受賞しました。

(4)新組合員・新歓ボウリング大会

 5月29日(金)に青年部と一緒に行われました。新人5名を含む14名の参加で、上位だけではなく飛び飛びの順位に豪華景品があったおかげなのか、みんながスコアを競いながら、闘志あふれる名試合となりました。多くの支部から新人の方に参加して頂き、とても楽しい交流になりました。

 今年度は以上の文化活動に取り組み、職員間の交流を図りました。ここ数年団塊の世代の退職や新人の増加に伴い、組合員の年齢が若返りつつあって、青年部の活動が活発化してきています。職場内だけでなくどの世代の組合員にも参加しやすいような企画を考え、活発に活動を行い参加してもらえるような工夫が必要です。

2009年度運動方針と課題

(1)組合員の親睦を深めるため、年齢に関係なく積極的に参加できる文化・レクリエーションを企画します。

(2)文化部単独ではなく、青年部や女性部、コア編集委員会と協力してイベントを企画し、組合活動の活性化を図ります。

(3)組合員だけでなく、まだ組合に加入していない教職員も参加しやすいような企画を立てて参加を促し、活動を通して組合員拡大に繋がるように工夫します。

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11.実効性ある男女共同参画をめざして ─女性部─

(1)男女共同参画社会実現のために

 今期女性部では「団体交渉要求項目12に関する女性部からの要望・質問」として人事担当理事宛に質問状を出すとともに、具体的な要求事項を提出しました(項目12は『次世代育成支援対策推進法に基づく「東北大学一般事業主行動計画」の実現状況を説明すること』)。回答としては全て「〜に取り組むことの周知・徹底を図っています」というものでした。人事課職員がホームページを整備する努力をしていることは評価します。しかし、通知を出しただけで「周知・徹底した」としていますが、これで改善が進む方が不思議です。職員の声を集めて経営者にもの申すくらいの対応が必要です。これまで育児休暇をとった男性職員は2名の教員だけです。事務職員はゼロ。まだまだ「男性職員は育児休暇を取れない雰囲気が職場にある」ようです。

【2008年度の新規採用者と女性比率】
職種採用数採用者の中での女性
人数割合
事務職員38名18名47.4%
技術職員32名4名12.5%

(2)元気になれる楽しい活動

 県内外のさまざまな集会に参加し、他組合員などとの交流を通して活動してきました。また、初めて一泊旅行(10/4・5「ミニ白神トレッキング」弘前 いわき荘)を計画しました。

(3)女性職員への系統的な情宣活動

 ニュース発行はできませんでしたが、女性部役員メーリングリストを活用しながら、各集会や物資活動の連絡を行ない、女性部の活動を知らせてきました。

(4)支部女性組合員との交流

 とんぼ玉販売等の物資活動を通して、支部の女性組合員との交流を図りました。

 理学部支部では女性職員懇談会がもたれ、時間雇用職員のボーナス支給や職員の休憩室設置の要求など様々な意見が出されました。

(5)母親大会の取り組み

 県実行委員会に委員を送り、大会の成功に貢献しました。物資販売・カンパ活動に取り組み、2008年は全国大会に代表を送ることができました。

(6)国際女性デー・宮城はたらく女性のつどいなどの連帯活動

 両実行委員会に委員をおくり、集会の成功に貢献しました。

2009年度運動方針と課題

 女性部は、「男女が互いにその人権を尊重しつつ責任を分かち合い、性別に関わりなく、個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現」を目標に、男女ともに働きやすい職場づくりを目指して運動しています。しかし、法人化以降、女性をとりまく労働条件は年々厳しさを増しています。今年も「女性が生き生きと充実して働き続けられる職場は、男性にとっても働きやすい職場である」をモットーとして、男性職員とも協力して以下の活動に取り組みます。

[1]男女共同参画社会実現のために

(1)次世代育成支援対策推進法に基づく「東北大学一般事業主行動計画」を絵に描いた餅にせず、男女とも人間らしく働きやすい東北大学を実現するため以下を要求していきます。

