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国立大学法人東北大学に働く教職員の皆さんへ

―国立大学の法人化にあたって―

東北大学は、2004年4月1日をもって、国立大学から国立大学法人東北大学として再出発しました。

昨年7月9日に国立大学法人法案が採決強行により成立したとき、私たちは次のように決意を述べました。「この法律により研究教育の充実発展に大きな制度的制約が生まれ、前途には多大な困難が待ち受けています。しかし私たちは、いかなる困難があろうとも、人類と社会の進歩に貢献する大学を構築するために、学問の自由と大学の自治・自律的機能を発展させる取り組みをねばり強く進める決意です。また非公務員化にあたっての不利益変更をゆるさず、全教職員の承継、労働条件の維持・向上を求めて取り組みます」と。

それから8ヶ月、法人化への移行の準備の過程で、私たちは「国立大学法人東北大学のあり方に関する職員組合の基本要求」「法人化にあたっての重点要求」「就業規則案(組合試案)」などの諸政策を提示し、すべての教職員の雇用の承継、労働条件の維持・向上を掲げて、総長・副総長交渉を重ねてきました。雇用の承継も自動的になされたわけではないのです。当事者である非常勤職員の方々の運動と、組合の粘り強い交渉のなかで、非常勤職員を含む教職員の雇用承継を確認することができました(定員外職員部会ニュース2月9日号パート職員への手紙)。また、法人化の準備を急ぎながらも、医学部・大学病院の「名義貸し問題」や「寄付金問題」についても、東北大学の自治をめぐる問題ととらえ、この観点から独自の調査をもとに問題の所在を指摘する声明を出してきました(10月11日付け声明12月29日付け声明1月19日緊急要請2月2日調査報告)。自治的な解決を求める私たちの主張は、新聞やテレビなどでも報道され、多くの教職員や宮城県民の共感をえてきました。

私たち東北大学職員組合が掲げた「基本要求」は、多くの教職員の要求として広い支持をえてきました。この結果、過半数代表者の選出でも多くの事業場で組合員が過半数代表者として信任をえて選出されました。労使協定の締結にあたっても、私たち組合は「労使協定のモデルとチェックポイント」を出して過半数代表者をサポートするとともに、代表者となった組合員も積極的に発言をするなかで、「法人化推進本部第二部会」での検討を経て当初の就業規則の提案であった昼休み45分を撤回させ、「昼休みの実質1時間」を確保することができました。

法人化への移行過程では不利益変更をさせず、全教職員の承継と労働条件の維持をはかる大きな成果を収めることができました。しかし、私たちの労働条件を維持・向上させる本当の運動はこれからと言えるでしょう。国立大学法人のもとでは、賃金の決定を含めて労働条件の多くが大学当局と私たち組合との交渉にゆだねられることになります。運営費交付金や大学をめぐる状況からすれば、今後、大学がこれまでの労働条件の水準を切り下げる方向で諸制度の見直しを提案してくる恐れが十分にあります。使用者と私たち教職員は基本的には対等ですが、一人ひとりが個別に労働契約を結ぶことになります。これからの労働条件は、政策能力や交渉力など組合の組織的な力量にかかってきます。

私たち東北大学職員組合は、引きつづき「人類と社会の進歩に貢献する大学を構築するために、学問の自由と大学の自治・自律的機能を発展させる取り組みをねばり強く進める決意」を表明します。何でも反対というのではなく、迅速、かつ正確な情報をもとに働く教職員の立場から諸政策や要求を積極的に提示し、大学にとっても、一人ひとりの教職員にとっても頼れるパートナーになりたいと願っています。法人化にあたって、一人でも多くの教職員が組合に加入されることを心から呼びかけます。

2004年4月7日

国立大学法人東北大学職員組合中央委員会


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