東北大学が国立大学より国立大学法人となって、1年が経過しました。いま、学内には、効率化、経営、競争、トップダウンなどという言葉が飛び交い、教職員は多忙化と長時間労働を強いられています。国内的には、大企業がリストラ効果で大もうけする一方、国民の生活はますます厳しくなっているにもかかわらず、年金制度改悪、消費税率アップの目論みなど弱いものいじめがまかり通り、107名の死者を出したJR西日本福知山線の脱線事故に象徴されるようなもうけ主義と安全の軽視によって、国民の命と健康が危険にさらされています。また、憲法、教育基本法を改悪して、日本を戦争のできる国にしようとする非常に危険な策動が強められています。
さらに世界に目を向けると、小泉首相の靖国神社参拝をめぐって、中国・韓国などから強い反発が出ており、かつてわが国が始めた侵略戦争への無反省が非難されています。また、大義なく始められたイラク戦争の泥沼化と自衛隊派兵の継続、その中ですでに4名の日本人が殺された事実は、世界の平和に重い影を落としています。それにもかかわらず、核兵器不拡散条約についての再検討会議が、アメリカの非協力的態度により効果的な結果を持ち得ないまま閉会したことは、唯一の被爆国である日本にとって、たいへん残念な結果といえましょう。
しかしながら、学内における民主的な大学づくりをめざす運動、国内における平和を求める運動、働く者が本当の豊かさを実感できるような社会の実現をめざす活動、イラク戦争の終結を求め、また核兵器廃絶を希求する全世界の動きも、大きなうねりとなっています。
このような情勢の中で開催される国立大学法人東北大学職員組合2005年度定期大会は、組合のこの1年間の活動を総括するとともに、新執行部のもとでの今後1年間の活動方針を決定する重要な課題をもっています。
本年度の執行部が最初に取り組んだ問題は、組合活動及び団体交渉に関する労働協約締結問題でした。前年度の団体交渉で協約内容については妥結していたにもかかわらず、法人側が本部書記局の光熱水道費等の支払いを突如条件としたため、締結が遅れていました。ここには、労働組合法下の団体交渉に対する法人側の無理解が鮮明に出ていました。しかし、組合としては、このような法人側の態度に強く抗議してその是正を求める一方、経営者側からの利益供与を最小限にして組合の自律性を確保する観点から、本部書記局の光熱水道費等を支払うこととし、2つの労働協約を締結しました。
この一連の経過の中で、団体交渉に臨む法人側理事の権限が不明確という事態もありました。これは、東北大学が法人になったことを法人側それ自体がまだ十分に理解していないことを示しています。健全な労使関係を築くために法人側にしっかり勉強することを求めるとともに、組合としても民間企業の組合からも学んで、労働者のもつ法的諸権利を存分に活用した組合活動を築き上げていく必要があります。
第2の課題は、昨年夏に出された人事院勧告において、寒冷地手当の削減・廃止が打ち出されたことに関わって、東北大学法人がこの勧告に準拠しないことを求める運動でした。この問題では、全学の過半数代表者とも協力しつつ運動を展開しましたが、残念ながら最終的には人勧準拠を許してしまいました。
法人でありながら運営費交付金が国家から出ているという条件の下で、今後とも人事院勧告が教職員の労働条件に大きな影響をもたらすことは間違いありません。とくに今年度の人事院勧告で目論まれている「給与引下げ・地域間格差拡大(地域間官民較差を根拠とする基本給引下げ・地域手当新設)」を視野に入れると、人事院勧告にどう対応するかも組合にとってたいへん重要な課題であり、工夫をこらす必要があります。
第3に、総長選考規程問題があります。総長選考会議は、昨年末に教職員の意向投票を一切行わず、選考会議という密室で総長を選ぶという、途方もなく非民主的な選考規程を決定し、それを評議会などの審議も不必要として、単に報告しただけでした。この選考会議の姿勢には学内のいくつかの部局などから大きな疑問と批判の声が上げられ、組合も抗議声明を出しました。
たしかに、これまで総長が有権者数の多い部局のたらい回しで選出されていた事実があります。しかし、法人化によって権限が強化された総長の選出が、教職員の意向をまったく無視した形で行われることは許されません。組合は、この運動の過程でネット署名を行う設備を立ち上げ、選考規程の撤回を求める署名活動も展開しました。効率を求めてトップダウンが横行しないよう、民主的な大学運営を追求する必要があります。
労働組合の運動にとって、組合員数を多くすることは必須の課題です。昨年度の定期大会では組合員50名純増を目標に掲げ、この目標を達成することを前提とした予算を組みました。しかし、残念ながらこの組合員の拡大は実現せず、そのため補正予算も必要となりました。
教職員の労働条件を改善し、働きやすい職場を実現するために、組合員を拡大して私たちの要求を勝ち取るだけの力量を築き上げる必要があります。労働条件が良かれ悪しかれ法律によって固定されていた国家公務員時代と異なり、法人制度の下では、私たち一人ひとりが学び、交渉しなければ、自分自身と家族の暮らしを守っていけないこと、そのためには私たちがばらばらではなく組合に結集するのがもっとも近道であることを、教職員すべてに語りかけていかなければなりません。
同時に、組合加入への妨害が当局あるいは上司によってなされる可能性のあることも注意すべきです。本年度の執行部が発足してまもなく、新組合員に対して管理職が組合加入を非難するという事態が発生し、これに対して執行部は、このような行為は不当労働行為に当たるとして、直ちに法人側に抗議するとともにその是正を求めるなど、必要な措置を取ることによって組合員の権利を守りました。
法人化後の大学には、それ以前にも増して職員組合の出番を必要とする問題が噴出しています。これまでの活動を惰性的に継続するのでなく、質量ともに飛躍的に高めた活動が要請されます。
しかし、私たちの職場の多忙化は、組合員が組合活動に参加することを次第に困難にしつつあります。とくに、本部・支部とも役員のなり手を確保するのにたいへんな苦労を強いられているのが現状です。
このような事態を前向きに切り開いていくために必要なのは、まずは何といっても組合員を増やして活動を分担していくことです。同時に、できるだけ活動スタイルを点検して、組合員が楽しく効率的に活動できる工夫をこらしていこうではありませんか。
(1)組合の基本的な目的は、
(2)世界と地域の未来をつくる大学、いかなる権力からも自由で創造的な大学をめざします。大学の自治を維持・発展させ、学問の自由、学内民主主義、自律性原理を基本に、真の大学改革を進めていきます。
(3)教職員の生活と労働条件、職場環境をより良くしていくために、労働三権を存分に行使していきます。
(4)全大教に結集して、政府や「社団法人国立大学協会」との交渉、全国の大学に共通する課題に取り組みます。
(5)情勢を正しく把握し、地球環境、平和・民主主義、文化の各課題について、広範な市民、団体とともに運動を進めます。
(1)基本要求と政策策定活動に基づいて、団体交渉等を通じてそれらを実現する、存在感のある組合をつくります。
(2)支部活動の活性化、計画的な組織拡大を進めます。
(3)組合に加入していないすべての教職員を視野に入れ、組合の方針、実績、重要性をわかりやすく広報します。組合員は組合の顧問弁護士事務所で無料の法律相談ができることなど、組合加入の利点を訴えていきます。また、多様なメディアを適切に活用し、加入しやすい組合づくりを進めます。
(4)次代の組合の担い手の育成に努めます。若い世代の多い事務職員、看護師、助手層へのアプローチの仕方を工夫します。
(5)准職員、時間雇用職員の労働条件改善を進め、正職員との格差是正に努めます。
(6)組合員拡大を大きく前進させる中で、財政の健全化をはかります。組合費負担を少なくするための工夫を引き続き検討します。
(7)過半数代表者の民主的な選出と適切なサポート活動を通じて、就業規則・労使協定をより良いものにしていきます。またその活動を通じて、組合の団体交渉の重要性を教職員に伝えていきます。
(8)教職員共済生協大学支部宮城地区支部と協力して、教職員の教職員共済生協への加入を促進します。
(9)他大学への出向や転出に際しては、全大教全体として組合員減とならないように単組間での連絡を密にします。
(10)憲法・教育基本法の改悪に反対し、戦争のない平和な日本と世界の実現に向けて努力します。
国立大学の法人化から1年余が経過しました。法人化のメリットとして感じられるのは、研究旅費枠の緩和、私費による海外渡航の際の届け出の廃止程度であり、法人化前になされていた、大学の自主性が増し、予算面等々で自由度が増すという宣伝がまったくの幻想であったことが誰の目にも明らかとなっています。
たとえば予算については、中央枠が増え、部局の予算が減り、結局は研究費にしわ寄せがきています。また、人事が予算に左右されるようになり、必要な人材を充当できないという状況が生まれています。今後、運営費交付金が年1%ずつカットされていけば、より深刻な事態に陥ることが予想されます。
大学の管理・運営方法においても独裁的なトップダウンが顕著になっています。その最悪の例が昨年12月に総長選考会議から提出された「国立大学法人東北大学における総長候補者の選考及び総長解任の申出に関する規程(案)」です(第3章にて詳述)。国立大学法人法で設置が義務づけられ、「学則(国立大学法人の経営に関する部分を除く。)その他の教育研究に係る重要な規則の制定又は改廃に関する事項」を「審議する」機関として位置付けられている教育研究評議会は2ヶ月に一度程度しか開催されず、すでに半ば形骸化しています。また一部の部局においては、教授会内に少人数の代議員会を作って重要事項はすべてそこで審議され、教授のみからなる教授会さえ単に上部の意思を聞かされ、追認させられる形式的な会議にすぎなくなるという「寡頭制化」とでも呼ぶべき非民主化が行われましたし、さらに、2004年度に大学教育研究センターを中心にいくつかの部局を改変して発足した高等教育開発推進センターでは、専任の教授ですらその一部しか運営専門委員会(現在、外部委員を含めた全体でわずか10名)のメンバーになれず、さらに、同センター長は「総長が選考する」とされているために、残りの教授のほか助教授以下の教員全員が自らの部局において意志決定に直接の関与ができないという極めて非民主的な制度が定められてしまいました。このように、法人化前には当然だった「教授会自治」は、もはやその概念自体が崩壊過程にあると言っても過言ではありません。上記の「国立大学法人東北大学における総長候補者の選考及び総長解任の申出に関する規程(案)」は、法人化直前から始まったこの非民主化によって制度的に、あるいは実質的に大学の意志決定に関与することができなくなった一部教員から総長選挙における投票権という大学自治へ参与する最後の権利までをも完全に剥奪するものであり、他の全部局においても教育研究評議員を除く全教員からもこの権利を奪うことにより、独裁的な大学運営の貫徹をさらに容易にするものであると言うことができます。
