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1999年定期大会議案書

(98年7月16日開催)

第九次定員削減反対!国立大学の独立行政法人化反対!
教員任期制反対!昇給停止反対!調整手当改悪反対!
憲法改悪反対!戦争法の発動阻止!盗聴法成立阻止!
教育研究基盤の充実と
教職員の生活改善をめざして
大学人らしい知的創造活動を!

<目  次> 第一号および三号議案(経過報告と運動方針)
はじめに
 一 生活改善のとりくみ
 二 教文部のとりくみ
 三 大学改革について
 四 技術系職員の運動
 五 教務職員の運動
 六 事務職員の運動
 七 図書館職員の運動
 八 行(二)職員のたたかい
 九 医療部門の運動
 十 定員外職員の運動
十一 昇給・昇格運動
十二 福利厚生活動
十三 文化・レクリェーション
十四 婦人の運動
十五 青年の運動
十六 平和と民主主義を守るたたかい
十七 地域共闘のとりくみ
十八 組織強化・拡大について
十九 五○周年記念行事

第三号議案の基調
 一九九九年度の運動の基調と重点課題

第四号議案I
 九九年度会計予算編成方針

第二号議案 (以下省略)
 九八年度会計決算報告
第四号議案II
 九八年度会計予算案
教職員共済会計報告
労金会計報告
九九年度たたかいの具体的目標


はじめに

(1)社会情勢と大学
 東北大学職員組合は今年、結成五○周年を迎えます。組合は、大学内外において民主主義、平和主義を発展させ、組合員の労働条件を改善してきました。その精神、制度は現在においても脈々と受け継がれています。しかし二一世紀を目前とした今、それらが切り崩されようとしています。
 首相の諮問機関である経済戦略会議は、「日本経済再生への戦略」を一九九九年二月二六日に答申しました。答申は、消費税の税率アップをはじめ、厚生年金の民営化や所得税の課税最低限の引き下げなど、国民生活切り下げ、増税を示した反国民的な内容となっています。実際に、「不況打開」「規制緩和」の名の下で、労働基準法改悪、農産物自由化などが次々と実施されています。生活内容のみならず「周辺事態措置法案」など新ガイドライン(日米防衛協力のための指針)関連の三法案が可決され、平和憲法の根幹とも言える第九条が全面否定されようとしています。
 これら諸政策は、アメリカのイニシアチブで全世界的に根付きつつある新自由主義を拠り所とする財界とそれらに結託した自民党政府によって押し進められています。そのような流れの下に、大学の教育・研究全体が効率最優先に変えられようとしています。

  (2)ますます大きくなる大学の役割
 大学は本来、国民の負託を受け高等教育を担う機関として、主体性を持った学生、院生を育成し、学問を発展させていく任務を負っています。さらに、急速に進行している温暖化、酸性雨、ダイオキシンや内分泌撹乱物質(環境ホルモン)といった環境問題、学級崩壊や不登校として顕在化している教育問題、労働者軽視、中小企業切り捨てで象徴される経済構造問題など、社会的な病理を解決する上でも、大学の役割は益々大きなものとなっています。
 しかし、日本の大学の教育・研究は、経常的教育・研究費の実質的減少、施設の窮矮化、老朽化、教職員定数削減、院生定数の増加、授業料の高額化という極めて劣悪な条件におかれています。そしてその中で、教職員は多忙化が急速に進行し、文部省主導の「改革」に追い回され、予算獲得のため政府の意向にそった研究を追い求める傾向も強まっています。

  (3)大学審答申の危険性
 このような大学をとりまく情勢の中、一九九八年一○月には、大学審議会によって「二一世紀の大学像と今後の改革方策について─競争的環境の中で個性が輝く大学─」が答申されました。これに伴い「学校教育法等の一部改正法案」が上程され、大学審答申の法制化が図られています。そして、政府は一九九九年一月二六日に中央省庁等改革の大綱を決定し、二○○三年までに国立大学の独立行政法人化の結論が出されることになりました。この一連の「改革」政策は、大学の少子化、国際化、自由化、の中で、財界の求めるような「質の高い学生、研究の成果」を社会に送り出すために、市場原理を大学間、大学内に導入し、競争によって「質の向上」を図ろうとするものであり、また大学を整理統合するために大学の種別化を図るものです。そして、高等教育をも行政改革の対象として、教職員のリストラを実行しようとしています。

(4)大学の創造的・民主的発展と教職員の待遇改善を目指して
 一九九八年度の組合運動は、社会の急速な変化に対して、これまでの組合運動によって勝ち取ってきた諸制度、培ってきた民主的精神を守るために、教育・研究を進め、学生の主体性を育成し、学内の民主的運営を実現する上で、「対話」を重視した運動を展開してきました。
  • 「大学改革」の様々な動きに対しては、学習会を行い、その問題を分析しそれをまとめて教文部ニュースとして発行し、声明を発表してきました。特に、議論を深め広げるために、宮城県教職員組合協議会(宮教協)や科学者会議宮城支部との共同学習会を開催できたことは意義深いものでした。
  • 社会との「対話」については、TOU(東北オープンユニヴァーシティー)が今期も充実した活動を行いました。
  • 教務職員問題の抜本的解決(すなわち制度廃止)に向けて、東北大学の全教務職員に訴えを行い、約七割の方からの署名を付した総長への要望書を提出することができました。
  • 看護職員増員要求は、組合員内外の大きな支持を得て、東北大学で一五○○名以上の署名を集めることができました。
     しかし、昇給延伸・停止年齢引き下げ、事務一元化、任期制導入、勤勉手当の差別支給、看護職員の二交替制導入など、私達の労働条件に直接関わる諸問題については、十分な取り組みができなかった点もあり、来期への課題として残されています。また人勧賃金改善への取り組みについては、特にゼロ回答、マイナス回答が予想されるような近年において、従来通りの要求や闘い方でよいのか、検討が必要です。
     五○周年を迎える今期にこそ、教養部廃止、重点化、任期制、事務職員・技官・助手定員の削減などが引き起こしている問題の総括を行い、「学問の自由」「大学の自治」の今日的なあり方について根本に立ち返って、検討していかなければなりません。そして、政府の反民主的な政策と大学の諸「改革」と国民の教育要求との矛盾、大学教職員の労働条件の悪化阻止と生活改善を一つずつ勝ち取っていく必要があります。
     政府による「行革」の宣伝が先行する中、国民の理解、支持を得なければなりません。組合が学内に留まらず、社会に向かって積極的に発言、提言する運動も強化する必要があります。



    一、賃金をはじめとする生活改善のたたかい

    (1)1998人事院勧告
     人事院は例年になく遅い8月12日、「一般職国家公務員」の給与を1998年4月から平均0.76%(2,875円)、高齢者の昇給停止を三歳切り下げ55歳に、民間賃金体系と人事システムへの転換、職務と能力に応じた体系実現に言及するなどの勧告を行いました。これは、勧告の給与引き上げ率としてはこれまでの最低である0.9%を更に下回る史上最低のものであり、また、「早期立ち上がり」を理由にした昇給停止年齢の引き下げは、入職年齢の高い大学教員の採用実態から他省庁とくらべても一層深刻なものです。さらに、再検討期を口実に調整手当ての「見直し」にも言及したことは、寒冷地手当の削減、医療費や消費税の負担増を考慮に入れれば実質賃下げになり、極めて不満なものと言わざるを得ません。

    (2)総長交渉
    1. 1998年4月30日に申し込んだ総長交渉は、総長の多忙を理由に引き延ばされて7月27日に行われました。組合は、当局が交渉を遅らせて結果として「年一回の会見」となっている慣例を変えることを要請しました。総長は異例のことでしたが、冒頭に挨拶を兼ねた長時間発言を求め、独立法人化をめぐって国立大学がおかれている厳しい状況の説明と私見を述べました。
    2. 交渉の内容は、教員の任期制問題、教職員の待遇改善、キャンパス移転問題、その他について行われました。
       総長は、交渉の大きな柱である教員への任期制導入問題では、「部局教授会決定」を理由に評議会の責任を明らかにすることを避け、導入された任期制の廃止要求を拒否しました。また、教務職員問題については、助手振替の概算要求の提出を積極的に行うよう総長として部局長に働きかけることと、事務当局も解決に向けて努力することを表明したことは、運動の反映と展望を示したものと言えます。
    3. 新たに導入された勤勉手当の80/100については、教育研究を犠牲にしてまで全学の仕事をしている極少数者に適用したことを明らかにし、恣意的なものではなく、この点では組合の論理に筋があるし、部局の見識と判断に規範を示したものであるとの見解も示しましたが、今後とも総長・部局長の動向に注視していく必要があります。(1998年8月25日付組合ニュース「総長交渉報告」参照)