  1. 育児に関する休暇の周知・啓発、休暇をとりやすい環境づくり
  2. 産前休暇を2週間拡充し8週間とすること
  3. 男性職員も育児休暇などを取りやすいような職場環境、雰囲気づくり
  4. 年次有給休暇の取得促進、
  5. 所定外労働時間の縮減
  6. 「東北大学一般事業主行動計画」の達成状況の公表
  7. 女性教職員の昇進・登用と採用の拡大、および50歳代女性の処遇改善
  8. 任期付き教員や有期雇用の職員が更新の際に出産・介護等のために不利益が生じないような制度づくり
  9. セクハラのない職場、管理者のジェンダー意識変革のための教育実施
  10. 女性採用が多い時間雇用職員の待遇改善(ボーナス支給など)
  11. トイレ・更衣室・休養室等職場環境の改善

(2)「構造改革」、医療切り捨て、長年にわたった医師養成の抑制、過重労働などによって、産科医不足などから病院や助産所の休診・閉鎖が相次いでいます。安心して出産できる医療を実現するための運動を、他の女性団体等と連携して進めます。

[2]元気になれる楽しい活動(ミニ旅行・学習会)を企画します。

[3]メール・紙媒体を併用して女性職員への情宣活動に取り組みます。

[4]連帯の活動

(1)第49回宮城県母親大会・第55回日本母親大会の成功にむけて取り組みます。

(2)国際女性デー・宮城はたらく女性のつどい実行委員会に参加し、成功にむけて取り組みます。


12.身近な仲間の交流と、部局をこえた学習やスポーツを ─青年部─

(1)主に青年部員(32歳以下の人)を対象に、次の2点を念頭において活動しています。

  1. 他部局の人とつながりを作り、職場の悩みや相談を気軽に話せる場をつくる。
  2. 組合について学ぶ。

(2)2008年度の活動(参加人数は青年部員の人数)

(3)2008年度は、青年部の活発な活動を復活させてから2年目になります。年度途中から、青年部長を決定するなど少しずつ組織ができてきました。現在の青年部員は80名ほどになります。活動が一部の人に偏っていたのが課題でしたが、懇親会に青葉山の人の参加があったり、ボウリング大会では新組合員の看護師が参加するなど、進展を遂げることができました。活動としては、2007年度年に比べて懇親会が少なかったですが、新しく勉強会を開催したりと活動に幅がでてきました。

2009年度運動方針と課題

(1)初心にかえって、懇親会と勉強会を多くできるように努めます。

(2)行事は余裕をもって計画し、各部局で行うことで参加者の幅が広がるように進めていきます。

(3)ワンマンではなく個々人にお願いをして活動するようにし、青年部活動の継続と組合の後継者育成につながれば良いと思います。

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13.組合の存在をアピール!強く大きな組合をつくろう

[1]組織拡大について ─組織部─

(1)職員組合にとって、その組織率をあげることの重要性は言うを俟たないのですが、組織拡大にあたっては、「なぜ組合が必要か」という素朴な疑問に答えることから始めなければなりません。

 職員組合は、第一義的にはボランティアの組織ではありません。多くの人が決して安くない組合費を払って組合に加入しているのには大きな理由があります。とくに法人化後の大学の職員組合は労働3権をもつ労働組合であり、労働者の権利を守るためのものです。ついこの間まで国家公務員であった大学職員にとってはあまり実感のないことかもしれませんが、現在の大学職員の身分や権利は、自ら守らなければ簡単に奪われてしまうようなものになっています。例えば、大学当局と見解を異にするような事案で当局が「悪」と判断すれば、当局は調査委員会や懲戒委員会などを設け大学職員を処分することができます。この事情は、「大学当局」を「学部・研究科」と置き換えても成り立つ話です。