また、10月に起こった寒冷地手当の削減・廃止問題を通じて、東北大学に運営上の自主性がないことが露呈しました。この問題の発端は、公務員制度改悪の一環としての、同手当の削減・廃止を盛り込んだ人事院勧告にあります。これ自体、不当なものですが、公務員ではなくなった国立大学法人職員に対して、人勧がそのまま適用されるいわれはありません。それにもかかわらず法人当局は、自主的な経営判断もせず、説明も不十分なままに、手当の削減・廃止を強行したのです。
加えて法人当局は、正式な就業規則改正案を示さないままに全学労使懇談会を開催する、過半数代表者による意見書の提出締切を就業規則改正案の正式な提示からわずか1週間後に設定し、後日延期する、早々に原案の修正を行う、等々手続き的に大きな失態を演じました。また組合や過半数代表者が、大学としての給与政策の方針が示された上でないと生産的な議論ができないことを再三、指摘したにもかかわらず、結局それを示し得ませんでした。関連して、給与改定、労働条件の変更が、中期目標・中期計画や年度のサイクルの中でどう位置づけられるかについても明らかにしていません。
このような中、教職員の仕事量は、確実に増えています。特に職員のサービス残業問題は深刻です。全国的には、広島大学・滋賀医科大学等約20大学に、労基署の査察が入っています。この問題について、大学側は、昨年4月、アクションプランを示すと言っておきながら、いまだに作成していません。一方、法人当局が、職員の大幅削減を企図しているという情報もあります。もしそれが本当なら、東北大学を自滅に追いやるものといわねばなりません。
教員の問題としては、留学生センターの国際交流センターへの改組に伴い、現任の教員をその意に反して配置換えし、職務内容も変えさせるということが起こりました。組合はこの件で、要望書を提出しましたが(12月14日付)、いまだ問題の解決を見ていません。また現在、国会では学校教育法一部改正案の審議が行われています。改正の内容は、大学の教育職を、教授、助教授、講師、助手という構成から、教授、准教授、講師、助教、助手という構成へ変更し、新たに各職の資格要件および職務を規定するというものです。特に現助手層にとっては大きな問題であり、議論の行方を注視し、機敏に対応する必要があります。また、「助教授」および「助手」という職位の廃止に乗じて、法人当局が任期制の恣意的な適用や、無制限の拡大に乗り出すことが非常に危惧されますが、こうしたことが絶対に行われないように組合は当局の動きを監視し、絶対に阻止しなければなりません。
法人化の影響は学生に対しても出はじめています。学費値上げは、法人化前から懸念されていたことでしたが、早くも2005年度の政府予算案で、国立大学の授業料設定の基準となる学部および大学院の授業料標準額を現行の52万800円から53万5800円へ1万5000円引き上げることが提示されました。さらに驚くべきことに、授業料値上げを前提として国から各国立大学に交付される運営費交付金がその分減額されることが盛り込まれたのです。これに対して国立大学協会は、「第一期中期計画期間中(2004年度〜2009年度)における学生納付金の値上げは容認できないこと」を表明し、東北地方でも、弘前・岩手・秋田の3大学学長が値上げ反対の共同声明を出ました。しかし結局、1大学をのぞきすべての国立大学が授業料値上げに踏み切り、東北大学も1万5000円の値上げを決定しました。この件につき3月8日に「授業料標準額の改定に対する東北大学の対応について」なる文書が発表されたものの、他大学の同種の文書に比べて、不十分な内容でした。
以上のように法人当局は、いまだに法人経営のあり方を確立していないばかりか、経営者としての自覚と資質があるのかどうかを疑わせるような状態にあると言わざるを得ません。組合は国立大学法人制度そのものに反対し、多くの問題点を指摘してきました。それが露わになった1年余といえますが、当面はその枠内で大学が運営されていく以上、「批判的なパートナー」として、法人当局を監視し、より良い大学を作るために積極的な提言を行っていく必要があります。
4月1日以降、労働三権を回復した組合は、寒冷地手当問題等について4回の団体交渉(2004年7月6日、10月22日・25日、2005年6月3日)を行いました。また、人事担当理事(2004年度中は、人事・財務担当理事)との懇談を8回にわたって行い(2004年4月28日、7月22日、8月6日、10月13日、11月10日、2005年1月31日、3月10日、4月27日)、要求実現のために努力しました。
11月17日には、2つの労働協約(「団体交渉に関する協定」、「組合活動に関する協定」)を総長との間で締結しました。組合の地位を法人当局との間で公式に確認したものとして、非常に重要なものです。組合は、この労働協約に基づいて、3月23日(9項目要求)および4月28日(優先3項目要求)に団体交渉を申し入れ、後者について6月3日および7月1日に交渉を行いました。
ただしこれらの協約がなるまでには、一旦成立した合意が法人当局によって反故にされ、組合がその不当性を訴えて交渉を重ね、ようやく締結に至ったという経緯がありました。この問題は、法人当局の労使関係に対する理解の不十分さを如実に示すものです。組合としては、法人側に二度とこのような態度をとらせないように組織を強化するともに、法人側に労使関係についての認識を深めるよう求めていかねばなりません。
1月18日に「新年にあたっての私たちの要求と提案」を発表しました。全体を政府に対する要求と国立大学法人東北大学の役員会に対する要求に分け、後者には、a.公正で透明な大学運営をめざす要求と提案、b.納得のいく賃金とはたらきやすい職場をめざす要求と提案、c.健全な労使関係をめざす要求と提案、を盛り込みました。作成が遅れたことは反省しなければなりませんが、近年の提案型運動を継承し、しかも全大学構成員に対して配付を行ったことには大きな意味がありました。
10月13日に人事・財務担当理事から寒冷地手当削減・廃止の方針が伝えられると、組合は運動を開始し、団体交渉(2回)、人事・財務担当との懇談会(2回)で、その不当性を追及しました。また、他の事業場に先駆けて手当が削減される浅虫・鳴子地区の組合支部は、独自に要望書を作成しました。本部としても、合計4種類の要望書や抗議声明を出しています。結局、寒冷地手当削減・廃止は決定されてしまいましたが、人事・財務担当理事からは、「他大学と違う実態がうまれ職員の士気を削ぐ結果となったことや手続き面について反省し、今後対応を検討する」という見解を引き出しました。
ところで、法人化以降、全学的には組合と過半数代表者制度の混同が見られます。組合は、過半数代表者と連携しつつ運動を進めていますが、両者の役割と性格は異なっています。寒冷地手当問題では、運動が一段落した時点で、正職員および准職員全員に対して、「国立大学法人東北大学職員組合は寒冷地手当の削減・廃止に反対してこのように行動しました」を配付し、組合の取り組みについて宣伝し、組合の重要性をアピールすることにつとめました。
寒冷地手当問題は、公務員の給与制度改悪の序曲に過ぎず、2005年度は「給与引下げ・地域間格差拡大」が人事院によって企てられています。先述の通り、非公務員化によって、もし仮にこれが実行されたとしても東北大学職員の賃金制度を拘束するものではないはずなのですが、しかし、昨秋の寒冷地手当削減・廃止の際の経緯を見れば、この極めて重大な労働条件の不利益変更についても、法人当局がそれに追随する可能性は否定できません。組合としては、政策・運動の両面で、早急に対応する必要があります。
法人化は、組合にとっても未知の部分が多く、制度についてなお研究する必要があります。また、公務員制度改悪をはじめとして、私たちを取り巻く情勢を的確に分析し、組合としての政策を作り、運動に反映させていかなければなりません。しかし、問題は多岐にわたっており、専門的な知見も必要なことから、本部執行委員会ですべてを担うことは困難です。そこで今期、いわば組合のシンクタンクとして、賃金・人事制度検討委員会を発足させました。
委員会は10月21日以降、ほぼ月に1度のペースで開かれ、財務制度、賃金制度、個人情報保護法への対応等について学習を深めました。いまのところは委員会内での学習が主ですが、給与問題への対応を手はじめとして政策の立案に着手しています。
一方で、今期、教文部会・拡大教文部会は開催されていません。賃金・人事制度検討委員会とこれら部会との関係を整理し、適切な分担関係の下、政策立案能力強化につとめなければなりません。
また、学習会も本部執行委員会主催では、1度も開くことができませんでした。多くの人が集まって、学習を深め、議論を交わすことは、組合運動にとって不可欠なものです。賃金・人事制度検討委員会と連携しつつ、適切なテーマを選定して、学習会を開催する必要があります。
(1)就業規則36条問題
組合や多くの過半数代表者、学内の良心的な人々が反対したにもかかわらず、東北大学の就業規則には、政治的・宗教的活動を制限する項目が含まれています(第36条)。7月になって当局は、人事戦略企画室会議で検討された「職員就業規則第36条(政治的活動等の禁止)の運用について(案)」なる文書を公表し、組合や過半数代表者に対して意見を求めてきました。その内容は、問題の多いもので、組合は、7月30日に意見書を提出しました。それ以降、この件に関する法人側の反応は一切ありません。法人側も運用規定なしで、36条を運用することに問題があることを認めています。したがって、現在は組合や過半数代表者の運動によって、36条の適用を阻止している状態にあるといえます。しかし、楽観は禁物であり、最終的にはこの条項を廃止させるよう運動を続けていかなければなりません。
(2)学費問題
1月13日、総長宛に「国立大学授業料標準額引き上げに反対する総長声明を出すことを求めます」を提出しました。法人化以前は、国庫に入った授業料収入は、私たちの給与や研究費に直接の影響を与えるものではありませんでした。しかし法人化後は、法人の直接の収入となります。したがって、法人化以前と同じように学費問題をとらえることはできなくなりました。教育の機会均等の確保と法人財政の安定化が両立するような制度を作るよう、政策的な提案をしながら、運動を進める必要があります。