    (3)秋期年末のとりくみ
    1. 全大教は、秋期年末闘争方針の重点課題として、当面の情勢をふまえ、人事院勧告の賃金改善部分の早期確定と昇格改善、大学審「中間まとめ」から「答申」までのとりくみ、予算・定員増要求、民主主義・国民的要求の実現、組織強化・組合員拡大などに取り組む方針を提起しました(10月2日単組代表者会議提案)。しかし結果として、急浮上してきた独立行政法人化をめぐる運動が秋闘期の中心課題になりました。
    2. 組合は、こうした中で、中央委員会配置も念頭に置きつつ執行委員会の責任で取り組むこととし、その中軸に「対話」(=学習会を含めて)を据えることを確認しました。これに基づき第一回支部代表者会議(9月2日)では、とりくみの中心課題としては(1)生活改善、(2)大学審「中間まとめ」、(3)組織拡大、(4)50周年事業をあげ、執行部を中心とした泊り込みの「対話」=学習会と、未組合員を含めて広範に対話運動を展開することを提案しました。
    3. 今秋闘では、対話と要求に基づく賃金闘争を展望して、1999年春闘要求アンケート(国公労連のもの)を多くの組合員から集めることを重視しました。しかし、結果は昨年を下回る87名の集約にとどまり、あらためて取り組みの意義について論議を深める必要があります。また、執行委員会としても集計結果(3月24日)の分析・検討などを重視する姿勢を貫くことが求められます。
      署名の取り組みも対話を進める活動として位置づけ、「看護職員増員」「予算・定員増」「新ガイドライン反対」を三大署名として重視し、組合員数を超えることを目標に取り組みました。
       各キャンパスの生協前などでの一斉署名行動には、11月20日昼休みを中心として、各支部から延べ24名の組合員が参加しました。(一斉行動での署名数は以下の通り)
      ・看護職員増員 二七九筆
      ・予算・定員増 一九八筆
      ・新ガイドライン 五九筆
       とくに、農学部では事前の準備も良く一日で組合員数を超え、教訓的な取り組みになりました。また、病院支部では、看護職員増員を求める署名を数次にわたり通院患者等へ働きかけ、合計1,500名を超えるかつてない画期的な取り組みとなりました。
       「予算・定員増」は 348名、「新ガイドライン反対」は222名にとどまり、当初の目標には至りませんでした。対話と要求運動を進めていく上で欠かせない組合員数以上からの署名集約を目指して取り組みの方法等の検討も必要です。
    4. 今期執行委員会では、対話の中心課題は正確な情勢認識にあるとの見地から、本部・支部による学習と交流の取り組みを重視してきました。
      本部執行委員会の主催で、「大学の創造的発展のための対話交流会」を11月6・7日に実施しました。泊り込み学習会としては数年ぶりに行われたにもかかわらず、支部24名、本部12名、全体で36名の参加で充実したものとなりました。今回は執行部の参加が中心となりましたが、今後とも本部・支部の役員を中心としつつ広く組合員の学習交流の場として根付いていくことが期待されます。
       特別報告は、
       「大企業の労務管理と労使関係」  講師 川端 望(経済学部助教授)
       「高等教育の国際的動向」  講師 高橋 満(教育学部助教授)
      でした。いずれも、今の情勢を知る上での新鮮・貴重な話題提起であり、これを受けて、真剣に討論が行われました。あわせて秋闘期の課題ついても交流を深め、有意義な学習交流会になりました。
       宮教協主催の「教育改革のあり方シンポジウム」が10月9日に行われ、40名参加しました。(教文部の取り組み参照)
      支部での「対話」学習会の取り組みは、理学部支部と文科系支部で行われましたが、具体化にいたらなかった支部がほとんどという不十分な取り組みとなり、当初掲げた「学内で広範な対話を」との目標からは程遠いものになりました。この点については、本部から支部へのよびかけに不十分な面があり、課題を残しました。
    5. 人事院東北事務局交渉は、国公東北ブロックと、全大教東北地区協議会(11・6)で取り組まれました。組合はこれらに参加し、大学教職員の待遇改善、教員への「教育研究調整額」の新設、技術職員の評価と地位の向上等を要求するとともに、55歳昇給停止に反対して、現状について訴えました。
    6. 人事課長会見は、11月9日、事務一元化、待遇改善(教務職・昇格・定員外)、素材研樹木管理、セクハラ問題で行われ(職組新聞参照)、樹木管理については、その後、組合の提起で十数年ぶりに片平の全ての樹木について剪定・伐採がなされ整備されました。
    (4)99春闘のとりくみ
    1. 秋闘期の情勢からさらに、大学の独立行政法人化問題が急浮上してきたことが明らかになる中、全大教は、1月30日、単組代表者会議において春闘期の方針について提案を行いました。提案は、賃上げや待遇改善についても行われましたが、討論は、大学審答申の法制化や独立行政法人化に対する取り組みの問題に集中しました。とくに、各単組からは、法人化に反対する取り組み強化を求める意見が数多く出されました。この討論を受けて、全大教執行部は春闘期の最重要課題として、これらにとりくむ姿勢と方向を明らかにしました。
       その後、全大教はこの会議を踏まえ、また、さらに急転する大学審議会と行革推進会議の動きにも合わせて、取り組みの「補強」提案が二回にわたって行われました。
    2. 方針の具体化として、全大教は、法人化問題Q&Aパンフの活用、反対声明と対話運動(各種シンポ等)、署名の集中、そして、3月16日から24日までを全国統一行動とした国会審議の山場戦術の提起を行いました。しかしこれらは、各単組に対して多様な戦術の展開を要請するもので、全国的に統一された強力な運動に前進・発展させる上では不十分であり、方針上の弱点を指摘せざるを得ません。
    3. 全国情勢を受けて、組合の取り組みも独立行政法人化問題、大学審議会答申法制化問題を中心としたものになりました。組合は、この二つの問題で全大教が作成した各パンフに基づく学習・宣伝、教文部を中心とした学習会、国公から講師を招いての法人化問題学内シンポ等にとりくんできました。
       しかし、運動の規模としては、法人化に反対する署名が  名の到達にとどまっているように、教員の任期制度に反対する取り組みより不十分なものとなっています。
    4. 県国公共闘の行革問題での地域署名行動や、県春闘共闘の消費税減税を求める国民投票運動に、積極的に参加してきました。これらの取り組みを通じて、ニセ「行革」が国民のなかにかなり浸透しており、我々と国民との対話活動が真の行革への理解を進める上で有効であることを、あらためて実感することが出来ました。
       99国民春闘共闘会議「大幅賃上げ、不況打開2・7国民総決起集会」は、全体として 8万人参加の大集会となり、組合からは8名が参加しました。
       99春闘勝利宮城県総決起集会(2月28日)には23名が、第70回メーデー宮城県集会には86名の組合員が参加しました。メーデーでは、行進・プラカードの部で入賞しました。
    5. 総長交渉において、勤勉手当支給の80/100適用者があることが明らかになりました。これには、教職員に差別を生み出すことにもつながる危険性が含まれています。今後、勤勉手当の支給にあたっては、60・70の適用をめぐっても、当局が各人に対して支給率を明記するよう要求すると同時に、組合員と教職員も引き続き各自の支給率について注意を払い、実質的に差別が行われないよう監視していく必要があります。
    6. 今年の人事院勧告は、不況を背景にした民間調査に基づき、昨年水準をさらに下回るものになることが示唆されるなど、早くも厳しいものになる様相を呈しています。人事院は昨年の勧告で調整手当ての見直しに触れ、さらにはボーナスの切下げも予想されるなど、実質の賃下げとなるおそれがあります。全大教東北地区協議会は、人事院東北事務局交渉(6・21)において、調整手当の切り下げ方針に抗議するとともにその撤回を要求しました。安心して教育・研究・医療活動等に従事できるような給与制度・昇給制度をめざす取り組みが求められています。
    1999年度運動方針と課題
    1. 来年八月を目途に、大学の存立そのものが問われる独立行政法人化の導入と、大学の運営機構の改悪が現実に推し進められようとしています。
       この動きに対して組合は、教職員の待遇の重大な改悪と身分の不安定化が起こることのないよう、交渉等を通じて大学当局に対して、検討内容を早期に明らかにさせること、教職員の合意を基に進めることを強く求めます。
    2. 教職員の要求運動を強化することを基本にしつつ、全大教の方針提起に応えて統一要求、統一行動を重視して取り組みます。全大教の文部大臣交渉の実現を目指します。
    3. 賃金改善については、人事院勧告に向けて官民一体の運動を強めます。教員賃金をはじめ各職種の賃金要求については、支部代表者会議、職場討議、学習会等の取り組みを強化し人事院交渉等に生かします。また、勤勉手当等の差別主義強化問題、調整手当の引き下げ等の改悪に反対し、宣伝・学習・対話行動などの運動を強め、生活を守るたたかいを進めます。
    4. 教員の任期制導入問題、キャンパス移転問題、事務の統廃合、技術職員問題、教務職員問題、病院看護職員の増員と待遇改善など、総長の果たす管理・運営面での責務は重要になってきています。必要に応じて総長交渉を行い、学内の諸要求を文部省へ上申するよう要請します。また、部局長交渉など各支部での独自要求の取り組みを強めます。


    二、ひらかれた東北大学改革と国民のための大学をめざして
    ─教文部のとりくみ─

     今期教文部の活動の大きな柱は、昨年6月30日に「中間まとめ」、10月26日に「答申」が発表された大学審議会答申、および5月21日に成立した「学校教育法等一部改正法」への対応と、「行政改革」の一環として進められようとしている国立大学の独立行政法人化問題でした。これらの問題は大学の存立そのものに関わる重大問題であり、別に一項を設け、[大学改革問題]としてまとめました(第三章)。
     本項ではこれ以外のいくつかの取り組みについてまとめます。

    (1)教員任期制問題
     教員任期制は、昨年度の、加齢研、科研の助手職への導入に続いて、この6月8日に、新たに医学系研究科運動障害学講座教授職に3年の任期制が導入されました。全国的に見ると、23国立大学、3公立大学、3大学共同利用機関等が、教員の任期に関する規則を定めています。全体から見れば、急速に広がっているとはいえませんが、施行後のペースを見ると、1998年度末から1999年度にかけて、11機関が新たに導入しており、予断を許さない状況です。また、これらの多くは限られた1~数講座への導入ですが、北陸先端科学技術大学院大学(全学部全教官)、岐阜薬科大学(全学部全教官)、富山医科薬科大学(薬学系全教官)、東京大学(大学院新領域創成科学研究科全助手)のように包括的に導入する例も見られます。
     これは、法案審議過程における全国的な反対運動と、法案成立後の各大学・部局におけるそれぞれの取り組みが、依然として一定の力を発揮していること、しかし一方で、大学審議会「答申」とその法制化への取り組みなどの中で、任期制反対運動がやや弱くなっていること、また政府からの大学「改革」押し付け、行政法人化問題等の影響も無視できないと思われます。今後、新たな任期制の導入を許さない粘り強い運動を継続していく必要があります。また一方、来年には加齢研の任期職が満期となる予定であり、このポストがどのように扱われるか注意する必要があると思われます。

    (2)大学院重点化
     すでに大学院重点化をすませた理学部、工学部、医学部に続き、薬学部、農学部、経済学部で重点化が行われ、歯学部、教育学部でも重点化に向けた動きが見られます。この重点化により、校費の算定基準が約25%増加し、建物の基準面積も50%ほど増加することとなりました。しかし、ほぼ倍増した大学院学生定員に対して、折からの緊縮財政とも相俟って、工学部の一部で新基準面積に基づく概算要求が認められた以外は、大学院重点化に伴うべきキャンパス整備は進んでおらず、研究室の挟隘化は解消されていません。特に農学部では、キャンパス移転計画の実施までは、概算要求すら出せない状況にあり事態は深刻です。また、教育スタッフの純増はほとんどなく、それどころか助手定員の振替によって助手が減ったことにより、研究室運営に影響が出ている例もあります。さらに、事務職員・技術職員・看護職員には引き続き定員削減が押し付けられており、事務職員、教員双方の多忙化は深刻です。
     大学院大学にふさわしい高度の研究・教育が可能となるような設備、スタッフの充実を要求していく必要があります。

    (3)一般教育
     教養部廃止から5年を経て、全学教育の見直しが進められ、本年度新入生からは新カリキュラムがスタートしました。この間、全学教育に対しては、時間割編成の過密さや実質的にほとんど選択の余地のないことなどへの学生の不満や、いわゆる「実施部局」がないことへの「無責任体制」との批判、また、教養部的体制が唯一残された言語文化部の問題など、多くの問題が指摘されてきましたが、それらの多くは今だに解決していません。
     職員組合としてもこの問題を軽視せず、現状の把握と、問題点の共有に努める必要があります。

    (4)キャンパス移転問題
     1998年3月に評議会決定された片平・雨宮地区の青葉山移転ですが、職員組合ではこれまで各部局の自主的決定を尊重する立場から、これに対し積極的な賛否は明らかにしてきませんでした。しかし、青葉山県有地の所有権問題が裁判となり、早期の解決は困難と思われます。また、青葉山新交通システム構想についても、その採算性から早期に実現する可能性は低いと考えざるを得ません。一方で、片平キャンパスの各施設の老朽化は深刻であり、雨宮キャンパスも大学院重点化に伴い挟隘化が重大な問題となっています。キャンパス移転を含めたキャンパス整備計画は、こうした状況を考慮した上で、改めて検討すべきでしょう。職員組合として、直ちに青葉山移転計画を否とするものではありませんが、当該部局を含めた広い大学人、さらには市民に対して、この問題を現状分析を含めて改めて提起する時期ではないかと考えます。