(2)国家公務員でなくなった今、大学の職員と大学当局との関係は好むと好まざるとに関わらず「労使」の関係にあります。東北大学職員組合は、日常的に生じる労使間の問題に取り組む東北大学随一の労働組合であり、法律できちっとその存在を認められた組織です。組合との労使交渉を経なければ、法人当局は大学職員に対するいかなる不利益変更も行うことはできません。管理職を除く全ての大学職員は労働者であり、従ってその使用者である大学当局とは日常的にいろいろな労使の問題に直面しているのです。意識してもしなくても日常的にさまざまな労使の問題に直面しているのです。必然的に起こる労使間の問題は、自分がやっていなければ誰かがどこかで当局と話し合いをしてくれているのです。この観点からすれば、大学職員は全員職員組合に加入する必然性を持っていることになります。勿論、大学当局の施策には全て従うか、問題があれば自分一人で当局と対峙するという人の存在を否定するつもりはありません。しかしながら、この日常的な労使の構造を認識していない人も多いのではないかと思われます。私たちは、大学職員に対してこの労使関係が厳然と存在することを説明し、それ故に東北大学職員組合に加入することが順当であることを喚起し、自分のためになると確信した人々に組合加入を呼びかけています。

(3)とは言いつつも、組合加入の運動はそれほど簡単ではなく、常に多くの組合員が組織拡大に当たり困難に直面しています。実際、定年で辞める人と新たに加入する組合員の数は前者の方が多いことがここ数年の「実績」でした。そこで、今年度の組合では、次のような方針で組合員拡大を目指しました。それは、「自分にとって話しやすい人・話を聞いてくれそうな人に絞って組合加入を呼びかけよう」というものです。「話しにくい人に組合加入を呼びかける必要はない」というものです。実はこのことは、現在の組織率からすれば、至極自然なやり方だと分析できます。このようなやり方で、例年よりは多少は多い組合加入を達成しましたが、残念ながら定年で辞めてゆく組合員の数をかろうじて上回った程度でした。しかしながら、このレベルの組合拡大は今後数年間は続ける必要があろうかと思われます。

(4)今年度は特別企画として、2008年ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英氏を訪問し、東北大学職員組合への激励の色紙を何枚か書いていただきました。これは、病院支部の発案で行われたものです。そのうちの一つは病院支部の組合員に対して団結を呼びかけるものでした。病院支部では、その色紙をカードに焼き直し組織拡大に活用しました。東北大学職員組合に対して団結と組織拡大を呼びかける益川氏の色紙は、多くの組合員に勇気を与えるものでした。

[2]組織・財政の確立について ─組織・財政検討委員会─

(1)全大教との折衝(納入人員問題)

ここ数年問題となっていた、全大教への納入人員について議論を積み重ねた結果、組合は、過去に組合員数を過大に見積もって納入していたことがわかりました。そのミスを率直に認め遺憾の意を表した上で、払いすぎた額については、今後の全大教への納入額の減額をお願いするという方針を確認しました。具体的には、当面、納入人員数を50名として計算することで、全大教を説得することになりました(借金返済を優先すべきだという判断によります)。一方、全大教側からは、基準となる納入人員数100名での支払いを求められています。しかし、東北大学職組の財政状況からは困難な数字であるため、現在も交渉を続けています。

(2)組合費の確実な徴収方法等

 職組の財政基盤とも確実に関連することとして、組合員拡大の方策について検討を重ねました。特に重点をおきたいものとして、病院支部の財政健全化と組合員拡大が挙げられます。年度当初は、病院内での古本市などを企画する試み等もありましたが、1月24-25日の全大教合同地区別単組代表者会議での議論を経て、年度初めの活動が一番効果的、効率的であること、組合費を確実に徴収する方策が必要であること、などの理解が深まりました。その結果、病院支部との事前の打ち合わせを経て、4月初日のオリエンテーションに本部執行委員などが合流し、活発な勧誘活動を行うことができました。

また、組合費の徴収費用に関する問題点を解決するため、各支部の准職員(組合費900円)と時間雇用職員(同600円)の銀行振り込みについては、本部の口座に振り込むことで支部に手数料の負担が行かないような方式を確認しました。