(1)労働三権を効果的に行使して運動を進めます。とりわけ団体交渉を重視し、交渉能力の強化につとめます。
(2)職種ごとの問題や要求を的確につかみ、政策化した上で、問題の解決、要求の実現につとめます。
(3)法人当局に、給与改定や労働条件の変更が中期目標・中期計画や年度のサイクルの中でどう位置づけられるかを明らかにさせ、組合の運動サイクルを確立します。
(4)「2005年度の基本要求」を策定し、積極的な要求運動を進めます。
(5)賃金・人事制度検討委員会を中心に、人事制度と賃金体系の学習・調査を行います。その上に立って、賃金要求の方式や水準設定に関する方針を確立します。導入が予想される能力主義や成果主義については、一律に賛成・反対するのではなく、評価の公正さを重視し、その基準とルールを重視する立場を取ること、給与体系の一方的改編や不公正な評価方法には反対することを主張します。
(6)国家公務員給与改悪を阻止する運動を、全大教、国公労連、県労連とも協力して進めます。万が一、改悪が行われても、過半数代表者とも連携しながら、東北大学に適用させないような運動を構築します。
(7)管理運営事項についても、よりよい大学づくり、透明で公正な経営、労働条件の確保の見地から積極的に取り上げていきます。とりわけ総長選考制度については、学内の運動と協力しながら、意向投票制度を盛り込んだ民主的な選考方法の確立をめざします。
2003年4月の国立大学法人東北大学の発足に伴って、東北大学にも国立大学法人法によって設置が義務づけられている「学長選考会議」が「総長選考会議」の名で設置され、その議長には小田滋・前国際司法裁判所判事(東北大学法学部名誉教授)が就任しました。この総長選考会議は吉本現総長の任期が残り1年半あることから、自らの今年度の主要な任務として総長の選考と総長の任期に関する規程の制定を位置付けました。
2004年12月13日の第5回総長選考会議において、「総長候補者の選考及び総長解任の申出に関する規程(案)」(PDFファイル)がこの総長選考会議において決定され、また同時に「総長の任期に関する規程(案)」が決定されて、総長の任期は「6年で再任不可」とされました。後者についても「6年で再任不可」と「4年の任期で1度の再任を可能」とする両意見が委員たちの間にあって決定に至らず、「この点は議長一任」とされて小田議長の裁定によって決定された、つまり総長選考会議内部でさえ全員が納得するに至らぬうちに決められた、という問題点があります。しかし、それよりはるかに重大な問題点を含むのは「総長候補者の選考及び総長解任の申出に関する規程(案)」であって、これは、現在までのところ他の国立大学法人において類例を見ないほど非民主的なものなのです。つまり、この「規程(案)」は、広範な大学構成員による「投票」を一切排除して、次期総長選考は総長選考会議のみによって行われることとした上に、次期総長の選考にあたる総長選考会議の委員の大半が現総長が任命した人々であって、さらには総長自身までもが総長選考会議に加わることすら禁止しないという、時代錯誤的な「お上」意識、あるいは(ワンマン経営の)「会社」であるかのような意識丸出しの「独裁的」かつ「反民主的」とすらいえる内容なのです。
また、この「規程」(案)の内容だけでなく、それがその後学内において「規程」として成立したことにされてしまった経緯にも非常に重大な問題があります。国立大学法人法においては「教育研究評議会」を「国立大学の教育研究に関する重要事項を審議する機関」と規定しており、総長選考の方法がそれに該当しないはずはないのに、総長選考会議は12月21日の教育研究評議会においてこれら2つの「規程(案)」を単に「報告」しただけでそれを「議事」として扱い、そこで多くの反対意見が出されたにもかかわらず承認されたかのごとく扱い、成立したものとしているのです。(これらの問題点について、詳しくは次頁の組合文書を参照)。
私たち東北大学職員組合は、このような反民主的な「規程(案)」自体も、また、法人当局がそれが成立したこととしている制定の手続きも、絶対に容認することができません。
本組合やこの「規程」(案)に反対する多くの教職員の声に対して、小田議長は本年2月19日付け「日本経済新聞」(次頁に引用(Web版では省略))に寄稿した小論文において、以下のような数々の問題発言を行っています。
小田議長は「他の国立大学法人は依然として学内の広い構成員による学長選挙をしていると聞いて、私は驚いた」とし、次の小見出しでは「広範な学内選挙 考える余地なし」と言っていますが、その根拠として国立大学法人法が学長選考会議の設置を定めていることを挙げて、「この法の下ではもともと広範な学内選挙など考える余地はない」と断じています。確かに国立大学法人法第12条第2項には、学長選考会議が学長候補者の選考を行う旨が明記されています。しかし、上述の発言はこれを単に自己に都合よく解釈したものに過ぎず、同条第6項には「この条に定めるもののほか、学長選考会議の議事の手続きその他学長選考会議に関し必要な事項は、議長が学長選考会議に諮って定める」とされているのと並んで、同法第21条第1項には「国立大学法人に、国立大学の教育研究に関する重要事項を審議する機関として、教育研究評議会を置く」との規程があることを完全に等閑視したものだと言わざるを得ません。
つまり、東北大学総長選考規程を定めるに当たっては、学長選考会議だけでなく教育研究評議会による十分な審議をも経た、完全に合法的な制定が必要であると本組合は考えています。
さらに、小田議長の言とは逆に、一般教職員による「意向投票」を行うことを禁じる規程などは同法のどこにもありません。また、国立大学法人法第12条第7項にある「学長の選考は、人格が高潔で、学識が優れ、かつ、大学における教育研究活動を適切かつ効果的に運営することができる能力を有する者のうちから行わなければならない」という規定こそが最も重要であることは、誰にとっても異論がないはずのことですし、そして、この条文のうち、下線部に記された能力は、多くの教職員の支持を得た人物であってこそ発揮できるものであることも明らかです。
加えて、次頁に引用した小論文(Web版では省略)において、小田議長は、学長を選挙で選ぶべきではないとの主張の根拠として、「旧帝大はいずれもマンモス化し、他学部のことどころか、自分の学部でも、学科や専攻が違うところの事情を知りはしない」、「今のような状態で、学長を大学構成員の、見識が必ずしも常に豊かとはいえない末端のスタッフにまでひろげて選挙で選び出そうとすれば、世帯の大きな学部に票が自動的に固まるのは避けられない」という、選考会議構成員となる資格を有する者以外のすべてを蔑視し、学内民主主義を真っ向から否定した、許すべからざる暴言までをも行っています。このような、大学自治と学内民主主義を完全否定する言動を許してはなりません。現に他大学のうちには、同じ法律に基づきながら、これまで一切選挙権のなかった事務職員についても一定の基準以上の者には投票権を認めた形での意向投票を盛り込んだ学長選考規程を制定したところすらあるのですから、このような小田議長の発言が全く説得力を持たないことは明らかなのです。
したがって、本組合としては、本年1月17日には執行委員長名の声明「東北大学総長選考会議による『国立大学法人東北大学における総長候補者の選考及び総長解任の申出に関する規程(案)』(2004年12月13日)に関する要望」を出してHPにアップロードするとともに吉本総長と小田議長に送付し、また、2月には前頁に引用したような文書を作成して、この規程の白紙撤回と「意向投票」を盛り込んだ新規程の制定を求める署名活動を、紙媒体の他にネット署名という新しい手段によって行い、5月までに約400筆の署名を得て本年6月3日に行われた団体交渉の際に徳重人事担当理事に手渡しました。
また付言すれば、小田議長は、昨年9月13日に提出し、本年1月31日に刊行された『日本学士院紀要』に掲載された論文においては、国立大学法人法自体や、また東北大学の「経営協議会」、「教育研究評議会」、さらには自らが議長を務める「総長選考会議」の各々について、現在のそのあり方に対して痛烈な、しかも相当の部分において本組合の立場から見ても首肯できる批判を加えています。例えば、その象徴的な文言が「しかし私にはこの『法人化』の制度が本来の教育研究機関に『法人』の衣を着せただけのはずなのに、『役員』が法人そのもので、あとは使用人という『会社』意識が不当にこの教育研究機関に忍び込んで来ているように思われます。東北大学は何か勘違いをしてはいないでしょうか」、「『会社に取締役がいてこれがえらいので、あとは使用人』という図式を大学にあてはめて『理事』が法人大学そのものであとの教育研究者はすべて一束の『職員』というこの『法人法』の考え方は根本的に間違っていたと思います」といった文です。これが、上述のような、学内民主主義を完全否定し、一般教職員を愚民視した発言をするのと同じ人の言葉とは到底思えません。このような矛盾した発言を目の当たりにすれば、私たちは、小田氏の、総長選考会議議長としての適格性すら疑わざるを得ません。
東北大学職員組合としては、このような反民主的な「規程(案)」を白紙撤回し、学内民主主義を現在の水準より後退させない新規程を制定するように、今後とも総長選考会議にねばり強く要求していくと同時に、民主的な総長選考規程の必要性を訴えて行動している教育研究評議員らとも共闘する形で民主的な対案を作成し、同会議に突きつけることが必要です。
また、来年秋には現総長の任期が切れることから、現在、総長選考会議は教育研究評議会と経営協議会に対して総長候補者を出すように要求しています。上述のように現行規程(案)は重大な欠陥を含んでおり、しかも、正当な手続きを経て制定されたものと認めるべきではありません。しかし、今後、総長選考会議がこの規程(案)のまま総長候補者の選考を強行する可能性も十分に存在することを考えると、あくまで「規程」(案)自体の全面改定を要求しながらも、大学のこれ以上の非民主化を防ぐためには、現行の規程(案)に基づきながらも、教育研究評議会での総長候補者選考において民主的な意向投票を取り入れた内規を作らせ、投票を実行させるように教育研究評議員たちに対して働きかけていくといった、柔軟かつ実効性のある戦術を採る必要があります。
東北大学をはじめ、国立大学法人に勤務する技術職員の全国的な職務規程は、文科省から法人化後1年以上経った今でも曖昧なままとなっています。組合は、これまで文科省や大学当局に対し「職務規程を明確にし、専門技術職員にふさわしい処遇」を要求し、全国の組合と連携しながら運動を続けてきました。しかし、東北大学では専行職不適用および訓令33号の発令以降も全学的に「教育・研究を支援する技術業務とその組織はどうあるべきか」という具体的な検討は行われず、給与面でも他省庁に比べて低いまま非公務員化されるという事態となっています。