    (5)TOU
     開学二年目を迎えた東北オープンユニバーシティは、今期、塩釜市教育委員会の生涯学習センター「ふれあいエスプ塩竈」と共催で講座「生涯学習時代を生きる─21世紀の社会的課題と市民活動」を開催しました。5回の講座と、宮城県生活環境部次長の樋口氏を招いての特別講座には、予定していた定員を上回る多くの参加があり、好評をもって迎えられ、マスコミにも取り上げられました。
     また、島根大学教職員組合はTOUの活動を紹介するフォーラム「東北オープンユニバーシティの試み」を企画し、本学からTOU学長他3名が招かれ講演と交流を行いました。
     そのほか東北自由大学双書「リベルタ」の企画、50周年記念座談会(講演会)の企画が進行中です。
     こうした活発な活動の反面、依然として活動が一部組合員の献身的な努力に依存していることは否めず、また、執行委員会として活動を支える体制も充分とはいえません。さらに多くの組合員の力の結集が求められるところです。
    1999年度運動方針と課題
    1. 教員任期制を導入させない取り組みを粘り強く続けるとともに、既に導入された加齢研、科研、医学部でのポストの扱いを監視し、その廃止を求めていきます。
    2. 大学院重点化に伴って生じている諸問題を分析し、教職員の増員など本質的な問題点については、政策的解決を要求していきます。
    3. 教員の組合員の拡大に、引き続き努力します。
    4. 東北オープンユニバーシティの運動を広げ、強化します。



    三、独立行政法人化に突き進む東北大学
    ―大学改革の動向―

    (1)競争主義に著しく傾倒した大学審答申
     大学改革は、1970年代から「効率的な管理」「開かれた大学」「産学協同」「大学院拡充」「多様化=種別化」「技術創造立国」をスローガンに進められてきましたが、1991年の大学設置基準の大綱化によって急速に進行しました。東北大学においても、教養課程の廃止、組織の改変、新研究科の設置、一部大学院の重点化が次々と実施されました。しかし文部省、大学審議会は、これらの改革はまだまだ不十分であるとして新たな諸方策を打ち出しました。それが大学審議会答申「中間まとめ」(1998年6月)、「二一世紀の大学像と今後の改革方策について─競争的環境の中で個性が輝く大学─」(1998年10月)です。この答申は、大学の少子化、大衆化、国際化、自由化の中で、市場原理を大学間、大学内に導入し、競争によって「質の向上」を図るものであります。そして、大学の整理統合、財界、経済界のためのエリート養成システムの確立を目指して「単位数上限設定」「各執行機関、審議機関の役割の整理」「第三者評価機関の設置」「大学院の入学資格、在学期間、およびコースの多様化・柔軟化」等の実施を提言しています。大学の自治を否定し、科学技術の発展のみを目指して競争主義に著しく傾倒した学問観、教育観に基づいた方策であると言わざるを得ません。

    (2)東北大学の改革方針
     大学審議会答申が出された後、東北大学においても、評議会内に設置された東北大学の在り方に関する検討委員会報告(1999・1・19)が発表されました。その報告書における組織運営システムに関する内容としては、「大学運営懇談会」の設置、各審議機関の役割の明確化、効率化を中心としたものでした。これらは、大学審議会答申を意識しつつも、大学としての主体性と自治体制を守る諸改革を提案したものでした。報告書の中でも、「これら諸事項の整備、確立による本学としての新たな組織運営にあたっては、本学が現行の組織運営体制の根幹に据えている、評議会での全学的な審議と意思形成に基づく大学運営の在り方を尊重するとともに、社会における高度な知的活動の中核機関として、本来的な使命を発展的に遂行するために不可欠な研究教育の自由の確保とそれに伴う責任の保持という観点から、大学の自治ならびに本学を構成する各研究科、学部、研究所、病院等の組織の自治に対する慎重な配慮が必要である。」と明記しています。

    (3)学校教育法等の改正、そして独立行政法人化
     しかし、1999年3月9日に「学校教育法等の一部を改正する法律案」が国会に上程され今国会で可決成立しました。その法案は「運営諮問会議」を各国立大学に設置すること、評議会および教授会の法的位置づけを明確化することが、中心的内容であります。その「運営諮問会議」には地域経済界代表の参画が想定されており、また「運営諮問会議」は勧告権を持つため、大学における自治および学問の自由は自ずと否定されます。また、評議会および教授会の法的位置づけの明確化については、評議会が学長と一体的な全学機能発揮の役割を担う一方、教授会の権限は学部の教育研究事項等に著しく限定され相対的に大幅に縮小されます。今まで学内で培ってきた民主的な運営体制が、専制的な体制へと大きく移行させられます。
     今回の法律の定める第三者機関の設置と専制的運営体制は、これまでの大学の自治 および民主的運営体制を根本から覆すものであり容認できるものではありません。加 えて、この法案の内容が、国立大学の独立行政法人化への大きな足がかりとなること は明らかです。国立大学協会は、現在の「独立行政法人化構想」には反対の立場で すが、定員削減の一方策として一部国立大学の設置形態変更を検討しています。東北 大学においても2000年秋までにその意思決定をする予定であり、既に評議会、各部局において具体的な検討が行われています。特に複数の付置研究所長は、独立行政法人への移行が既成事実であるとも受け取れる発言を繰り返しています。

    (4)組合の取り組み
     今期はこのように大学審答申、法改正によって大学改革が他律的に方向付けされ、そして独立行政法人化への道筋が敷かれました。組合は適宜学習会を開催してその問題点を分析し、大学審の「中間まとめ」と「答申」、「学校教育法等一部改正法案」に対して声明を発表しました。その過程で、このような改革が世界各国で同時に進行していること、ユネスコ報告との関係を検討する必要があること、今日的な自治および説明責任についての抜本的議論が必要であること、そしていかなる改革においても「対話」を基軸にした民主的過程が必要であることが共通の問題意識として確認されました。
     独立行政法人化については、予断を許さない状況です。マスコミは一様に、国立大学の独立行政法人化さらには民営化を謳っています。そして学内においても、文部省 の統制が弱くなる、労働・研究条件が改善されるとの幻想が広まっているのが現実です。「国立大学と地域社会の交流に関する調査(1998年11月、大学・地域交流研究会、代表:天野郁夫)」の結果では、国立大学の設置形態についての考え方について、一部もしくは全ての国立大学は、設置形態を変更すべきであると回答した教官は40.7%であり全国平均の35.2%を大きく上回っており、調査を行った七国立大学(東北、山形、新潟、広島、香川、九州、佐賀)」の中で最高値を示しました。独立行政法人化によって自由度は減少し、予算面でも厳しくなり、決して教育・研究環境は改善されないことを学内で訴え、さらに国立大学の存在意義を学外に訴えていく必要があります。
     独立行政法人化を含めた設置形態変更は、国立大学の存亡に係わる問題であり、そして私達の身分保障の問題であり、組合が全力で取り組まなければなりません。大学論を通した独立行政法人化そのものの問題点、大学教職員としての労働条件、組合と当局との労使協定について、矛盾点を指摘し、法的にも分析していく必要があります。

    1999年度運動方針と課題
       1999年度期は、自主的、民主的な大学改革のために、
    1. 「学校教育法等の一部を改正する法律」に沿った学内改変に対して、民主的な運用を要求します。
    2. 東北大学における独立行政法人化を含めた設置形態変更についての情報を集約し、俊敏に対応します。問題点を分析し、組合としての意見を組合の内外に広く知らせるとともに、適宜交渉を行います。
    3. 一九九九年度期に行われる総長選挙に際し、独立行政法人化および諸改革に対する組合の意見を示し、候補者の方針を質します。


    四、専門技術での評価と上位級の大幅確保をめざして
    ─技術系職員問題の取り組み─

    (1)この間の経過
    1. 文部省の動き
       文部省は、1997年11月17日付で教室系技術職員(行一)を対象に訓令三三号を制定しました。訓令の内容は、行(一)の教室系技術職員の職務を「技術開発・技術指導・技術の継承・保存、技術研修の企画調整を行う職」と位置づけ、「技術専門官」(六級~八級)282名、技術専門職員(四級~六級)4,050名としました。東北大学では1998年4月1日付けで訓令三三号に基づく技術専門官・技術専門職員が総長発令されました。東北大学では技術専門官が20名(八級2名、七級7名、六級11名)、技術専門職員が231名(六級1名、五級164名、四級66名)となっています。文部省は、金研、科研、流体研には、国立学校設置法11条の二項により「技術専門官」は適用されないとしています。
       専門官任用八項目選考基準には、修論や博論取得、学会発表などの時間的・予算的保障のない事項が含まれており、専門技術の評価が軽視されている点が危惧されています。専門官選考についても同様に公平さを欠く問題点を指することができます。
       人事院は、訓令三三号制定後、技術の継承がどのように行われているのか等を目的に、1998年10月に東大理学部、11月に三重大学に調査に入り、主に技術専門官の意見聴取を行いました。
    2. 組織化について
       組織化について、各大学では専門官制度導入を考慮した稼働する新たな技術組織の改編が検討されています。熊本大学工学部では国大協モデルを改組した新たな技術部が昨年12月に発足しています。また、東大工学部、岩手大学工学部、電通大、静岡大、山口大等、いくつかの大学・学部でも具体的な検討がおこなわれています。組織化については国大協、文部省から新たな指導がないことから各大学独自の改組の動きとなっているのが特徴です。
    3. 昇格について  昇格では、専門官制度の導入にともなって六級以上の定数が480と倍増、また、七級が標準定数化されるという改善が行われています。人事院では新制度発足後の専門官の職務動向を見ており、「配置した専門官の職務を見て今後の専門官定数を考えたい」とし、1999年度は残念ながら全国的に専門官の定数増はありませんでした。また、文部省の1999年度級別定数配分基準では、技術専門職員の五・六級について、今年度から新たに、昨年度の定数を各大学・高専に配分し、具体的な昇格者の決定は各任命権者が行うことになりました。組合の取り組みが一層重要となっています。
    4. 技術研修について
       技術研修については、文部省は1999年度新たに技術専門官・技術専門職員研修を実施し、技術専門官研修は全国一本で年1回定員80名で3日間程度、技術専門職員研修は全国を七地区に分け、各地区定員90名で、3つの専門コースとし、年毎に大学持ち回りとしています。1999年度は、技術専門官研修が東大で8月26日から28日、技術専門職員研修が東北大学が当番校で8月3日から3日間の開催を決定しています。
       学内技術研修については、1999年度本部研修が今年度も真空低温技術、安全管理、コンピュータの三分科会により3月に開催されます。 また、工学部、理学部、金研等を中心に独自の技術研究(発表形式)、専門技術研修(工)などの各部局特色のある研修が活発に行われています。また、東北大学で全国規模の技術研究会(400名規模)が理学部、金研、科研の各技術部を中心に平成12年度開催の準備が進められています。
    (2)技術職員部の取り組みの総括
     部会を六回開催し専門官制度導入問題を中心に対応してきました。
     他大学では、既に専門官制度発令に伴う組織改編についての検討が進み、あるいは公的に技官を含めた検討会において具体的な議論が行われています。東北大学では具体的な検討がほとんど進んでいないのが現状です。運動の遅れについては部としての対応が不十分であったことを反省しなければなりません。今後の組織改編にあたっては、専門官・専門職員の職務を基本とする組織のあり方の提案、技術職員の評価、部局間の人事交流も視野に入れた全学的な技術組織についての検討が必要となっています。
     昇格関係については、まもなく迎える団塊の世代対策として、専門官を含む六級以上定数の大幅拡大の取り組みが重要となっています。年功による昇格はくずれ、八項目基準の問題点を指摘し、技術業務を正当に評価させる昇格の取り組みが必要です。
     今年から開催される文部省研修の問題点を検証し、各部局で積極的に取り組まれている部局専門技術研修を充実させ、全学研修内容について検討を加えて、技術業務の向上、継承させる専門技術研修の明確化と充実に向けて取り組みます。
     また、今年度は東北地区技術職員交流会を岩手大学主催でつなぎ温泉を会場に19名の参加で開催しました。東北大学からは8名の参加でした。集会では訓令三三号発令以後の各大学の動き、昇格、組織の再編について論議されました。このような他大学との情報交換・技術交流を行うことは今後とも重要です。