 2007年度途中より書記局は常勤1名体制となっており、無理なく集中した活動を行うために金曜日を定例の書記局閉鎖としています。しかし、それに対応した業務の縮減は今後の課題となっています。

[3]地域の共同

 組合は、宮城県教職員組合協議会、宮城県労働組合総連合、宮城県国家公務員労働組合共闘会議、国民救援会宮城県本部、民主教育をすすめるみやぎの会、教育文化研究センター、子どもの人権を守る宮城県連絡会、原水爆禁止宮城県協議会、宮城憲法会議、春闘共闘会議、安保破棄・諸要求貫徹宮城県実行委員会、社会保障推進宮城県協議会等の諸団体に参加し、地域の共通課題に取り組んできました。引き続き諸団体と一致する要求・課題での共同を進めます。その際に、国立大の非公務員化、組合財政の健全化等の観点から、諸団体との関係を再点検することが必要です。

2009年度運動方針と課題

(1)積極的に組合加入を呼びかける運動を展開します。退職者が増えています。たとえ退職者と同じ数の加入者がいたとしても、財政再建には十分ではありません。退職者の組合費は若い人に比べて高いからです。したがって、われわれは組合員の拡大に真剣に取り組まなければなりません。

(2)健全な組織・財政の確立を進めます。組合員の拡大を成功させるためには、毎年4月に行われる病院のオリエンテーションにおいて、多くの新採用の看護師に加入してもらう必要があります。他大学では、看護師の大量加入を実現している職組もあります。東北大職組ができない理由はないと思います。来年も入念な準備のうえ実施する必要があります。

(3)各支部でも、教職員の採用・転入があった際には、速やかに、挨拶を兼ねて加入を呼びかけます。

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14.立看板・ホームページを活用した組合のアピール  ─教宣部─

(1)情報をうまく活用した組合活動のアピール 

 組合員に対し、活動をリアルタイムできめ細かく伝えることによって、組合員の組織への帰属意識を高め、組合活動を通して自分が護られ、また仲間を護る活動に参加していることを意識化することができます。また、未組織の職員に対しては、組合の考え方や運動の成果を伝えることができ、組合への加入を促すことになります。

 さらに、法人側との交渉における組合の主張の正当性をはじめ、組合としての意見書などを適宜、必要な機関・組織に対し速やかに表明し、また一般にも公開することによって、法人側の教職員に対する不正や不誠実な動きを監視していることのアピールや、またそれらを「跳ね返す」力ともなります。

(2)ホームページは組合の窓口!サイトを広く活用しよう

組合のホームページ(以下HP)は、組合の日々の活動や主張を広く広報する上で、最も重要なメディアになっています。また、過去にさかのぼって、組合の活動が記録されていることも大きな利点です。2008年度は当局との団体交渉速報・報告の他に、以下の発表した声明・要望書・質問書を掲載しました。

  1. 国立大学法人運営費交付金の3%削減について
  2. ガソリン代高騰に伴う通勤手当の改善を求める要求書
  3. 次世代育成支援対策推進法に基づく「東北大学一般事業主行動計画」の実現状況に関する要望と質問
  4. 教員の定年年齢引き上げについて
  5. 名誉教授称号授与問題について 
  6. 夏の一時金0.2ヶ月分の「凍結」提案について

一方、HPが広報の重要な媒体となっているということは、HPがどのように活用されているかを知ることも重要です。そのためアクセス解析などを用いて本組合のHPの利用を調査し、より活用されるページへ向けての更新などの検討が必要です。

(3)さまざまな媒体を効果的に活用しました

 組合員に対する情報提供は、メールやメーリングリスト(以下ML)など電子媒体による速報性を重視する手段があり、活発に利用されています。2008年は組合内独自ドメイン(tohokudai-kumiai.org)への移行が実施されました。各支部の連絡にはMLを主体として支部独自の連絡方法がとられていますが、全組合員に対する効率的なメール配信のため各支部組合員に共通したMLの作成も提案され、効率的で安全な情報発信の検討がなされています。