前述のように全国各大学組合で展開された「職群確立・処遇改善の運動」によって、いくつかの大学では専門技術職としての位置づけを確立し、独立した技術部を試行する動きとなっています。また、その他の大学でも、専門職としての研修制度を勝ち取るなどの運動を行いつつ、処遇については文部省訓令の発令を利用し、一定上位級を獲得しています。一方、これまでの10次にわたる定員削減は、特に技術職員の大幅な削減を引き起こし、技術支援体制を再構築する上でも大きな障害となっています。
東北大学では、法人化前から、部局では理学研究科が国大協案に基づく組織による運用、金研や多元研では技術室組織として独立した運用を進めています。機能する技術組織の確立としては研究所が先行しており、法人化後はさらに組織の改革が進められようとしています。
このような動きがある一方で、法人化を機会に最大部局である工学部が、今年4月1日に独立した新技術部として辞令を発令しました。研究教育は教員組織、技術職員組織、事務職員組織の三者の協力共同関係によって運営していくとの考えを基に、工学部技術部を設置しました。技術部は技術本部と各系に技術室体制を作っています。組織化にあたっての技術職員間の議論が不十分であったため、組織の運営・業務マネジメントを機能させるための具体的検討は緒についたばかりです。
組合としては、全学的な組織・部局間の在り方を探る一方、それぞれの部局にあった技術職員組織の在り方についても議論を行い、技術職員を取り巻く環境が変化しても、それに対応できるように準備をしておく必要があります。
(1)労働安全衛生法関連の業務
大学法人化による労働安全衛生法適用によって、安全衛生管理業務は事業所にとって重要で必須の業務となっています。多くの大学では技術職員が衛生管理業務の実務を担当するようになり、多忙になっています。これらの業務は教職員・学生が事故もなく安全に実験研究を行う上で重要な業務であり、片手間ではなくきちんと位置づけられて行うべきです。
(2)科研費の申請権
科研費申請では、これまで奨励B(100万)が唯一技術職員の申請可能な科研費でしたが、昨年度「科学研究費補助金の申請について制度変更」があり、いわゆる「教員」でなくても、研究者登録をすれば技術職員も、研究者と同様の科学研究費を申請することが可能となりました。一方、登録後は奨励Bへの申請はできなくなるため、研究者と同じ土俵でいいのかなどの問題点もあります。
(3)教務職員
教務職員は、教育職表適用でありながら技術職員と位置づけられ、処遇もあいまいで昇給に頭打ちがあるなど、組合からも廃止するよう長年運動を行ってきた経緯があります。東北大学では、今年4月に教務職員制度を廃止する方向で検討が示され、組合本部や各支部での取り組みを行い、給与の遡及分の実施はできませんでしたが、ほぼ希望通り助手、技術職へ振り替えが決定しました。
東北大学でも全学的な検討委員会を設置させ、技術職員の職務と専門技術組織の在り方について本格的に検討を始める必要があります。これは、あと5年で団塊の世代が大量に定年退職を迎え、職員数がほぼ半減することが予想されることから、全学的な対応が迫られているためです。したがって、組合としても全学的な観点から提案していく必要があります。そして、この機会に「職務が曖昧なために処遇も曖昧」という現状を打破できるような運動を展開していくことが重要となるでしょう。
法人側は、「経営の立場」を優先し、人件費抑制による人員削減を示してくることが予想されます。組合としては、
これ以上の人員削減では、技術職員の肉体的・精神的負担ばかりが増えるだけで、未来への希望が持てなくなるでしょう。大学法人自体が技術職員のモチベーションが上がるような技術職員像を示すことなのにです。
「技術職員の職務を明確化せよ」という従来からの基本方針は、法人化後の今もなお、最も重要な組合運動の柱であり、技術職員の将来につながる重要な要求です。
法人化以前には「連続する3日間の技術職員研修」が行われ、学内・東北地区の教室系技術職員研修にほぼ全員が参加してきました。新規採用職員を除いては、形式的な研修はほぼその役目を果たしたともいえるでしょう。 これからは、本年度開催された総合技術研究会のような、技術職員が日ごろ培ってきた技術・ノウハウをお互いに情報交換しながら、横のつながりを形成していく研修の充実が望ましいと考えられます。
大学における教育¥研究を支援する技術業務は、生産工場のラインのように単純な作業の繰り返しではなく、最先端の教育者¥研究者と共同で専門技術を駆使して業務を遂行するものです。技術職員は日常の業務を通して、「専門的技術」または「大学特有の特殊技術」を習得してきています。もちろん学術面における基礎的な知識を習得するための研修も引き続き重要であることに異論はありません。しかし、「専門的な技術」「特殊な技術」の中には、「余人をもって代えがたい技術」も多く、「技術の継承」が必要なものもあります。組織的に継承しなければ、何も受け継がれず、職員が入れ替わるたびに一から全てをやり直すこととなり、大変非効率的といえます。
組合は、知識の習得だけを目的とした形式的な研修ではなく、専門技術を体得した技術職員が、その専門技術を共有し、組織的に蓄積できるような研修制度を確立することも大切ではないかと考えます。将来的には、技術職員が専門技術をもって自立して業務遂行ができるようになること、そして、そうした技術職員が全学にわたって相互に協力しあえるような、「技術職員による技術ネットワーク」が形成されることを目的とした研修制度の充実・発展を要求していきます。
歴史的に大学の技術職員は、文部省・文部科学省に属していた時代から、他省庁に比べ格下に位置づけられてきました。これは、大学の技官は政策立案能力がなく、教官から命令された技能的な業務や雑用ができる程度の人材でしかないと見なされていたからと考えられます。しかし、ここ東北大学においては、教員¥研究者が技術職員を専門技術者として育成しており、研究の一翼を担う技術者がたくさんいます。また、法人化に際して、安全衛生管理面でその技量を買われる技術職員がいたことも考慮すれば、技術職員は、現在の大学運営に不可欠な存在になってきています。
このような状況にもかかわらず、文科省の級別定数制の給与体系に追随し続けることは、まったくあるべき姿ではありません。民間企業ですら、専門性の高い職種については、その専門職に適したポストを作って処遇することも行われています。私たちは、昇格改善要求の1つとして、技術職員の現状に合わせた新たな給与体系の新設も要求して行きたいと考えています。国立大学法人東北大学が、国家公務員に導入されようとしている「給与引下げ・地域間格差拡大」に同調するならば、まったくもって暴挙としかいいようがなく、断固反対します。
技術職員に対し、実績評価に基づいて「年功序列」を廃止しようとする可能性もあり、充分に注意しなければなりません。公務員時代から劣悪な待遇を強いられていたにもかかわらず、身分保障という保険すら奪い去る「いじめ」を断行し、さらにその上、「年功序列廃止」を口実にした賃下げは、到底受け入れられるものではありません。なすべきこととしては、現在の給与に、特に功績のあった者については金額を上乗せするという加点法の採用です。技術職員に対する業務評価はやる気をおこさせるものであるべきで、互いの足を引張り、職務意欲をなくす評価の導入には反対します。
組合は、安易な「年功序列」の廃止は労働者の不利益変更になると考えます。このような「賃下げ工作」には断固反対し、国家公務員時代には解決しきれなかった昇格改善こそが優先すべき問題であると主張し続けます。
今年度、技術職員部としての具体的な運動はほとんどできませんでした。技術職員に対する法人側の対応が不透明で相手の出方がさっぱりわからないということもあります。就業規則や技術職員の格付けなどは、法人化前後で現状維持という結果になっていますが、今後の技術職員に対する待遇や処遇に関しての大学側の明確な方針は示されないままです。このような状況での運動は大変難しいというのが現実です。このことは、特に技術職員が法人化にともなう安全衛生管理者業務に中心的に携わってきているため多忙になっていることも、運動をほとんどできなかった原因になっています。
技術職員の重要性・必要性を十分主張できない場合、人件費の削減にともない技術職員数が激減する可能性も出てきました。団塊の世代が定年をむかえる時、「技術職員組織の大学一本化」案がいよいよ現実味を帯びてくることも考えられます。
技術職員部としては、全学的な技術組織のあり方を含め、技術の専門性、人材の確保が重要である点を示し、最低でも現員の確保、さらに各部局技術部組織の増員を勝ち取っていく方針を示す必要があります。
法人化を見据えて、組合は「反対型」から「提案型」へと移行してきました。とりあえず技術職員の処遇は現状維持で推移しましたが、技術職員を取り巻く環境は確実に変化しつつあり、私たちが有利になるような「提案」を作っておく必要があります。優秀な教員や研究者ほど技術職員の力を欲し、東北大学が中期目標・中期計画の冒頭に高らかに謳う「研究第一主義」を維持・発展させ、他の大学より優れた教育¥研究成果を残すためには、技術職員の存在は不可欠です。また、技術職員は、教員や研究者だけでなく、事務職員、准職員、時間雇用職員など東北大学に働く全ての職員とともに、一人ひとりが「重要な役割を任された職員」なのです。技術職員部は、組合運動を通し、「大学における研究・教育を支援する技術業務は非常に重要である」ことを明確化し、「未来へつながる提案」を行い、組合に集う技術職員の「これから」をともに築いて行きます。
(1)今日の教育研究の発展に対応する「技術職員の職務の明確化」、「自立した技術者が集う独立した組織の構築」、「専門技術の向上、教育、継承」などの具体的方策について検討し、大学当局に対し提言します。
(2)法人化に際して、現行制度は維持されましたが、そもそも現行制度自体が不十分なものなので、大学技術職員の職務を明確にした「技術職給与表」の新設を要求します。
(3)技術職員の待遇や昇格について、経営側の一方的な解釈により、不利益変更につながるような不当な評価が行われないように監視していきます。
(4)団塊世代の待遇改善に引き続き取り組みます。また、団塊世代の技術職員の定年退職後の現員不補充による人員削減をやめさせるとともに、技術職員の大幅増員を目指し、また団塊世代以降の技術職員の待遇を改善する運動に取り組みます。