    1999年度運動方針と課題
    1. 今日の研究教育の発展に対応できる職務のあり方、技術の向上、育成、継承などの具体的方策について検討します。
    2. 部局間交流も視野に入れ、専門技術業務の実態にあわない15人ユニットのライン組織を改め、専門職制に基づく技術業務による組織稼働、技術向上・継承が可能な組織づくりをめざします。
    3. 八項目選考基準の基本問題点を指摘し、技術業務を正当に評価させるように大学当局、文部省、人事院に働きかけます。
    4. 六級、七級、八級定数の大幅な増を目指して定数確保できるよう組合員の昇格運動に取り組みます。
    5. 専門技術研修の充実に取り組みます。
    6. 共同利用研への「技術専門官」の導入について検討します。
    7. 技術業務を行う行(二)・教務職員の処遇の改善に取り組みます。


    五、教務職員の助手への振替と抜本的待遇改善をめざして
    ─教務職員対策委員会─

    (1)これまでの取り組み
     教務職員問題の抜本的解決に向け、1988年、全大教(当時:日教組大学部)が「基本的に二級(助手)へ昇格をさせる」ことを柱とした方針「教務職員問題の解決のために」を決定して11年になります。この間の私たちの運動の広がりから、国大協、人事院も、この問題解決に向け一定の解決方針を打ち出すなど、全国的にこの問題解決の気運が広がってきています。
     今期私たちは、阿部総長が国大協副会長であることからも、全国的な運動の状況を把握していると考えられ、運動を前進させる重要な時期と考えて取り組んできました。
     とりわけ国大協が、「技術職員の待遇問題についてひと区切り」がつき「教務職員の待遇問題が課題として浮上」した、として、昨年から第四常置委員会の中で議論を行ってきていることに注目してきました。昨年、国大協第四常置委員会がまとめた教務職員の現況は、予算定数1,006人で在籍数857人、年齢別では29歳と39歳にピークがあり、在職年数では、5年未満が33%で20年以上が26%、学歴別では80%が大卒以上で9%が短大卒となっています。東北大学では、4月1日現在、予算定数79名で在籍者89名となっており、全国的な現況に比べ、高年齢、高在職年数となっております。在籍者数では、東京大学(60名)、京都大学(28名)、大阪大学(26名)と比べて、その多さは依然全国のトップで、群を抜いています。
     全大教は、今年6月の国大協総会において、その制度廃止を決定すべく様々な取り組みを行いました。しかし、この問題を検討することとなった、5月24日の第四常置委員会においては、依然として根強い慎重論(反対論)があり、「国大協として制度的検討が必要である」として、今年6月の総会での結論を持ち越しました。
     議論の中心は、独立行政法人の問題とあいまって、制度を廃止した場合、不要なポストとして定数を削減されるのではないかというようなことが懸念されたもようであり、「この制度をウマく使っているところもあり」「今後国大協の中で制度問題として議論が必要」とする後退したものでした。

    (2)東北大学における取り組み
     1997年の総長交渉において、阿部総長は、「教務職は仙台弁で言うと“イズイ”存在だ」「方針として助手にするのでよいと思う」と、これまでの総長に比べ一歩踏み込んだ発言を行い、その後、昨年7月の会見において、他大学の待遇改善の進展状況を「見習わなければならない部局長会議にも話し」「努力する」と話し、この問題解決に対し理解を深めています。以前、制度問題を議論する第一常置委員会の委員長として、全国的に遅れている東北大学の状況を見てのことと考えられます。また、人事課長も、「東北大学が全国的に見て遅れている」と話していますが、現在、なお新規に採用される事態も生じており、 このことは我々の学内各層への情宣が不足していることを示しています。この間、私たちは、教務職員問題対策委員会を中心に各支部の状況の把握を行い、次のような取り組みを行いました。
     教務職員全員への情宣に力を入れ、この問題での全国的な動きを伝えるとともに、総長に対する「要望書」への支持署名の取り組みを行いました。年末の短期間ではありましたが七割にあたる62名の教務職員が署名に応じてくれるなど、教務職員の間でこの問題に対する理解が深まってきたと感じています。
     また初めての試みとして、教務職員が多いにもかかわらず組合の組織がなく、これまで一方的にニュースを送っていた薬学部を訪ね、学部長と教務職員問題について懇談を行うことができ、この問題での理解を得ることができました。
     総長に対し、教務職員問題での要望書を提出しました。 またこの問題解決には、評議員及び各学部、研究所長、学科長の理解が重要と考え、状況の説明と総長への要望書を合わせて送付しました。

    1999年度運動方針と課題
    1. 東北大学として、評議会の認識を改めさせる取り組みを基本にして、当面、
      1. 概算要求に教務職員の上位級への定数振り替えを盛り込む具体的作業
      2. 予算定数のない部局について全学的な援助を行うための試案の作成
      3. 全学で空き定数を活用した場合のシミュレーション
      4. 行政職移行への可能性
      5. 各部局に認識を改めさせる取り組みをさらに強化することを含めて、具体的な作業を行う全学的なワーキンググループの設置を総長に要求することが重要です。
    2. 全大教教務職員問題単組代表者会議の運動提起を受けて教務職員問題対策委員会を開催し具体的な取り組みを決定します。


    六、待遇改善、諸要求の実現を組織拡大で勝ちとるために
    ―事務職員部会―

    1. 第九次定員削減に加えて、1998年6月に閣議決定された中央省庁等改革基本法案の大綱で「国立大学の事務組織の簡素化、合理化及び専門化を図る」(第43条第二項)こと、および「国の行政機関の職員の定員について10年間で少なくとも10分の1の削減を行う」(第47条第四項)ことが方向づけられました。東北大学では「事務組織の見直しに関する検討委員会」(1996年)が設置され、庶務、経理、施設、学務、図書、病院そして部局等の事務処理体制を全学的観点から見直し、事務処理の一層の合理化、体系的な整備、改善に努めてきていることになっています。ちなみに、1998年度には、副総長制導入と事務組織の再編(学務部、総務部等に改組)が行われました。しかし、実態は旧態以前のままで、事務組織体制の弱さ、矛盾が一層顕在化してきています。また、安易で、仕事の蓄積を考慮しないような人事異動が行なわれ、職場環境の悪化やストレス、病気で悩む人も増えています。こうしたなかで、大きな課題を背負った事務職員部会は、少ない部員ですが、隔月の会議を定例化し、情報、意見交換等を行ってきました。
    2. これまでの地道な運動の積み重ねの中で、主任発令、専門職ポスト要求も一定の前進が見られ、1999年4月、女性の掛長等の昇任人事が例年以上に実現しました。しかし、依然として組合差別、男女差別的人事も横行し、事務職員の勤労意欲が削がれるような前近代的な現実がいたるところに存在しています。「行政改革」の名のもとに、定員削減、合理化、OA化が一層推し進められる中で、私たちは大学のあるべき姿を模索しつつ、いきいきと働きやすい職場づくりをめざすとりくみが急務となっています。待遇改善はもちろん、人事異動、研修制度の充実等の要求運動を粘り強く推しすすめる必要があります。
    3. 教員部会や技術職員部会の協力も得ながら、組合員の英知を集めた自主研究会の企画や仕事の見直し等、具体的提案ができるよう、組合全体としても力をあわせる必要があります。さらに、職場の実態を踏まえた要求の組織化、具体化のためにも、組合員の拡大、強化が大きな課題です。

    1999年度運動方針と課題
    1. 1997年に続き、人事異動等を中心にしたアンケートにとりくみ、職場環境、事務職員の意識の変化、要求等を集約し、これからの運動の活力にします。
    2. 教員部会や技術職員部会と連携し、組合員の英知を集めた自主研究会等も企画し、組合としても仕事の見直し等の具体的提案ができるようめざします。
    3. 引き続き主任および専門職員の発令実態を調査(他大学・他省庁も含め)し、男女差別の是正、団塊世代の昇任等について、運動の発展をめざします。
    4. 昇給・昇格、人事異動、業務改善等について学習会等を実施し、理解を深め、具体的な要求運動に結びつけます。
    5. 昇給改善、超過勤務規制、定員確保と事務機構の改革、人事異動、業務の簡素化等に関する事務職員の要求が全組合員の共通理解にとなるよう、事務職員部会の活動を強化するとともに、事務職員の組織拡大にとりくみます。


    七、東北大学にふさわしい図書館組織の確立と図書館職員の待遇改善をめざして
    ─図書館職員の運動─

     電子図書館システムの研究開発を推進し、大学の図書館を電子図書館化することは、「科学技術基本計画」の中の重要な課題として位置付けられました。電子図書館はこれまでのサービスのあり方を根本的に変えるものです。
     これと相まって、定員削減、経費節減、さらには「独立行政法人化」の動きなど、利用者の要求実現に逆行するような新しい問題が山積し、大学図書館はいま、大きく変わらざるを得ない状況に直面しております。
     東北大学図書館でも、全学図書業務の集約化、一元化が検討されてきており、この4月より、実際に組織も改編され、定員の削減が始まっております。
     職員は殆ど3年毎に異動しています。全学的に同レベルのサービスを目指すために人事交流の必要性はあるとしても、各々の部局に属する利用者の図書館(室)に対する要求は決して同一ではないこと、各館の運営を計画的に行う必要があることから考え、職員が機械的に「3年」で異動することはマイナス面が多く、折からの定員削減の中で、異動に伴う引継時に費やされる労力は無駄ともいえます。
     また、図書館は、定員外職員が全体の46%を占めており、定員が3年で動く職場の中で、キャリアを積み、結果として、職場を支えております。しかし「電子化」の波の中で各種ワーキンググループメンバーには若手定員のみが起用され、定員外職員の意見が反映されにくくなっています。こうした、職員と定員外職員の間の矛盾に加えて、定員外職員間(40時間、30時間)でも待遇条件に違いがあるにもかかわらず仕事の内容は同じ質のものが要求されるという矛盾がでてきています。
     「電子化」が時代の流れであるとしても、現時点での利用者サービスがなおざりであってはなりません。学習環境の改善、蔵書の充実、あふれる資料の収蔵スペースの確保、相互利用体制の強化は急務です。

    1999年度運動方針と課題
      今後の活動としては、
    1. 電子図書館化のためのシステム開発にあたっては
      1. 図書館職員の創意と自発性を尊重すること
      2. 次期システムの開発に向け、分館、図書室を含め、現場の意見を反映させること、
      3. 十分な研修を実施して、図書館職員が誰でもシステムを使いこなせるようにすること
      4. 健康、安全管理に万全な配慮をすること
    2. 図書館職員の昇給・昇格、待遇改善の要求
    3. 人事異動においては、人事の適正な配置の要求
    4. 全学の図書館職員の交流会の実現
    などに取り組みます。


    八、行(二)職員の大幅削減・不補充反対、職務の確立と昇格改善を!