 また、娯楽的要素や論理的内容をしっかり伝える要素を持っている印刷媒体などを効果的に活用する必要があります。また、一般職員に対しても組合の活動が、たとえば「仲間とのつながりが楽しい」ことをアピールできるような活動状況の広報も新組合員を迎え入れるための必要な活動と考えます。

職組新聞「コア」は、春夏秋冬の4 号発行されましたが、今後、組合員の活動が未加入者にも広く伝わるようにコアの内容のWEBへの掲載なども検討する必要があります。

学内各所に各支部に対応した立看板を掲示しました。ポスターのデザインに配慮するとともにまた、ノーベル賞受賞の益川敏英教授と執行委員長の映った写真のポスターやカードを作成するなど宣材を工夫し、組合の活動を広くアピールしました。

2009年度運動方針と課題
─あらゆる媒体を利用し、組合の活動をより広く広報しよう─

(1)メールによる情報が日常化するなかで、組合の情報をどう効果的に伝えるかが重要になってきました。内容にもよりますが、必ずしもMLで情報を流したり、WEBサイトに掲載するだけでは相手に伝わらないことがあります。電子媒体による情報提供を積極的に推し進めつつ、職場の環境に配慮しながら、より組合の団結を強め、組合の活動を効果的にアピールする広報のあり方を検討します。

  1. 組合主催の学習会や講演会などと連携した情報の提供をします。
  2. 組合内ML、MLaobaなどを活用した広汎な情報の提供をします。
  3. ポスターやチラシを更に工夫し、積極的に掲示します。
  4. 適宜、カードなどさまざまな媒体でメッセージを伝えましょう。

(2)いろいろな状況下で孤立化しやすい職場環境においては、組合の活動が「つながり」を生み出し、あなたの周囲の人たちが「あなたを護っていく」活動であることを積極的にアピールする必要があります。

  1. 組合のHPからもダウンロードできるようにするなど、「コア」をより一般の職員の目にとまるようにします。
  2. 若い人たちにも組合への加入を勧めるためのHPの表現のあり方を検討します。

(3)法人化後も行われている、いわれのない公務員バッシングや、団体交渉に頻繁に現れ、当局のお題目ともなっている『社会通念』を味方にしていくためには、長い時間をかけても、学外に向かって組合活動もアピールしていく必要があります。

  1. 職場や地域社会の中での組合員の活動もアピールしよう。
  2. 大学の人材資源を生かし、分野を超えた学習会や市民向けの学習会なども視野に入れた活動を検討します。
  3. 職員だけでなく学生・院生の研究・教育環境にも目を向けた活動を展開します。

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第3号議案 I

2009年度会計予算編成方針

[1]一般会計について

(1)2008年度決算と2009年度運動方針を基本に、より効果的な予算運用と節約に努めます。

(2)借り入れを抱えた予算から早く脱却をするために、今年度も経常予算の適正化をはかります。

(3)書記局体制は昨年度と同様、フルタイム書記1名、アルバイト書記1名とします。

[2]収入について

(1)今年度も組合員の大量の定年退職者が見込まれる中、組合財政はよりいっそう厳しい状況にあります。組合員拡大を最重要課題として取り組みます。

(2)組合員の納入人員は正規職員   名、准職員  名、時間雇用職員  名とし予算編成の基礎数とします。

(3)チェックオフを目指しつつも、郵便局や銀行の振り込みによる体制を整え、組合費の確実な徴収に取り組みます。

(4)組合費の算出の一元化について引き続き検討します。

[3]支出について

(1)厳しい財政状況ながらも、最低限必要な日常活動と組合員拡大活動には極力予算を確保するように努めます。

(2)借入金については期日の迫ったものから、順次返済をしていきます。

(3)加盟組合費は全大教  名、県労連  名とします。

最近4年連続で減少に歯止めをかけていました。昨年度は微減でしたが今年度はまた、+2と微増でした。また、純増であっても定年退職者(高額組合費)による収入減が大きくなっています。どうしても3桁に近い拡大を実現しなければならない状況にあります。

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