(5)研究教育に関わる専門技術の向上・継承が可能な専門研修および、組織をマネジメントするための研修を充実させる取り組みを行います。
本年4月1日をもって、積年の課題であった教務職員制度が廃止されました。これは、20年にも及ぶ組合の取り組みの成果です。
(1)教務職員制度は、1949年6月、新制大学の発足時に副手制度を助手制度に統合した際に助手に任用洩れとなった人を任用するための暫定的処置として生まれたもので、その発足当初から、教育職でありながら教員組織に位置づけられていないという根本的な問題を持った制度でした。このような制度上の問題から、職務規定は助手と同じであるにもかかわらず、学校教育法に規定されておらず、教育公務員特例法の適用・準用もされていませんでした。また官名が「技官」であることから教育職としての位置づけがなく、俸給表上の建前に反して待遇改善(昇任)は予定されていませんでした。このことは、単に給与面のみならず、低い宿舎の入居順位、最下級の出張手当、奨学金返還義務免除の適用外などのさまざまな問題を生じさせていました。
(2)この教務職員に対する待遇改善の運動は日教組大学部発足当時からの課題でしたが、1988年に出された「教務職員問題の解決に向けて」において、その歴史的経過と問題の根源が明らかにされたことから取り組みが大きく進みました。大学部の再三の申し入れにより、1991年には「教務職員問題に関する検討結果報告」が国大協総会において承認され、同年11月には、文部省より「教務職員から助手に移動した場合の俸給月額の決定について」が出されました。これらのことは待遇改善運動の大きな追い風となりました。東北大学においても、退職前の「2級昇格」という限られたものではありましたが、一定の前進がありました。しかし、これは一方で全国的に例のない60歳退職という問題を残しました。
(3)その後、国大協は、教務職員問題解決の指針として「教務職員問題の対応等について(照会)/1994」を出しました。また、このアンケートの結果を「教務職員現況調査報告書(中間報告)/1996」とし、対応が遅れている大学への「警鐘」としました。これらの動きを力に東北大学においても、それまで定数がなく概算要求による振替が不可能だった部局に対して学部間定数の再配分措置を行う等、画期的な努力がなされました。しかし、他大学と比較して取り組みが遅れたことに加え、再配分の主旨を理解しない部局もあったため、全国の教務職員の約1割を抱えたままの状態は変わりませんでした。2000年には人事院の特例措置の期限も終わり、法人化問題が浮上したことから、新たな対応が求められることとなりました。
(4)2002年に出された「東北大学制度検討委員会組織業務・人事制度委員会及び目標評価・財務会計委員会の検討結果について(中間報告)」では、「『専門職員』は新しい職名の職員である」と謳った上で、「『教務職員』は移行措置として助手に準ずる職位とし、次第に廃止し、助手または専門職員の配置に切り替える」とした、これまでになく踏み込んだ方向性が示されました。これはその後の「中間報告以降の検討に関する報告」においても否定されることはありませんでした。さらに2004年初頭の法人化推進本部第一部会では、具体的に助手や技術職員等への移行に一歩踏み込んだ検討がなされました。その後の組合との交渉においても、「教務職員制度の廃止をベースに、助手にすることが適当な人数、技術職員にすることが適当な人数について調べてもらっている」と回答したことから、組合はこれを支持しました。しかし大学は、法人化直前になって方針転換をし、この教務職員問題の解決を先送りしたままに法人化に踏み切りました。
(5)昨年の人事院勧告において、「教育職俸給表(一)は、1級を削除する」という勧告がなされました。組合は、「人事院勧告や給与法の改正は非公務員型の国立大学法人にとって直接の関係はないが、教務職員の俸給表の存在理由がなくなったことを社会的に宣言されたものである」と受け止め、改めて教務職員制度の廃止と待遇改善を求めるため、昨年11月19日付けで「教務職員制度廃止および教務職員の待遇改善に関する要望書」を吉本総長に提出しました。この要望書において、
(6)その後12月22日に、本部人事課より「意見交換」が求められ、その席で人事課として制度廃止についてシミュレーションを行っていることが明らかにされました。また、12月26日には、既に、財務・人事戦略企画会議による、
という概要の、「教務職員の取り扱いについて(案)/12月16日付け」が準備されていることが明らかとなりました。これは、先の意見交換の席では示されなかった新たな事態への展開であり、また急を要していることから、本年1月5日、人事課に対し説明を求めました。
その後、教務職員対策委員会を中心に、教務職員の組合員のいる支部と本部執行委員会の三役による会議を持ち、「「教務職員の取り扱いについて(案)」についての組合の意見」を財務・人事担当理事宛に提出しました。その概要は、
(7)これらの経緯については、支部代表者会議の中で報告をし、全教務職員への手紙による情宣と、その意見聴取としてのアンケートを行いました。また、部局によっては任期を付ける事ができるとの解釈がなされたことから、それらの部局への対応と、「教務職員の助手への振替に伴い、任期制を適用しないよう申し入れます」とした申し入れ書を財務・人事担当理事宛に提出しました。同時に組合は、支部代表者会議での状況説明と各支部における教務職員への情報提供、意見および意向の聴取に努めました。
(8)3月10日に行われた財務・人事担当理事との懇談では、「調整給実甲と同程度の待遇改善」という組合の要求は「財政的な負担が大きい」として受け入れられませんでした。しかし、
などの理由に加え、これまでの進展状況とあわせ、時間的な制約もあることから、大学側の提案に合意することとしました。各部局の振替の状況は、左表に示す通りです。
部局 | 振替後の職種 | 定削充当 | |
助手 | 技術職員 | ||
理学部 | 4 | - | - |
医学部 | 1 | 2 | - |
薬学部 | 14 | - | - |
工学部 | 6 | 7 | 1 |
農学部 | 9 | 4 | 1 |
生命科学研究科 | 1 | - | - |
金研 | - | 4 | - |
サイクロ | 3 | - | - |
東北アジア | 1 | - | - |
病院 | - | 1 | - |
計 | 39 | 18 | 2 |
55歳以上の人の多くは、昇給停止年齢となっていることに加えて、在級年数の定めがあることによって昇格の道も閉ざされています。現在、移行者と従来から技術職員として在職している同年齢の人の給与差は3〜4万円を超えます。今後、技術職員の組織化により8級などの高位級者が現れた場合、給与格差はさらに拡大し、退職金や年金にも影響します。そこで、教務職員からの移行者を「在級年数問題」の適用除外として昇格改善を図るよう要求することが必要です。
当面、教務職員対策委員会を存続し、教務職員から助手、技術職員等への移行者について待遇改善を図ります。今後、「新助手」の導入等に関する学校教育法改定が成立した場合、あらたな対策委員会への発展改組を図ります。
移行者の待遇が、同年齢、同学歴の技術職員、医療職員の待遇を下回っている場合、同等の待遇への改善を要求します。とくに、55歳以上の人について、「直近上位の号俸」「上限5級」への移行にとどまったことによる同年齢の技術職員との差を縮小するための特別措置として、「在級年数」の適用除外とすることを要求します。
(1)「国立大学法人化法」制定後、準備期間もないままの法人化によって財務会計の不備等が発生したことなどで、事務職員はますます多忙になり長時間労働に苦しんでいます。
非公務員になったことにより、労働基準法が適用されたにもかかわらず、超過勤務手当について、「まず『従来どおりの配分ありき』だ。実働分支払いは理想にすぎない」などと考えるような管理者がまだまだ存在し、かなりの職場で、勤務時間の実態を把握しない、あるいは、実働分は報告させたとしても、財源に限りがあることを理由に、あたかもそれが当然であるかのごとくサービス残業をさせるなどの状態が続いています。「財源の事情もあることだから」と仕方なしに考え、自らの責任感と善意のみによって黙々とサービス残業を続ける事務職員の善意に甘え、真剣な業務の見直し等を怠り、何らの改善策を示すこともできない管理者の意識を変えていかなければなりません。
そのような中で、私たち組合員が職場で声を上げ、大学当局や事業場長との話し合いを続けるうちに、徐々にではありますが、超過勤務時間を少なくする努力や、実働時間分の手当を支払うようになった部局が出てきています。多くの事務職員が大きく声を上げることが重要です。
運営費交付金の減額と同時に職員の数も減らされるのは必至です。いま進めている業務の見直し等も必要ですが、「『運営費交付金等の算定に当たっては、算定基準及び算定根拠を明確にした上で公表し、公正性・透明性を確保するとともに、各法人の規模等その特性を考慮した適切な算定方法となるよう工夫すること。また、法人化前の公費投入額を踏まえ、従来以上に各国立大学における教育研究が確実に実施されるに必要な所要額を確保するよう努めること』という「国立大学法人化法」附帯決議を守れ」という声を上げていく運動も強めていかなければなりません。
(2)これまでは、与えられた仕事をいかに合理的・効率的にこなすかという事務処理能力が問われてきました。これからは、各大学の中期目標や中期計画に記載されているように、大学の管理運営に参加する事務職員の役割が求められています。それを実現し、またそれが有意義な改革たり得るためにも、事務職員を対象とした系統的な研修を確立する必要があります。
(3)新しく加入した組合員や各支部に点在する組合員のためにも、事務職員独自の活動がとても大事な時期であったにもかかわらず、部会をもてないまま2004年度は過ぎてしまいました。また、懸案のアンケートもとれずに終わりました。不満が蓄積している事務職員の組織強化のためにも、組合の存在意義を広くアピールし仲間を増やす活動が重要です。
(1)仕事の見直しや適正な人員配置を求め、超過勤務を減らす運動と同時に、不払い労働をさせない運動を強めます。
(2)職場実態のアンケート調査を行い、改善せねばならない事項を具体的に明らかにした上で、当局に改善を要求していきます。
(3)事務職員部会を定期的に開催し、部員同士の情報交換、交流を深め、事務職員の組織拡大に取り組みます。
(4)次世代育成支援対策推進法に基づいた東北大学一般事業主行動計画を、絵に描いた餅としないよう協力して進めていきます。