    1. 国の「行革」路線に基づく公務員の定員削減と、現業職員の退職後不補充政策の強行により、現業職場の国家公務員が激減し、ほとんどの現業職場で、清掃業者や警備会社などへの外部委託、パ-ト・派遣労働者等への依存が進んでいます。
       また、行二職員は、業務範囲が不明な中で業務が拡大され、長時間労働を余儀なくされ、休暇もとりにくくなっています。さらに、業務責任がはっきりしない状態で下請化がどんどん進められいろいろな矛盾が起きています。
    2. 外注化がすすむ病院給食部では、当初2003年に予定されていた全面外注化とそれに伴う調理師の配置転換を、定年退職によって9名に減少する2001年に繰り上げる可能性が出てきました。行(二)職員の処遇や労働条件などがマイナスにならないよう働きかけを続けていく必要があります。
    3. 今年度の組合員の技術系行(二)職員の行(一)への振替は、工学部と川渡で各1名が実現しました。しかし、東北大学には技術系行(二)職員がまだ十数名おり、高齢化も進む中、早急に行(一)への振替を実現するとりくみが重要となっています。
    4. 行(二)職員部会は、このような状況の中で月一回の会議を開く努力をしてきましたが、中心となって運動してきた職員がこの3月で定年退職を迎え、行(二)職員部会の継続は困難になり、部会を解散することにしました。
       今後の現業職員問題の運動は、本部執行部で対応していくことにしました。

    1999年度運動方針と課題
    1. 定員削減による職場の矛盾と労働実態を明らかにし、「部下数条項」の改善や、「付加業務」を正当に評価させ、昇格改善にとりくみます。
    2. 有朋寮・八木山寮に働く職員の労働条件改善にとりくみます。
    3. 病院給食部職員の労働条件改善に病院支部と連携してとりくみます。
    4. 技術系行(二)職員の行(一)への振替にとりくみます。


    九、国の医療切り捨て政策に反対し看護職員の増員をめざして
    ─医療部門の運動─

     1998年4月の診療報酬改定(長期入院の是正関係)に伴い、特定機能病院(高度医療を提供する)として指定されている大学病院に、平均在院日数を36日以内にするという至上命題が文部省から出されてきています。もし、このハードルをクリアーしなければ、(1)特定機能病院の取り下げ、(2)約1億8千万の予算の削減、(3)看護職員の定員削減というペナルティーが課せられることになっています。このため、職場では短期入院患者の受け入れが多く、患者さんが次々と入れ替わり多忙さが一段と増してきています。また、休薬期間中や転科待ちの患者さんを一時退院させることが推し進められており、一部、患者さんから不安や不信感が生じている所もあります。また、稼働率アップのために土曜、日曜の入院や手術も進められようとしています。
     さらに、最近、重大な医療事故が多発し新聞に報道されています。医療技術の進歩に伴い看護業務は複雑で量も増え、労働密度は上がる一方です。「いつも事故と隣り合わせで仕事をしている」という状況に置かれています。
     そんな中で、「国立大学病院看護婦の増員、労働条件改善を求める請願署名」の運動は盛り上がりをみせ、病院支部では外来患者さんへの署名活動を2回おこないました。全体で1,497筆の署名を集め、12月15日の国会請願に一名参加しました(全国43大学から46,000筆の署名)。その結果、「看護業務改善経費」「院長裁量経費」を看護職員確保に有効に活用することを文部省は各大学に指導しているということが明らかになりました。
     日本の看護職員数は米国の3分の1、欧州の2分の1という現状にあって、患者さんの安全を優先させるためにも看護職員増員の運動を進め、国民と広く共同して厚生省の医療費削減政策に反対していかなければなりません。

    1999年度運動方針と課題
    1. 看護職員の増員運動を引き続き行います。全大教病院協議会の資料をもとに、看護体制の実態を調査し自らの労働条件をよく知って交渉していきます。
    2. 国の低医療費政策に反対していくために、大学病院のあり方を職員の待遇改善と患者さんの立場の両方の観点から追求し、国民と連帯して取り組んでいきます。


    十、定員外職員・パート職員の待遇改善をめざして
    ─定員外職員部会─

     「行革」による教職員の定員削減は第九次(1997~2001・教員12名、看護婦5名、その他の職員151名。+事務職員17名)におよび、教職員は長時間労働や過密労働を余儀なくされています。このような状況のもとで、定員削減を補完するために定員外職員・パート職員(1998年10月7日現員1,139名・定員外職員211名、パート職員833名、研究機関研究員等95名)が採用され、東北大学の教育・研究・医療をささえる、なくてはならない職員となっており待遇改善は切実な要求となっています。
    1. パート職員へのボーナス支給問題については、人事院東北事務局交渉(11月6日)や総長交渉(8月25日付総長交渉報告参照)等で取り組みました。
    2. 全大教は、5月22日一年半ぶりに定員外職員の交流集会を開催しました(21大学32名参加、東北大1名参加)。
       この間、大学の法人化問題、事務の再編等で定員外職員の身分はどうなるのか、全国の定員外職員の動向や、各大学の労働条件の改善について情報交換と交流を深めました。
      1. 運動の前進面として、行(一)2~19に達する高位号俸者への枠外適用を勝ち取っている京大の取り組みが、他大学にも波及しはじめています。
      2. パート職員のボーナス支給問題で人事院各地方事務局交渉において「(各大学での)予算の範囲内であれば支給してならないとは(関係する法令及び給与局長通知からは)読み取れない」という回答を得ています。パート職員にボーナスを支給することは違反ではないことを各大学の共通認識として活かしていく取り組みが求められています。
      3. 今後の課題と運動の方向性から全大教に定員外専門部をつくってほしいという意見と要望が集中していました。
         東北大学においても職員の1/3が定員外職員・パート職員という職場状況を改善するためにも定員化の「政治的解決」が求められています。

    1999年度運動方針と課題
    1. 大学当局(総長)等に対して使用者責任を明確にさせ、定員外職員問題解決について学内での合意づくりを重視しつつ、取り組みを進めます。当面、1980年の頭打ち解消以前に採用された長期の定員外職員を定員化する措置を取らせるなどの「政治的解決」を当局に対しても強く働きかける必要があります。
    2. ILOでの検討や民間の動向をもとに、パート職員へのボーナス支給等の待遇改善や組織化に取り組むとともに定員外部会の活性化を図ります。
    3. 任用中断日には、全国と連帯した取り組みと組合独自の創意ある取り組みが求められます。これらの取り組みの中で要求を前進させる運動を強めます。


    十一、大学職員の職務を正当に評価させるために
    ─賃金対策部会の運動─

     賃金対策部では、宮城県国公共闘会議(略称・県国公)および全大教東北地区協議会の人事院東北事務局交渉や、人事院勧告の説明会に出席しました。また、人事課長会見への参加や、春闘期には『わたしの要求アンケート』の集約を行ないました。
    1. 1998年7月に行なわれた県国公の人事院東北事務局交渉では、賃金改善に関しては、生活と労働の実態に基づき国公労働者の賃金を15,200円(4.2%)引上げることや、昇給延伸・停止年齢の引き下げといった昇給制度の改悪は行なわないことなど、14項目の要求を行ないました。しかし、8月12日、人事院は国会と内閣に対して、一般職国家公務員の給与の引き上げを平均0.76%、2,785円にとどめることなどを内容とする勧告を行いました。その二日後に行なわれた説明会で人事院は、「給与の改定に関しては、民間企業の約7,600事業所について給与実態調査を実施し、約50万人について給与月額等を実地に調査した。そして、官民の較差は2,785円(0.76%)となる」と説明しました。
    2. 11月に行なわれた全大教東北地区協議会の人事院東北事務局長交渉では、他省庁と比較した文部省の昇格の遅れや人事院の大学に対する職務評価の低さ、更には団塊の世代対策や定員外・パート職員の待遇改善などについて要求しました。
       一方、東北大学で同じく11月に行なわれた人事課長会見では、「昇格問題に関して今年度は40強ぐらい昇格させた。要望はキッチリ出している。次年度は看護婦も含めトータルで280ぐらい要求している」との発言がありました。
       東北大学においては7月現在の行政職(一)の在員数は1,444で、そのうち六級以上が228名(15.8%)五級以下は1,216名(84.2%)ですが、前年同月との比較では在員数は1454で、そのうち六級以上が201名(13.9%)、五級以下は1,253名(86.1%)でした。なお、東北大学の技術職員の1998年度昇格配分は、技術専門官八級0名、七級1名、及び技術専門職員七級0名、六級11名、五級22名、技術室班長七級3名、六級4名であり、1998年5月調査時点での級別人数は、408名のうち六級以上が34名(8.3%)、五級以下は374名(91.7%)でした。
    3. 1999年3月に行なわれた県国公の人事院東北事務局交渉では、我々が今春闘に向けて取り組んだ76,000名を越す国公労働者からのアンケートに基づき、賃金改善については30,000円(比較賃金ベースで8.1%)引き上げることや、官民比較に用いる事業所の規模を1,000人以上とすることなどについて要求しました。東北大学においても、昨年10月から「わたしの要求アンケート」を実施し、87名から回答を得ました(回収率14.4%)。生活実態に関しては、「かなり苦しい・やや苦しい」が71%で、「まあまあだ」は23%でした。また、賃金引き上げ要求は2~3万円が42%、4~5万円が37%を占めていました。

    1999年度運動方針と課題

     他省庁と比較した文部省の昇格の遅れ、他大学と比較した東北大学の昇格実態を継続して調査すると共に、大学内の各部局毎の昇格実態調査を継続または新規に実施し現状を把握します。昇格には大学からの推薦が条件となるので、推薦者を確認することや発令状況について把握するよう更に努めます。


    十二、福利厚生の充実でうるおいある生活を
    ─福利厚生活動─

    1. 厚生部活動について
      労働金庫対策委員会、教職員共済専門員会を中心とした活動を行ってきました。
       例年実施してきた厚生部学習交流集会を今年度は12月4日(金)~5日(土)におなじみの白石湯沢温泉「やくせん」を会場に行いました。学習は、教職員共済大学支部の山川さんによる自動車共済を中心としたお話と、長町病院事務長の渡辺建寿さんによる介護保険の問題点についての講演でした。どちらも私たちにとって身近かな内容のお話で非常に有意義でした。この集会には退職者の会からの参加もあり、合計29名でした。
       また、1998年度に定年退職された組合員(21名)にたいして、本部組合から感謝状と七宝焼の記念品を贈りました。
    2. 労金対策委員会
       今年も九月の財形貯蓄募集期に労金から坦当者を招き、各支部からの参加のもと説明会を開きました(9月8日)。財形貯蓄はもとより、その他の利用により各種貸付けに於いて金利の割引が適用されるので、これからも大いに利用してほしいと要請されました。
       対策委員会としては組合員の要望にそえるよう随時受付をし、又手続きを迅速に行えるよう対処してきました。
       今期の借り入れ申請の中で特徴的であったのは、一般貸付一件70万円に対して、高金利の時に他銀行等から借り入れた住宅ローンの借り換え申請が7件1億1,335万円にものぼったことでした。
    3. 教職員共済専門委員会
       加入共済掛金の口座振替、教職員共済本部から加入者へのダイレクトメールなどにより専門委員、支部担当者の実務は軽減されてきました。しかし、このような中にあっても�新たな共済の発足、制度内容の改正などについて、専門委員として理解を深め、支部の中心的役割をはたせるようほぼ毎月委員会を行ってきました�このほか、各種共済募集期の取り組み、制度改正に対する提言、教職員共済大学支部の会議への対応などに取り組んできました。
       今年度の各種給付は106件、1,310万8千円でした。

       今年度の主な制度変更などは以下の通りです
      1. 自動車共済
         掛金引き上げを極力抑えることを目指し、1998年10月から制度改定されました。改定された点は、運転者の年齢、車の排気量による掛金体系の細分化したこと、無事故割引の限度を16等級までにしたこと、また新規加入および更新の時に車検証の写しを添付すること、純新規加入の際に7等級が適用されること等、です。
      2. 車両共済の新設
         他車との接触、災害などにより自らの車が損傷した時、その補修費用が支払われるもので、エコノミータイプ、オールリスクタイプの二種類となっています。自動車共済加入が前提で、加入時には自動車共済の無事故歴が適用されます。
      3. 大学支部運営委員会の設置
         公益法人の課税問題への対応のため、教職員共済本部から支部確立の方針が打ち出されました。これを受けて大学支部は、緊急改善策として、独立した事務所の開設、職員の専任化、支部体制の強化などを1998年10月1日付で具体化してきました。さらに、大学支部としてこれからの運営の改善、充実をはかっていくために、上記委員会が設置されました。委員会の開催は年一回程度で第1回は今年4月3日に開かれました。また、運営委員は各地区支部1名となっており、宮城地区支部としては教職員共済専門委員長がその任に当たることにしました。
    4. 退職者の会
       4月23日の定期総会で、これまでの会長代行から正式に、市川勉さんが会長に選ばれました。また、「最近の大学の動向」と題して、片山知史副執行委員長を講師に大学の諸改革をめぐる動きについてお話をしていただきました。
       東北大学職員組合結成50周年記念行事の一環として二つの企画にとりくみました。 (1)5月8日の退職者の会主催「渓流釣堀大会」は13名の参加で、家族の参加もあって楽しい一日でした。
      (2)6月12日の退職者の会婦人部主催講演会「いつまでも輝いて生きるために ─聞いておきたい脳の生理の話」(講師 刈田啓史郎氏)は、一般市民にも公開して約90名の参加で行われました。新聞等の報道を通じて興味をもって参加した市民も多く、時間が足りないくらい質問が続きました。感想文の中には「51周年もぜひやってほしい」と来年への期待を寄せるものもありました。また、マスコミからの参加もあって、取材を受け、次の日、ニュースファイルの欄(「河北新報」)に記事として掲載されました。
    一九九九年度運動方針と課題
    1. 教職員共済専門委員会、労金対策委員会を中心に組合員の福利厚生の充実に努めます。
    2. 退職者の会へは事務局に担当者を派遣し活動の支援を行っていきます。


    十三、親睦・交流を深め、豊かな文化・レクリエーション活動を
    ─文化部─

    1. より多くの組合員が参加したくなるような企画をと考えていましたが、文化部としては、体制がとれず十分な活動ができませんでした。今期は組合結成50周年の実行委員会のもと、退職者の会、婦人部、青年部等による文化・レクリェーション活動が活発に行われました。(各部の活動報告、50周年記念行事の章を参照)

      ・1月22日(金)旗びらき
      (片平市民センター)
       各支部等から71名参加し、談笑の中で決意を固めあい、婦人部による「アブラハム」の手遊び、青年部による「50円のネックレス争奪ジャンケンゲーム」などで盛り上がりました。新組合員も3名参加し満場の歓迎を受けました。「錦本店」の川嶋氏の協力でワインについてのお話ときき酒を行いました。

    2. 第70回メーデー宮城県集会は、5月1日(金)錦町公園にて、ゴールデンウィーク中の土曜日にもかかわらず、各支部の奮闘で、ほぼ例年並の68名の組合員・OBが参加しました(全体で2,500名)。横断幕(「学校教育法の一部改悪反対、国立大学の独立行政法人化反対」)を掲げて一番町などを元気よく行進し、行進・プラカードの部で入賞しました。その後、横断幕は農学部支部が雨宮キャンパスの掲示板に大きく掲示し組合の主張をアピールしました。

    1999年度運動方針と課題
    1. 組含員相互の親睦を深め交流をはかるため、各支部・婦人部・青年部等と協力しあいながら文化・レクリエーション活動に取り組みます。
    2. 全支部、専門部等の創意を発揮してひきつづき組合創立50周年記念行事にふさわしい様々な文化行事を企画・実施できるよう検討し取り組みます。


    十三、広い視野にたって楽しく元気に
    ─婦人の運動─

     労働基準法の「女子保護」規程が撤廃され、深夜、時間外、休日労働が全ての女性に、適用されるようになりました。さらに、「行政改革」「規制緩和」の名の下に、労働者の、賃金、権利のみならず、雇用の安定までもが脅かされるような厳しい情勢の中で、女性にとっては、働き続けることが、ますます困難になってきています。
     婦人部では、今年度も働きがいのある職場づくりを進めるために、広範囲な人々との連帯を強め、楽しく活動することを目標に取り組んできました。
    1. 世界谷地原生花園と駒の湯温泉小旅行
       恒例としていましたミニ旅行でしたが、今回は三年振りに実行しました。
       当初予定していました、九月一日が台風のため九月一七日に延期になりました。
       原生花園の散策、駒の湯温泉での昼食、入浴、帰りには、「栗駒焼」の釜場に寄ってという、婦人らしい欲張りミニ旅行を楽しみました。(24名参加)

    2. 第九回全大教東北地区女性集会
       1999年2月27日(土)~28日(日)、茂庭荘にて行われました。参加者は55名でした。
       今回は、宮城の担当ということで、宮教大職組との合同で実行委員会を作り取り組みました。
       2月27日の全体会の講演は「魯迅にとって日本留学はどんな意味をもっていたのか」。東北大学名誉教授で東北大学職員組合の委員長をつとめられた、阿部兼也先生に依頼。時宜を得たもので、楽しく好評でした。
       分散会は「私たちは今・・・働き続けるための環境づくり」をテーマに会場を二つに分けて話し合いが持たれました。どちらの会場でも「男女雇用機会均等法」にセクシャルハラスメント防止に関する雇用主の義務が規定されたこともあり、この問題と「事務一元化」の問題が中心に話し合われました。

    3. 組合結成50周年記念・八嶋博人ヴァイオリンリサイタル
       5月28日(金)、戦災復興記念館・記念ホールにて行われました。参加者は307名でした。
       例年開催していた春のミニコンサートを今年は組合結成50周年記念事業の一つとして位置づけ、実行委員会も輪を広げて、全力で取り組みました。
       幸い、多くの人のお力添えで、演奏者にも恵まれ、内容も素晴しく、参加者も目標を上回り、記念行事にふさわしい、ビッグなコンサートを実現することが出来ました。

    4. 県内の女性の連帯
       県国公女性協と県労連女性部には常任幹事をだしました。
       また、県内の婦人との連帯で、以下のとりくみに参加しました。
      ●宮城県国公女性協10周年記念行事
      11月11日(水)第二合庁
       講演「生活者の視点から行革・規制緩和を考える」
       講師 伍 淑子氏(国公労連女性協議長) 参加者8名
      ●宮城はたらく女性の集い
      一月三○日(土)シルバーセンター
       講演「働く女性達は今 輝いて生きるために」
       講師 坂本福子氏(弁護士)参加者5名
      ●国際婦人デー 第三九回宮城県集会
      三月八日(月) エルパーク仙台
       講演「ダイオキシン汚染から環境問題を考える」
       講師 角田和彦氏(坂病院医師) 参加者八名

    5. 母親大会実行委員会の取り組み
      (1)第44回日本母親大会は1998年8月1日~2日富山で開催され2名が参加しました。  第39回宮城県母親大会は1999年6月6日名取で開かれ7名が参加しました。
        (2)これらの財政を支えるためバザーやカンパ、職員組合定期大会でのコーヒー販売に取り組みました。
      (3)毎年行われる全国母親連絡会主催の12月8日の赤紙(召集令状)配布により戦争について考えてもらう行事は仙台では勧銀前で行われ1名が参加しました。
      (4)戦争法案である新ガイドライン法案反対の活動に参加しました。櫛田ふきさんの百歳のデモ行進と「沈黙は共犯、また戦争になってしまいます」の呼びかけに感動し宮城県母連武山会長ら12人の呼びかけにより3月3日「戦争はいやです。新ガイドライン法反対女性のデモ」が勾当台公園野外音楽堂で集会を開いた後行われ全体で150人余が参加しました。実行委員会から4名が参加しました。法案通過の緊迫した5月には、フォーラス前と東映前で署名活動チラシ配布等を行い4名が参加しました。
    一九九九年度運動方針と課題
    1. 婦人部独自の課題の前進のため、事務職員部会、定員外職員部会、母親大会実行委員会、県労連女性部、県国公女性協などと協力して、女性が働きやすい職場にするために運動を拡げていきます。
    2. 誰でもが参加したくなるような楽しい活動をします。
    3. 全大教東北地区協議会第10回婦人集会(担当岩手大)成功に向け取り組みます。
    4. 7月31日~8月1日に開催される第45回日本母親大会(愛媛)の成功に向け取り組みます。


    十五、楽しい交流・仲間づくりとインターネットを活用した情報交換とで活動基盤の充実をめざして
    ─青年部の運動─

    1. はじめに  大学教員の任期制の法制化、国立大学の独立法人化、新ガイドライン関連法案の成立など職場や身近な生活環境も大きく変わりつつあり、その影響は、とくに大学で働く我々青年にとって著しいものがあります。従来の組合活動で獲得してきた土台に立って、これから獲得し改善するべき事柄も少なくありません。青年部の存在目的のひとつには青年の社会的、経済的、文化的地位の向上を図ることがあります。近年の急速な社会環境の変化の中で一致団結しその存在目的の達成のための運動を進めていくことが求められています。私達青年部は、部局を越えた青年同士の交流を活動の基盤にし、青年教職員の仲間作りを今後とも積極的に行っていかなければなりません。