(5)本部執行委員会や他の専門部の協力を得ながら、知的・質的向上をめざすための学習会を行います。
(6)東北大学から他大学や高専に出向している組合員の労働条件改善のための取り組みを行います。
(7)教員ほか他職種の組合員と一致団結して現在の非民主的な「国立大学法人東北大学における総長候補者の選考及び総長解任の申出に関する規程(案)」を撤回させ、法人化以前よりさらに民主的な総長選考規程を実現させるとともに、新規程に含まれるべき「意向投票」における事務職員の投票権を求めます。
大学図書館は、地域社会への貢献が推進される中、生涯学習・生涯教育という社会的な要求もあり、一般市民への図書館サービスの拡大が強く求められています。また、今年4月に個人情報保護法が国立大学法人にも適用されたことにより、図書館利用者の個人情報の保護に今まで以上に留意して業務を遂行しなければなりません。図書館職員採用にあたって「司書資格」が前提条件でなくなったことや、係長昇任の若年化、分館間での昇任のアンバランスなど働く環境の変化が進んでいます。本館と分館との間で経歴評価に違いがあるのではないかといった声、システム設計についても一部職員の起用に偏することなく、現場業務の実状を正しく反映させ、実行可能な内容にすべきといった声も聞かれます。こうした中で、図書館職員の働きがいを確保するために組合が果たすべき役割は、ますます重要になっています。とりわけ、図書館においては、正職員と准職員・時間雇用職員の業務内容はほぼ同じであり、職場環境改善をはかる上で、准職員等の待遇改善が重要です。(第9章参照)
(1)開館時間の延長、学生用図書の整備、情報教育支援サービスに伴う労働強化に対して、超勤の実態、研修出張、休憩時間、勤務評定、年休取得率等、現場の実態を把握して要員の確保を要求していきます。
(2)学術情報(雑誌)の整備と資料の保存について、予算的裏付けや客観的必要性、整備しようとするデータベースや電子ジャーナルの適正な評価等の観点から検討をすすめます。
(3)図書館業務の一元化や業務の外注化の動きについて、分館や部局図書室も含め、業務と労働条件を改善する内容となるよう、現場からの声を集約し検討していきます。
(4)雨宮キャンパスの青葉山への移転に関わる農学分館の職員への影響について、情報集約をすすめ必要な対策をとります。
国立大学が法人化されて、病院の職員も労働基準法の適用を受けるようになって早2年目に入り、労働条件改善や仲間を増やす全国的な取り組みが行われました。その中で、全大教病院協議会は、法人化後の国立大学病院に働く職員の勤務実態のアンケート調査を行いました(2004年9〜10月実施、国立大学病院職員を対象に3953人から回答)。その結果、多くの職員は「長時間労働」や「不払い残業」、「過労が続いている」と回答し、特に看護職員については、このような回答が過去の調査よりも増加していることが分かりました。このアンケート調査によって、国立大学病院が法人化され労基法が適用されることで、それまでの少ない人員配置の実態が労基法の下で明らかになりました。この調査は病院各種職員の状況を把握することを目標にしましたが、圧倒的に多かったのは看護職員からの回答(2886人)でした。そこで交代性勤務の看護師を具体例として結果を示します。
1ヶ月の超勤時間について、20時間以上と回答した人は45%。1995年の調査と比較すると40時間以上が2倍以上に増えていました。内容としては通常の業務が多くを占めており、雇用形態に関わりなく年間を通じての恒常的な残業でした。その原因が病院の圧倒的な人員不足にあることは間違いありません。休憩が取れずに働いていることは珍しくなく、勤務時間外の会議や公休を使用しての研修参加、また祝日出勤も多く、夜勤は月9回以上が半数近くもありました。公休は夜勤入りの前後に使用する例が多く、年休を取るのもままならず慢性疲労が続いていることが明らかになりました。
超勤手当の不払いについては、52%の職員が「ある」と回答。1995年の看護師調査と比較すると、20時間以上の不払いは実に4倍にのぼっています。超勤の内訳として(1)通常業務、(2)後始末と整理業務、(3)記録、(4)研修と会議、(5)緊急業務の順でした。これは人員不足以外のなにものでもありません。すでにいくつかの大学に労働基準監督署の調査が入り、是正勧告が出されているにもかかわらず、サービス残業は減少していません。超勤時間の短縮を図るには、どれだけの人が残業をしているのかを正確につかみ、それらのデータを基に、病院や大学、労基署に働きかけていくことが大切です。
過労(長時間労働による)については、62.5%の看護師が過労と回答し、さらに46%の人が体調を崩しても仕事を休めなかったことがあると回答しています。大学病院としては非常に深刻な事態(病人が病人を看ているようなもの)であり、看護師の中で、過労による燃え尽き症候群になって退職に至るという悪循環が生まれています。安全な医療を提供し、患者さんが安心して入院できる大学病院を目指すには、はるかに程遠い状態です。医療事故を防ぐためにも早急に人員を増やし、長時間労働をなくしていくことが最も重要です。
超勤手当の不払いは労働基準法違反です。私たち組合は、大学側に対して、正確な勤務時間管理と不払いの根絶を求めます。大学病院が厚生労働省の出している「労働時間の適正な把握のために使用者が構ずべき措置に関する基準」や「賃金不払い残業の解消を図るために構ずべき措置等に関する指針」に基づく改善措置をすみやかに講ずるよう、組合は協力に働きかけていきます。
法人化後の国立大学運営の重大な課題として、運営費交付金の算定問題があります。第1に、2005年度以降、運営費交付金にマイナスシーリングをかけると政府が示していることです。第2に、附属病院の収入に対して経営改善係数を掛け、附属病院の教育研究費については特定運営費交付金で措置し、一般診療費プラス債務償還金は、病院収入と診療分の運営費交付金で対応する仕組みが作られたことです。第3に附属病院の経営改善係数は、2004年度を基準として附属病院に2%の増収目標を持たせ、しかも増収にかかる予算的措置はしない、さらに2%の増収を達成できなければ運営費交付金が削減されてしまい、2004年度の収入見込み額を基準に2005年度から毎年2%ずつ削減され、中期計画期間が終了する2009年度までに減額合計が10%となってしまう仕組みになっています。大学病院の増収を図るためには相当な努力が必要で、近年の医療費抑制からすれば、増収を図ることはきわめて困難な状況です。毎年2%の経営改善係数が掛けられる中で、賃金や労働条件の見直しなど、様々な合理化の動きが強化されていくことが予想されます。
東北大学病院でも、毎週1回、経営戦略企画室会議を開催し、病院収入の増加、経費の削減、コスト意識の改革などを計画し、その一環として各診療科(部)から事業計画を提出(病床稼働目標・増収・節減計画等)させて、診療科長・医局長・看護師長からのヒアリングを実施しました。人員配置の増、診療スペースの要求、重症室への変更、セカンドオピニオン外来の開設などの提案がありましたが、増収につながるものだけが予算措置され、看護師の労働条件改善や増員の計画はなく、いかに増収を図っていくかを追求するものになっています。これでは到底「安全・安心・ゆとりのある医療・看護の実現」とは程遠い内容で、高度先進医療を担う特定機能病院としての特性を無視したものであると言わざるを得ません。
上記のアンケート結果をもとに、全大教病院協議会として記者会見を行い、広く国民にアピールする必要があります。また、全国病院長会議や看護部長会議に経営改善係数の廃止の申し入れを行い、文科省などにもその改善を求めなければなりません。サービス残業の一掃と必要な人数の看護師確保など、特定機能病院として医療法施行規則の見直しを求めていかなければ、安全・安心な医療、よりよい看護を行うことは不可能です。全大教病院協議会とも連携して運動を強めていくことが大切です。
2004年9月から10月にかけて全国的に実施した大学病院職員アンケート調査に、東北大学病院支部でも1300名の職員を対象に取り組み、124名から回答を得ました。その内容を見ると、「時間外勤務のとらえ方の基準が曖昧」、「超勤のつけ方に上司の私情が入りすぎているように感じる」、「実態に見合った超勤手当を支給して欲しい」、「残業をしないように勧告が出されているが改善されていない」、「上司から早く帰れという言葉もなく、逆に早く帰る日が続くと、隣の係りから『暇なの?』という目で見られる」、「年休を希望しても公休があてがわれ、ほとんど夜勤の前後の休みのみで、夜勤の前後は休日という感覚は無い」、「上司が人件費削減について病棟会議で度々口にしてプレッシャーだ」など多くの意見が寄せられ、これまで組合が把握している以上に、労基法に違反する労働が常態化しているという実態が示されました。また、この集計結果を、アンケート対象にした1300名の職員に報告しました。
学習会として、東北大学経済学研究科長の日野秀逸教授を迎え、世界の医療と日本の医療の実態について講演していただきました。そこでは、現在の医療が規制緩和の波にのまれ、営利化へ大きく変質していくさまが紹介されました。
さらに、病院支部では、基本要求をまとめて病院長に提出しました。支部は職員の採用、休暇、超勤など10項目の要求を行いましたが具体的な回答はありませんでした。
4月に、新入職員オリエンテーションの際に組合の説明を行い、13人を組合員として迎えることができました。4月26日には本部執行委員長や他支部の仲間を交えて歓迎会も行いました。
今年度の全大教15回医科系大学教職員懇談会は、沖縄(琉球大学)で開催され、病院支部から1名参加しました。附属病院の教職員の身分保障と労働条件の改善、そして組織強化に向けて討議されました。
病院の改築に伴い、中央廊下に設置されていた組合掲示板の撤去・移転が病院側から通告されていますが、支部としては従来通り患者さんの目にも触れる所に設置されるよう求めています。
(1)アンケートの集約で示された意見を重視し特定機能病院にふさわしい職員の増員と労働条件改善のために取り組みます。
(2)准職員を正職員化するよう求めます。
(3)職員の生活と権利を守る運動と合わせて、患者さんの人権を守り、事故事例を分析し、その改善につなげる取り組みを進めます。
(4)全大教病院協議会に結集して、国民が安心して受けられる医療と福祉、社会保障の充実を求めて取り組みます。
国立大学法人東北大学になって1年が経ちました。法人化にともない日々雇用職員は准職員へと名称が変わりました。東北大には2005年5月1日現在、准職員338名、時間雇用職員915名が働いています。
法人化以前と以後で、私たちの働く環境はどう変わったでしょうか?