    2. 今期の青年部は、毎月一回の青年部会を開き青年組合員同士の交流を深めるべく様々な活動をしてきました。また、積極的なインターネット活用による情報交換を進めました。
      1. 2月20日には、組合50周年行事の一つとして、セントメリースキー場で恒例「青年部スキー」を実施しました。晴天に恵まれ優雅にスキーを楽しみました。(参加者7名)
      2. 4月17日と18日には、全大教青年部拡大常任委員会が仙台で開催され、同時に行われた東北ブロック青年懇談会に参加し、全国の青年との交流を深めました。(参加者4名)
      3. 5月14日には、新入組合員歓迎ボウリング大会を実施しました。50周年記念として五の倍数の順位となった方々にも賞品を出しました。ボウリングの後の懇親も充実しました。(参加者22名)
      4. 5月20日には、「"ダイオキシン"って何でしょうか?─みんなで環境問題について考えましょう─」というテーマで座談会形式の学習会を開きました。みやぎ・環境とくらし・ネットワーク(MELON)事務局の濱畑哲氏を講師に迎え、身近な環境問題について勉強し、日常生活の中でも環境を壊さないように努力することができることを学びました。(参加者14名)
      5. 5月27日から29日まで、山梨県石和町にて国公青年大交流集会エキサイトIVが開催され、1名参加しました。

    3. 機関誌の発行と情報交換
       青年部機関誌NOVA(ノバ)を隔月で発行し、東北大学で働く若手教職員すべてに親しみやすい内容を提供することに取り組みました。青年部役員の情報交換と青年教職員からの意見集約を目的に開設しているメーリングリストは、1998年度も活発に利用されました。

    4. 組織拡大活動
       今期は青年の加入が7名ありました。青年部は、4月14日に行われた行政職員の初任者研修において参加者51名に組合紹介パンフ資料を配付しました。機関誌NOVAは広く組合員外にも配布し、青年同士の交流を進め組織の拡大に努めました。
    一九九九年度運動方針と課題
    1. 楽しい交流の企画・宣伝を工夫し、青年が参加したくなるような仲間作りに積極的に取り組みます。
    2. 青年組合員の要求・実態の把握を行うためのアンケートの集約や、青年部機関誌NOVAの発行等の広報活動、そして情勢に応えた学習活動に、引き続き取り組みます。また、東北地区をはじめ他の組合青年部等との交流を進め幅の広い運動を行っていきます。
    3. 最近の大学等を取り巻く情勢変化に応じた情報収集を、できるだけ効率よく進め、これらの情報共有を推進します。また、他大学等からの新規採用者または転入者が比較的多い青年層の特色を生かし、広い視野での現状把握に努めます。
    4. 青年部員同士の情報交換の場としてインターネットを活用し、組合員のみならず青年教職員全体を視野に入れた情報・宣伝活動に取り組み、組織拡大活動を進めます。


    十六、平和と民主主義、地球環境を守る運動

    1. 昨年から政府により日米新ガイドライン関連法案が検討され、今年春になって国会に提出され、充分な論議もなく、また、市民の意見に耳を傾けることもなく、半ば強行的に採決されました。この法律は、実質的には「戦争協力法」であり、アメリカが自ら引き起こした戦争に日本が強制的に協力させられる法律です。「周辺事態」の「周辺」の定義もなされていないため、ユーゴへのNATO軍の空爆のように、アジアで引き起こされる戦争に自動的に巻き込まれていく危険性があります。
       私たちは、教官有志のよびかけに応え、平和と真理を希求する大学人としてこの法律に断固反対する立場を明確にするために、東北大のみならず宮城県の大学・高専に「宮城の大学人によるアピール」への賛同を募りました。
       このアピールには、九大学・高専の305名の賛同を得て、発表することができました。5月13日に記者会見を行なった結果、5月14日に河北新報に掲載されました。
       アピールは、自治体、民間企業が後方支援という名目で参加させられること、アジアの平和に深刻な打撃を与えること、さらに平和憲法を踏みにじるもので許されないということを強く主張しました。
       また、現在でも王城寺原の演習のために宮城県内の港湾や空港が利用されていることも指摘しました。
       全国の市民から同様の宣言や意見が寄せられ、多くの自治体もこの法律に反対の態度を示したにも拘わらず、国会で可決成立させられたことは大変残念です。私たちは、これからもこの法律の危険性を指摘し、発動を許さない運動を強めます。

    2. 1998年原水爆禁止世界大会には1名が参加し、核兵器を全面禁止し、核兵器廃絶を求める諸国民の共同を一層大きく進めることを確認しました。

    3. 政府は在日米軍の強化を目的として、昨年の11月に王城寺原で米海兵隊の実弾演習が強行されました。去年も一昨年に引き続き、155ミリ留弾砲の実弾演習を県民の大きな反対にもかかわらず実施し、411発が発射されました。この軍事演習に反対するために、「11・15王城寺原現地団結祭り」に3名で参加し、また、米軍の演習の監視行動にも3名が参加しました。

    4. 核兵器廃絶平和行進は6月20日から27日まで宮城県内を通り、組合も参加しました。

    5. 環境問題では、青年部の主催で学習会が行なわれ、14名の参加がありました。みやぎ環境とくらしネットワークの浜畑さんらを迎えて、ダイオキシン問題を中心に環境について話し合いました。 また、6月4~5日には窒素酸化物及び酸性雨の全国一斉測定運動(アースデー)に参加しました。
    1999年度運動方針と課題
    1. 憲法の範囲を完全に逸脱した日米新ガイドライン法が5月に可決成立させられました。今後も有事立法を含む関連法案の制定を阻止する闘いを続けて、我々市民が米軍の引き起こす戦争に荷担させられないように見守っていきます。
    2. 沖縄県民のたたかいを支援し、軍事基地撤去、地位協定の見直し、日米安保条約の廃棄とガイドライン関連法の廃止を目指します。米海兵隊の撤退を求め、日米共同演習等に反対します。王城寺原演習場への再度の米軍実弾演習を許さない取り組みを強化します。
    3. アジアの平和を揺るがす、日の丸・君が代の法制化に断固反対します。
    4. 国民の精神的な自由を制限し、国家権力による管理社会への道をひらく通信傍受法(盗聴法)に反対します。
    5. 核兵器全面禁止、廃絶のために、県原水協に結集して、「ヒロシマ・ナガサキからのアピール」署名の国民過半数達成を目指す運動を進めます。原水爆禁止世界大会、3・1ビキニデー、平和行進等の成功のために取り組みます。世界でのあらゆる形態の核実験に反対し、非核三原則の法制化、被爆者への国家補償等を要求していきます。
    6. 「軍事費を削ってくらしと福祉、教育の充実を求める大運動」を強化します。米軍への「思いやり予算」を削減し、消費税、社会保障制度改悪を強行する悪政を抜本的に改めさせ、国民、県民本位の政治を確立するために実行委員会に結集し、多くの県民や関係諸団体と協力して取り組みます。
    7. 組合員の思想、信条、政党支持の自由を保障します。各選挙にあたっては、争点を明らかにし組合員の政治自覚の向上を図ります。政党とは、一致する要求、課題での共同の運動を進めます。
    8. きれいな水、緑、空気を守る地球環境保全の運動を進めます。21世紀に向けて大学の英知が市民と連帯した環境運動に反映されるように努力します。
    9. 平和問題に関する日常的な取り組みを強化します。そのために各支部から平和問題対策委員を募ります。


    十七、広げよう労働戦線 地域共闘の取り組みを
    ─県内共闘組織のとりくみ─

    1. 宮城県労働組合総連合(略称・県労連)は、結成以来今年で満10年を迎えます。賃金引き上げ、労働条件の改善、首切り「合理化」反対、社会保障制度の改悪阻止等、労働者の要求とともに、県民・国民の要求を実現するために闘うローカルセンターとして、一層その役割と存在意義を内外に明らかにしながら活動してきています。
       政府・財界は一体となって、どんな経済状況の下でも大企業の大儲けが確保できるよう労働者を無権利状態におくために、労働基準法の抜本改悪に続き、労働者派遣法や職業安定法の改悪等を狙ってきています。
       県労連は、その策動に抗して、国民犠牲の「規制緩和」反対や首切り反対の取り組みをはじめ、賃金の大幅な引き上げ、地方労働委員会の民主化、医療健保改悪阻止、消費税廃止等の労働者・県民の要求実現や、戦争法・盗聴法案阻止など平和と民主主義を守る課題の、先頭に立って奮闘しています。
       また、「蓄積された大儲けを賃金引き上げ・下請け単価の引き上げにまわせ」などの要求を掲げて、東北電力や七十七銀行等、県内の大企業に対して、大もうけや横暴の実態を追及し、運動を一段と強化してきており、下請け・中小企業の経営者からも頼りにされてきています。
       一方、連合は、相変わらず春の段階での賃金引き上げ闘争を軽視し、鉄鋼労連等では、毎年の賃金引き上げの闘いを放棄、いくつかの大手企業では、隔年闘争や人件費の総額抑制を前提とした「年俸制」「退職金上乗せ」賃金体系の導入などを認めています。さらに今日の不況を口実としたリストラ・「合理化」に積極的に協力し、下請け・中小企業はもとより本社従業員の出向・首切りも相次ぎ、今日の深刻な失業を作り出す一つの要因となっています。
       しかし、労働法制の改悪については、職場の強い批判や反対の声の高まりの中で、国会への座り込み行動を行うなどの変化もありました。

    2. 宮城県国家公務員労働組合共闘会議(略称県国公)は、「国民本位の行財政の確立」を基本に、国民犠牲の「省庁再編法案」反対の闘いや公務員の待遇改善要求、組合差別反対等の課題で、人事院東北事務局に対する交渉等を繰り広げてきています。また、国公、高教組、宮教組、宮城一般、医労連の五団体で、「最低賃金」「標準生計費」による生活体験を行いました。全体で、37名が挑戦しました。

    3. 1999年宮城県春闘共闘会議は、県労連傘下の組合と高教組・宮教組・農協連労組等の組合によって結成され、労働者の諸要求の実現を目指し闘いをすすめています。10月に結成されてからただちに大型店の元旦初売り問題、1999年春闘要求大規模アンケート活動などに取り組みました。また、2月28日春闘総決起集会を行い、各組合が情勢を寸劇で表現するなどして決意を明らかにし、その後デモ行進を行いました。
       全国の闘いに結集して、2月7日の東京での大集会、ストライキを含む統一行動、第70回メーデー等を成功させてきました。
       また、毎月一日を国鉄闘争統一行動とする活動(1990年4月から継続)に取り組み、運動の推進に大きな役割を果たしています。
       今年の賃金引き上げ闘争は、今日の深刻な政策的不況の中、厳しい闘いを余儀なくされ、定期昇給のみという回答も少なからずありましたが、超低額回答を跳ね返す粘り強い闘いを続けています。 全国的に大量の首切り「合理化」が強行され、4月の完全失業率4.8%(342万人)という戦後最悪の失業増・就職難の中、雇用を守るために、解雇を規制する立法、労働時間を短縮する立法を求める闘いも展開しています。

       
    4. 「宮城革新統一をすすめる会」は、自自公連合の悪政に代わる、国民本位の政治への革新を求めて運動を広げるために、地域・職場から政治革新を進める「革新懇」づくりを積極的に進めています。また、二ヶ月に一回の学習会や、毎月最終日曜日の「核兵器廃絶を求める市民行進」(6月で208回)を粘り強く続けています。とくに、改憲策動が強まる中、安保廃棄・核兵器廃絶・革新統一の実現を目指すとともに、平和憲法を擁護して取り組んでいます。

    5. 安保破棄諸要求貫徹宮城県実行委員会と「軍事費を削ってくらしと福祉・教育の充実を求める国民大運動」宮城県実行委員会は、宮城県に対して、県民生活を守る上で重要な教育・医療・福祉に関わる様々な要求を実現するために、共同で要求行動を行っています。6月10日に各課交渉、7月8日には浅野知事交渉を行いました。また、「安保条約廃棄」「軍事費削減」「戦争法発動阻止」「有事立法阻止」を前面に掲げ、日常的に米軍基地拡散・演習移転に反対する運動に取り組んでいます。

    6. 宮城地域自治研究所は、住民生活本位のあるべき地域行政の姿について日常的に検証し、情報公開や自然環境保護、町・村起こし、合併問題などについて研究実践活動を行っています。
       とくに県庁のカラ出張・食糧費問題に見られるように「仙台市民オンブズマン」の事務局の中心となり、県政・市政の問題点を浮き彫りにするとともに、積極的に問題提起しています。さらに、住民運動に対する適切な助言を行なう等、その活動が広がり期待が高まっています。

    7. 宮城憲法会議は、戦争法・有事立法・盗聴法の阻止を掲げており、毎年、平和憲法を市民の中に定着させ、生活の中で憲法を考えるということを基本に、「市民の憲法行事」を行なってきています。また、毎年五月三日の憲法記念日には、原点に立って憲法を考えることを主題として講演会を行っています。その講演会を皮切りに、平和憲法の尊さを市民の中に広げるために奮闘しています。
    1999年度運動方針と課題

    労働者・国民の権利と生活を擁護するたたかい
    1. 労働者派遣法や職業安定法の改悪法案は、労働基本権が剥奪され、無権利状態におかれる不安定雇用労働者を膨大に生み出すものであり、阻止のために全力をあげてとりくみます。
    2. 安保条約や金融機関・ゼネコンを最優先し、汚職腐敗が横行する国民不在の政治を転換させ、労働者・国民の生活と権利、平和を守るために、諸団体との連帯で憲法を守り国民が主人公となる政治の実現を目指して運動を強めます。
    3. 「国鉄・JR」から二回の首切りを受けた1,047名の労働者の闘いは、11年目を迎えています。「分割民営化」の大義名分とされた長期債務の解消は、逆に28兆円とふくれあがり、国民の税金で消却しようとしています。国鉄労働者を二回にわたって解雇したJRと政府の責任を明確にし、「不当労働行為を止めさせ、1,047名の労働者を即時職場に復帰させるよう、統一行動に引き続き取り組みます。
    4. 労働者委員全員が「連合」推薦者で占められているという極めて不公平な労働行政を改めさせるために、西暦2000年4月の第33期宮城地方労働委員会の労働者委員の公平公正な任命をめざして、浅野知事に対する要請行動に積極的に参加します。また、労働者救済機関が一刻も早く正常な運営を取り戻すことができるよう、運動を支えていくために必要な財政の支出・カンパ活動などに取り組みます。 
    5. 年内に予想される衆議院総選挙は、私たちの生活に直結するものであり、要求実現に大きな影響を与えます。今日の政治・経済等について職場での学習を深め、組合員の政治的な関心と自覚が強まるようにします。


    十八、活発な支部活動をすすめ、見える組合活動をめざし、通年的組織強化拡大を

    1. 組合員拡大運動
       今期は、新組合員12名の加入がありましたが、退職者が多かったため40名の退会があり、組合員数はかなり減少しました。組合員拡大の取り組みとして、12月を組合員拡大強化月間として、1998年度採用者、転入者の173名に直接パンフレットを送付しました。その結果3名の加入を得ることができました。また、例年通り、4月1日に病院支部、4月14日に本部片平において組合員拡大活動を行った他、支部に新規採用者、転入者への「声かけ」を訴えました。
       今後毎年、組合員が数十名ずつ退職します。1997年11月に出された組織財政問題検討委員会答申に、組合員数減少が続けば、2005年以降の活動および財政は厳しいことが書かれているように、組合員拡大は是非とも必要です。しかし、支部レベルでの組合員拡大活動は不十分であると言わざるを得ません。1999年度も、新規採用者、転入者に対する本部からのパンフレット全員配布を実施し、それに加えて各支部内の「声かけ」を必ず行う必要があります。そして、加入後も新入組合員との「対話」を忘れずに行いましょう。

    2. 支部代表者会議
       毎月一回(うち執行委員会との合同会議二回)開催し、組合全体の取り組みに対する討議と情報交換を行いました。とくに、複数の研究所における独立行政法人化に関する動きが紹介され、東北大学においても独立行政法人化への動きが急であることが判明しました。また支部の活動として、文系、北川内支部合同の「二の丸教研集会」などの充実した活動が注目されました。しかし、各支部からの提起が少なく、それに基づく行動が満足に出来なかったことが残念でした。各支部で組合員の要求を集約し、支部代表者会議で提起し具体化していくことを再確認しましょう。また、本部執行委員会が企画する対話集会や学習会を支部のキャンパス内で行うといった、本部と支部との連携を強化する工夫も必要であると思われます。

    3. 教宣活動
       今期はホームページを充実し機能化させました。組合ニュース、執行委員会の声明、教文部ニュースを載せて、組合の活動を広く、速く知ることができるようになりました。また、教務職員問題の過去の資料などを掲載しており、全国的にも高い評価を得ています。
       今後、情報量が多くなるものと予想され、サーバーをどうするのかを検討する必要がありますが、様々な情報、資料を迅速に掲載することによって、支部や専門部の活動をバックアップすることが期待されます。
       メーリングリスト"AOBA"は、まだ組合の教宣方法とは位置づけられてはいませんが、意見交換の場として利用されています。"AOBA"に広く加わってもらい発展させるとともに、組合の情宣専用メーリングリストを開設する方向での検討も必要です。
       「東北大学職組ニュース」は計8号発行され、執行部の動きや企画などを迅速に伝えることができました。また支部や専門部の活動も広く紹介されました。
       「CORE」は計画どおり、4回発行され好評を得ています。若い編集委員も加わり、より充実した紙面が作成されました。
       その他、立看板も継続的に立てられ、組合の活動が広く訴えられました。片平のみならず、各キャンパスに立てられることが期待されます。
    1999年度運動方針と課題

     組織拡大と組合員に対する迅速な情報提供、支部と本部の連携、運動の発展ために、
    1. 新規採用者、転入者に対するパンフレット全員配布と各支部内の「声かけ」を必ず行います。
    2. ホームページを充実させ、迅速かつ広範な情報提供を行います。
    3. 支部代表者会議では、各支部からの行動提起を重視します。加えて、独立行政法人化に対する組合一丸となった運動を行うために、意思統一と運動の確認を行います。
    4. 支部と本部との連携を図る工夫を行います。
    5. 執行部と組合員を結ぶ教宣手段であるホームページ、「東北大学職組ニュース」、「CORE」、メーリングリストの各々の役割を整理し、迅速かつ広い情報提供を行いつつ、省力化、経費節減を目指します。


    十九、東北大学職員組合結成50周年記念行事の取り組みの経過と今後の取り組みについて

    1. これまでの経過
       東北大学職員組合結成50周年記念行事は、1998年定期大会の決定を受けて、実行委員会が結成され執行委員会と共にその実行にあたってきました。大会で決定された目的は、以下の通りです。
      『1、東北大学職員組合結成五○周年記念行事の目的
       1996年度定期大会決定及び第一回中央委員会決定の趣旨より、結成50周年記念行事の主な目的を以下の三点に集約しました。
       第一に、東北大学職員組合が幾多の闘いや試練を経て今日の到達を築いていることを明らかにすること。
       第二に、戦後50周年、日本国憲法制定50周年に続く、組織自身の大きな節目である結成50周年をさまざまな企画で祝賀しつつ迎えること。
       第三に、激動する情勢のもとで運動の発展方向を明らかにするとともに、運動の原点に立脚した活動を創造的に強化し、それらを通じて、東北大学職員組合の組織強化拡大運動を推進すること。』(1998年度大会(1998年7月24日)決定)
       この目的実施のために実行委員会が六回開催されました。この間具体化されすでに実施された行事は次の通りです。
      1. 青年部主催スキー大会
         2月20日
         7名
      2. 退職者の会主催渓流釣堀大会
         5月8日
          13名
      3. 青年部主催ボウリング大会
         5月14日
         22名
      4. 青年部主催環境問題学習会
         5月20日
         14名
      5. 実行委員会(婦人部等)主催「ヴァイオリンリサイタル」
         5月28日
         307名
      6. 退職者の会婦人部主催講演会「いつまでも輝いて生きるために」
         6月12日
         86名
    2. これからの取り組み
      1. 「東北大学職員組合五○年史」の編さんについては、編さん委員会で討議を重ねてきました(委員会9回。他に通読会一回)。1975年から1998年までの主な取り組み(略年表)と課題ごとの整理を行い、さらに当時の国内外の情勢等の整理をすすめ原稿執筆作業に入っています。
      2. 「写真で綴る東北大学職員組合の歴史」の作成がすすめられており、さらに写真や資料の提供につき組合員の協力が必要です。
      3. 「文化的諸行事」  50周年記念日前後の一年間は、教職員・組合員の親睦・交流を図るために、また、まだ組合に加入していない教職員への働きかけを奨励するために、囲碁、組合員による作品の展示会、「平和の旅・韓国旅行」企画など、組合員の発想や要望を随時取り入れて、記念行事の一環として位置づけて開催したいと考えます。
      4. 「東北大学職員組合結成50周年記念講演」と「結成50周年記念レセプション」は、11月6日(土)午後、国際センターと松下会館にて行いたいと考えています。
    3. 予算について

       「50周年事業特別会計」を新たに置き、1998年度予算として、「東北大学づくり基金」より50万円を支出しました。  さらに、今年度についても一般会計から50万円を充当し、また、広く未組合員にもカンパをよびかけるとともに、評議員・組合員OBにも寄付をお願いします。同時に組合員については、一人500円のカンパをよびかけることとします。
       具体的な個別予算については、企画ごとの独立採算を基本としつつ、次のような最低限の支援財政を予定しています。

      <支出の部>
      企画 支援財政
      退職者の会「渓流釣堀」 済  9,959円
      青年部ボウリング 済  9,846円
      青年部環境問題学習会 済 10,000円
      婦人部ビッグコンサート 独自財政
      退職者の会婦人部講演会 済 10,000円
      韓国 平和の旅 独自財政
      10月29日誕生会 独自財政
      囲碁・将棋大会 (30,000円)
      レセプション (200,000円)
      記念講演 (300,000円)
      東北大学職員組合五〇年史 (1,000,000円)
      写真で綴る東北大学の歴史 (200,000円)
      予備費 (200,000円)


      <収入の部>

      募金 950,000円
        組合員(約500人)   250,000円
        OB(約150人)   100,000円
        評議員(61人)   400,000円
        歴代役員(約50人)   200,000円
      広告(5,000円×50口) 250,000円
      組合本部会計から支援 1,000,000円

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