就業規則体系の中で、准職員、時間雇用職員の就業規則、給与規程、労働時間・休暇規程等は正規職員と別建てで制定されています。
准職員は「任用中断日」もなくなり、また2005年4月からは、育児・介護休業法の改正により、育児休業、介護休業も認められるようになりました。
しかし、正規職員との待遇格差は依然大きいものがあります。
国家公務員の定員削減政策により、東北大学では1970年〜2004年の間に700名を超える定員が削減されました。准職員、時間雇用職員が。長年にわたる定員削減により減らされた正規職員の代わりに、基幹的業務を担っていることは明らかです。とりわけ1980年7月以前採用の准職員80数名は、正規職員と全く同等に知識や経験を積み重ねてきており、東北大学の業務を円滑・効率的に遂行する上で欠くことのできない存在になっています。
就業規則の中で、准職員はフルタイムの有期雇用、時間雇用職員はパートタイムの有期雇用として明確になりました。准職員はいわゆる「日雇い」ではなく、また時間雇用職員という名称でも「時間雇い」ではありません。しかし依然として正規職員との格差は解消されていません。とりわけフルタイムで「任用中断」も継続雇用限度もない労働者を、正規職員から格段に低い労働条件にすることに合理性はなく、長期の准職員については一般の職員就業規則が適用されるべきでした。
また、准職員等はそのほとんどが女性で占められており、「女性を劣悪な待遇で働かせてもかまわない」という一昔前の価値観と呼応するものです。東北大学が推進している男女共同参画の課題として直視すべき問題です。
2004年8月31日、「准職員、時間雇用職員へ夏季休暇(有給)を求める要求書」を提出しました。夏季休暇は、盆等の諸行事や心身の健康維持・増進、家庭生活の充実のためには休暇が必要である、という趣旨で創設されたものです。同じ職場で働く者の労働条件は同じであるべきです。
2004年12月から翌年1月にかけて、准職員へのアンケートを行いました。150名にお願いし、19名から回答を得ました。その集計結果と加入の訴えを再び全ての准職員に発送しました。アンケートの結果でも、計画年休に伴う、年次有給休暇の消化への不満がでていました。少ない年休の中から、計画年休で年休を消化すると、自由に使える年休が減ってしまいます。
このことからしても、有給3日の夏季特別休暇は准職員、時間雇用職員にとって切実な要求です。6月3日と7月1日におこなわれた団体交渉でも要求項目の筆頭に掲げました。大学側回答は下記の通り「ほぼゼロ回答」といってよいものでした。またその説明としても「計画年休が実施されている事業場で、年休がない人に5日間の特別な休暇が与えられているという兼ね合い」「正規職員・非正規職員の格差についての経営側としての判断」といったまったく合理性や誠意の疑われるものでした。
いくつかの大学では、既に非正規職員にも夏季休暇が認められています。原資の必要のない夏季休暇の実現を目指します。
国家公務員法制の軛から解放された今、労働基準法、パート労働法、判例等を活用して、また他大学の先進事例にも学びながら、准職員・時間雇用職員の要求実現に取り組んでいきます。
(1)有給の夏季休暇を与えること
(2)1980年7月以前採用者を可及的速やかに正規職員にすること。
(3)退職手当は積立方式とすること。当面、正規職員同様に0.6ヶ月(現行0.3ヶ月)を乗じること。
(4)准職員の給与を日給方式から月給方式に変更すること。
(5)病気休暇、特別休暇等を正規職員と同等に保障すること。
(6)1年1号俸の昇給を実現し、また頭打ちを解消すること。
(7)文科省共済組合への加入を実現すること。
(8)永年勤続表彰を行うこと。
(9)正規職員に登用する制度の整備を図ること。
(10)扶養手当を支給すること。
(1)有給の夏季休暇、忌引き休暇、病気休暇を正規職員と同等に保障すること。
(2)期末手当、勤勉手当および退職手当を支給すること。
(3)一律3年の継続雇用限度を撤廃すること。
(4)永年勤続表彰を行うこと。
(5)正規職員に登用する制度の整備を図ること。
二本柱としての「教職員共済生協」と「労金」の取り組みを中心に活動してきました。この中で昨年まで続けてきた厚生部学習交流会は、各支部からの参加があまり見込めず、やむなく中止としました。
(1)2003年10月に厚生労働省からの「費差損解消」のための「指示書」が出されました。それを受けて、教職員共済生協本部から大学支部への交付金を含む事業経費が、この間削減され、それに伴い大学支部から各大学への業務委託費削減が行われてきました。東北大学職組への業務委託費は、前年度に引き続き大幅な削減(約20%減)が見込まれています。
(2)今年度の給付状況は、総合共済が、9件775,000円、生命・医療共済が65件36,969,000円、交通災害共済が10件559,100円、自動車共済対物が39件13,003,177円、対人が86件12,818,130円、火災共済が1件115,000円、終身共済が10件6,110,000円でした。
今後も組合加入時を中心に教職員共済生協の加入促進を図っていきます。
今期借り入れ申請は1件3,000,000円でした、労働者がより利用しやすい労金としての存在を保っていくよう働きかけていきます。
(1)2004年度末に定年退職された方々に感謝状と記念品を贈呈しました。(定年退職者25名)
(2)退職者の会の会員は現在126名が加入しております。米寿・喜寿をお祝いしての記念品贈呈や、温泉一泊旅行を行い懇親を深めました。また、組合との絆を保つ「コア」を「退職者の会ニュース」と一緒に数回届けて来ました。
退職者の会会長が、2004年8月に逝去されお悔やみ電報を送りました。
退職者の会総会が2005年5月27日に開催されました。
組合の良き理解者として、また互いの要求実現を目指しこれまで通りの連携を深めていきます。
組合員の訃報を受け、御遺族の方へ香典を送りました。
福利厚生の充実にも加入者数が大きく左右します。柱である教職員共済生協・労金には私たちの要望を取り入れた運営を堅持してもらうよう働きかけていきます。
(1)1月13日(木)に行われた恒例の旗開き(新年会)は、片平市民センターで約40名が参加し、楽しく和やかに行われました。法人化されて初めての旗開き。例年の来賓の方に加え、顧問弁護士にも参加していただきました。
支部活動の紹介、マジック、クイズに加え、今回は保育所支部の方の三味線演奏が花を添えてくれました。仲間を増やすことの大切さを再確認したひとときでした。
(2)新春恒例の囲碁大会は、1月8日(土)金研の職員集会室にて行われました。お互いの実力を知っている常連の方が多いとはいえ、真剣勝負が繰り広げられました。同時に隣の部屋では、家族を交えて和気あいあいと、百人一首・人生ゲーム・オセロ・UNO大会に興じ、お正月らしい雰囲気を味わうことができました。
(3)5月1日(土)、「働くものの団結で生活と権利を守り、平和と民主主義、中立の日本をめざそう」のスローガンを掲げ、第76回メーデー宮城県中央集会が行われました。澄み切った青空の下、2300名が集い、東北大学からは約40名の参加でした。
「仙台弁で語る日本国憲法第九条」を始め、各団体からの出し物に、でたらめな政治に怒り、団結して頑張る意気込みが感じられました。
お楽しみ大抽選会では、米と漬物が当りにこにこ顔で列に並ぶ組合員のほかに、トップ賞のスポーツ車を金研支部の組合員が大当たり。羨望のまなざしを受けながら、感想を述べていました。
集会後、新緑鮮やかな青葉通りを、元気にシュプレヒコールをあげながらデモ行進しました。
(4)3月に職組新聞コア編集委員会と共催で「陽だまり登山」(蔵王・烏帽子岳 6名)、5月に新歓行事として企画した青年部の「ボウリング大会」(サンシャイン 10名)、コア編集委員会の「蔵王登山」(大黒天〜刈田岳 10名)、「バドミントン交流会」(青葉体育館 9名)を一緒に取り組みました。
(5)他団体主催の演劇・映画・コンサート等のチケット普及に取り組みました。仙台フィル、日本フィルは1割引きの取扱いを受けました。
(1)組合員の親睦と連帯をはかりながら、文化レクリェーション活動に取り組みます。
(2)新加入者をはじめ、多くの組合員が参加しやすい情宣活動等を工夫します。
(3)各専門部と共催の行事を企画し、専門部の活性化につなげます。
法人化されて1年がたちました。「公務員」資格を剥奪され、「国立大学法人職員」という身分に大きく替わりました。
2002年に出された「男女共同参画推進のための東北大学宣言」(PDFファイル)後、男女共同参画ワーキンググループを立ち上げ、アンケートをとったり講演会を開催したりしていますが、全職層の女性職員の要求を反映させるにはほど遠いものがあります。
この4月の女性係長発令を見ると、発令数、発令年齢ともに男性との間には大きな開きがあります。仕事と家庭を大切にしながら健康で人間らしく働き続けたいとの願いは男女に共通した願いです。
今年4月、次世代育成支援対策推進法(PDFファイル)に基づく「東北大学一般事業主行動計画」が作成されました。「19日を育成の日とする」「子どものための看護休暇」など子育てを援助するというものです。大学当局とも協力してこの計画を推進していきます。
今期、部の名称を「婦人部」から「女性部」へと変更し、気分も衣替えしました。
これからも「性別にかかわりなく誰もが対等に社会活動に参画する機会が確保され、多様な利益を享受でき責任を共に担う男女共同参画社会」に向けて、男女協力して粘り強く運動を続けます。また、9月に開設される予定の「川内保育所」(仮称)の動きを見守ります。
(1)ミニ旅行
・2004.9.17
・「阿武隈ライン舟下りと斎理屋敷見学」
・7名参加
(2)連帯の活動
(3)母親大会の取り組み
(1)男女共同参画社会実現のために
(2)元気になれる楽しい活動を企画します。
ミニ旅行、ミニコンサート、学習会などに取り組みます。
(3)第51回日本母親大会(2005.7.23〜7.24 茨城)及び第46回宮城県母親大会(2005.6.26 多賀城市)の成功へ向け取り組みます。
(4)女性部として多くの女性教職員の組合への結集をめざします。
青年部は現在、大会を開けず、役員体制を確立できずにいます。全大教青年部の活動への参加や本部の助力等の実績を活かして、今期は青年部活動の再建をめざします。
基本的には、若い職員同士が助け合い、励ましあうことを通じて仲間を作ることを目的とします。また所属する部局のみではなく、他の部局との交流を深めることで東北大学全体で働く環境の是正に貢献できるようにします。さらに学内だけにとどまらず、他大学との交流を広げることで、地域の中での大学間で良い関係の構築を目指します。これらを実現するために、まずは新入職員が若手の先輩と交流できるようにします。次に大学内での他部局との交流の機会を企画し、また継続して職員どうしがつながりを持てるようなイベントを随時行っていきます。そして他大学との交流を図るよう努力をしていきます。
具体的には、右図のような通年の活動イメージを素材として、青年部の活動と組織の活性化を図ります。そのために、本部執行委員会として援助を強めます。
7〜8月 | 釣り大会 ※釣堀でも可 |
9〜11月 | 宮城のおいしいもの食べ歩き |
12月 | 若手職員を対象にした悩み相談会 |
4月 | お花見 ※新入職員の歓迎会と先輩職員との交流会を兼ねて。 ※各部局の人数によって、単独でやるか合同でやるか調整。 |
5〜6月 | 異業種交流飲み会 ※他の部局との情報交換、または交流を深める。 |
年に1回 | 宮城県の大学職員を集めた交流会 ※情報交換を通じて他大学のよいところを学び、職場に生かす。 |
随時 | スポーツ大会 ※野球、フットサル、ボウリング、など |
(1)憲法改悪が叫ばれるなか11月21日に行われた「憲法9条を守る宮城県集会」(仙台国際センター)に多数の組合員が参加しました。集会は会場外の2000人を含め4500人規模の大集会で、憲法を守る関心の強さを示しました。
(2)イラク戦争や自衛隊派兵に反対する集会、学習会、宣伝行動に参加しました。また学内での日の丸掲揚に抗議する声明を出しました。政府与党は憲法改悪、教育基本法改悪、有事法制の発動など戦争参加への道を策動しており、これらに反対する取り組みがますます重要になってきています。
(3)原水爆禁止2005年世界大会には参加者の組織ができませんでした。5月7日礼文島を出発した2005年国民平和大行進は6月19日宮城県入りし、組合では23日、24日の仙台市内行進に参加しました。
(1)原水爆禁止2005年世界大会と2006年国民平和大行進の成功のために取り組みます。
(2)被爆者に連帯し、原爆症認定訴訟を支援する取り組みに協力します。
(3)各支部から平和問題対策委員を募り、日常的な取り組みの建て直しを図ります。
(1)自衛隊の海外派兵や集団的自衛権の行使に反対します。
(2)王城寺原演習場での米軍実弾演習に反対します。
(1)憲法や教育基本法の学習運動に取り組み、これらの改悪には反対します。
(2)米軍基地の撤去・整理縮小、海兵隊の撤去を求めます。
(3)日の丸・君が代の強制、靖国神社閣僚公式参拝など憲法の国民主権、平和主義を無視した動きに反対します。
(4)平和憲法に背くような歴史教科書の採択に反対します。
(5)日米安全保障条約の廃棄、日米地位協定の見直しを求めます。
(1)公職の選挙にあたっては争点を明らかにして組合員の政治的自覚の向上を図ります。
(2)政党とは一致する要求・政策について共同して取り組みます。
(1)宮城県教職員組合協議会(宮教協)は、宮城県教職員組合、宮城県高等学校教職員組合、宮城県私立学校教職員組合連合、東北大学職員組合、宮城教育大学職員組合で構成されています。共同して教育研究集会に取り組み、学問の自由や教育基本法を守る運動を進めています。
(2)「宮城県労働組合総連合」(県労連)は「2005宮城県春闘共闘会議」(県春闘)の事務局団体として共同して賃金・労働条件改善や労働相談に取り組み、また自治体や県内大企業への要請行動を行なっています。また、宮城県労働委員会に県労連推薦の労働者委員が1名任命されています。県労連が事務局となって宮城県パート・臨時・派遣労働者連絡会が活動しています。
(3)「宮城県国家公務員労働組合共闘会議」(県国公)は、寒冷地手当改悪や「給与引下げ・地域間格差拡大」等に反対する集会や中央行動等に取り組んできました。国公労組と人事院等との交渉結果など信頼できる情報の提供を受けています。国立大が公務員ではなくなったことをふまえた協力関係のあり方について検討することが必要です。
(4)「宮城県医療労働組合連合会」(医労連)は、最大の医療産別である日本医労連に加盟しています。医療職員の増員や看護体制の改善等に取り組んでいます。組合の病院支部がオブザーバー加盟しています。
(5)その他、組合は「宮城憲法会議」「宮城革新統一をすすめる会」「安保条約破棄諸要求貫徹宮城県実行委員会」「宮城地域自治研究所」「宮城県原水爆禁止協議会」「日本国民救援会宮城県本部」「宮城県未組織労働者対策連絡会」「非核の政府を求める宮城の会」「宮城県社会保障推進協議会」等に参加しています。
(1)労働三権を全面的に活用するために民間労働組合の経験やノウハウを学びます。
(2)学問の自由や教育基本法を守るための教職員組合間の協力共同を重視します。
(3)諸団体と一致する要求・課題での共同を進めます。
(1)今期は、大学の法人化をふまえた労働組合としての力量強化にあたり組合員の大幅拡大が決定的な意味をもつとの認識に立ち、これを重要課題として位置づけてきました。そのために2004年度定期大会で組合費(定額部分)の減額を決定し、組合員拡大を推進してきました。前定期大会から本大会までに新規加入者を 名迎えることができました。職種別内訳は下表の通りです(Web版では省略)。また、このうち本部書記局に直接申込みがあったのは 名です。一方、退会者は 名で、その大半は退職・転勤に伴うものです。2年連続組合員増で定期大会を開催できることを喜びたいと思います。
(2)学内便を用いた全構成員向けの大量宣伝を3回にわたって行いました。これは組合への信頼を高め、組合員拡大にもつながりました。また職種や支部の取組みに際して職種や部局の全員を対象にした宣伝活動を行いました。これらの学内便による宣伝活動すべてを通じて加入を訴えました。
1月にOBを招いた懇談会を組織部として開催し、多くの示唆に富む意見と励ましを得ました。これを契機に、プロ野球選手会労組の古田会長のポスターを東北地区の各組合に呼びかけて共に活用し新歓期の組合員拡大に大いに活用し、また、OB・OGの方々に組織財政強化のための募金に協力を呼びかけご協力をいただきました。
こうした取組みを通じて、今年度もこれまで組合と全くつながりのなかった方多数から直接本部書記局に加入申込みがなされることになりました。とくに、新職員の説明会・研修等での宣伝で新採用の看護師(准職員)13人が加入したことや、事務職員から直接加入申込みがあったことは画期的でした。また教務職員問題では、大学側との懇談や丹念な宣伝等に集中的に取り組み、加入に結びついたことは教訓的です。
(3)しかし、全体としてみると組合員数が本来求められている水準に達しているとは言えません。その原因は、宣伝には力を入れたものの、支部レベルでの加入促進の動きを作れなかったことにあります。
今期は、病院支部について、本部から支部の執行委員会や新組合員歓迎会、オリエンテーション時の組合説明会に参加し、また賃金・人事制度検討委員会が支部の学習懇談に参加しました。また中央委員会では新歓期の拡大目標も確認しましたが、支部が意欲をもって組合員拡大をすすめるうえで、いっそうの工夫と丁寧な取組みが必要です。
「要求と提案」や「労働条件マニュアル」等の学習を位置付けて本部・支部の役員が本学の労働条件と組合の要求について語れるようになることや、組合説明会の開催、組合がより身近になるような宣伝方法の工夫等、より実践的な組合員拡大となるよう努力します。また、職種別の対策を検討するためのワーキンググループを設置します。
なお、新規加入者に組合員として定着してもらうためには、支部によるケアが必要です。困難がある場合には、本部も積極的にサポートします。
(1)今期は中央委員会を2回開催しました。第1回は9月8日に「組合事務所の貸与条件に関する団体交渉」について審議し、本部執行委員会の交渉妥結権限を承認しました。第2回は3月2日に「2004年度予算の組み替え」「組織強化及び春闘期の取り組み」について審議し両案とも承認されました。
(2)支部代表者会議は、本部・支部活動を進める結節点となっています。今期も毎月1回定期的に行い、情報交換の場として役割を果たしました。
(3)10月に結ばれた労働協約のうち、「組合活動に関する協定」の締結に関連して、組合と大学は事務所貸与契約を締結しました。この契約によって組合本部書記局のランニングコスト(光熱水道費)を11月以降負担しています。各支部の事務所貸与については、支部と対応する事業場の使用者が協議することとなっており、現在まで支部にランニングコストの負担を求める動きはありません。
(1)年末年始には片平キャンパス北門前に立看板を出し組合の存在をアピールしました。
(2)「職員組合新聞コア」は年4回発行されており、好評を得ています。また、コア編集委員会は、そのフットワークの良さで組合の文化的取組みの多くに貢献しています。
(3)「職員組合ニュース」は、1号を出したのみで、残念ながら現在は事実上休止状態になっています。今後一層の電子化・ネットワーク化が進む中で、紙媒体と電子媒体の適切な使い分けを考えていく必要があります。特に情報の浸透と運動の構築のために、全組合員へメールで連絡がとれるような態勢を整備することが急務です。また個人の組合員の善意に支えられているホームページの管理やメーリングリストのサーバ管理について、組織として支えていく方策を考える必要があります。
(4)ホームページは、政策宣伝、情報発信に貢献しました。とくに総長選考方法署名の取組みの中で、独自のドメイン(tohokudai-kumiai.org)を取得し、ネット署名のシステムを確立することができました。今後さらに充実した活用をはかっていきます。またメーリングリストは拡大教文部と過半数代表者(組合員)について分離し、新しく賃金・人事制度検討委員会について立ち上げました(aoba、執行部、教文部、准職員、賃金・人事制度検討委員会、青年部)。
(1)組合の政策と活動を知らせ、加入を訴える効果的な宣伝活動を行います。組合の政策資料は、組合内の学習や組合説明会に大いに活用します。
(2)本部と各支部が緊密に連絡を取り合い、組織的な拡大行動を行います。また、組合が身近になる宣伝方法の改善を図ります。
(3)新規加入者に組合員として定着してもらうために、支部によるケアを進めます。困難がある場合には、本部も積極的にサポートします。
(4)職種別の組合員拡大を推進するためのワーキンググループを設置します。
(5)組合内に迅速に情報を伝達し、かつ支部の負担を減らすために、電子媒体を用いた宣伝・連絡を強化します。そのため全組合員へ電子メールを送ることができる態勢を整えます。
(6)独自ドメインを活かしてホームページの活用を一層進めます。またホームページの管理体制を強化します。組合サーバ活用したメーリングリストの立ち上げを図ります。
(1)2004年度決算と2005年度運動方針を基本に、より効果的な予算運用と節約に努めます。
(2)法人化初年度という情勢の中で、組織拡大に積極的にとりくみ昨年に続いて組合員の増勢で大会を迎えることができました。しかし、例年のように定年退職者が多数おり、それに伴ない組合費の収入見込みも減額せざるを得ません。
(3)書記局体制は書記2名として予算を組みますが、繁忙期にアルバイトを雇用できる予算を措置します。
(1)組合の活動の前進と健全な財政運営を図る上で、組合員拡大は最重要課題として位置づけてとりくみます。
(2)組合費の納入人員は、正職員 名、准職員 名、パート 名として予算編成の基礎数とします。
(3)教職員共済生協からの業務委託手数料を還元金として計上します。
(1)財政運営では、基本方針に基づき引き続き節約に努めます。
(2)加盟組合員数は、全大教 名、県労連 名とします。なお、県国公については、財政が厳しい実情をふまえ、また法人化に伴い今までとは異なるスタンスでの共闘を検討する必要があることから、今期は 名とします。